安葉巻を片手に2001


”街角の戯作者”を自称する私の自由文集(2001年版)です。
作品の非商用での使用は自由ですが、著作権は主張します。

 鎮魂詩
善はいずこに悪はいずこに 己を滅ぼす争いの中には
おまえは叫ぶ「神が唱える」と ふたたび叫ぶ「これは聖戦」と
「聖戦」の叫びに魂揺さぶり 争いを起こした多くのものども
叡智を重ねた叡智の集まる そびえ立つそれが瓦礫と化せば お前は唱える これが「聖戦」と
瓦礫の山の声無き叫びを 心に聴き留め 怒、悲、苦で 潰れそうになる
「聖戦」の言葉を 叫び続ける 「聖戦」の言葉は 殺しの文句に
雲の上から この世の上から 阿羅吾は嘆く 基督は嘆く

 桁数、三十一文字(部分月食)
蒸し晩に薄雲隠れお月様少しダイエットすぐリバウンド? 夏バテで食欲無くて夜遅くごつごつ煎餅誰かじってる? 天高く欠け行く月の不思議かなレンズの瞳我の眼光

 雑話(名詞化した商品名)
 デパートにスーパーマーケット、コンビニエンスストアに雑貨店等、今の日本にはモノがあふれる様に存在していますが、長い間使われて行くモノからすぐに消えてしまうモノまで千差万別です。
そんな中で、最初に発売されたモノの商品名や販売元の社名がその後に他社から発売された同様のモノの一般名詞になる事、要するに普通名詞化が起こる場合があります。
そんな『普通名詞化した商品名(社名)』の話を少し綴ってみます。
 普通名詞化は意外なところで起こっていて、驚くことがあります。
それに気がつくのはNHKの放送を見聞きしている時です。
以前(記憶頼りなので覚え違いがあるかもしれませんが)の話ですが、ラジオの住宅相談で壁紙かフローリングがはがれた際にくっつけるのに使う接着剤について、回答者が「○○系接着剤を使用してください」と回答してるのに対して、質問者(聴取者)が「なんと言う接着剤を購入すれば?」と何度か聞き返している場面がありました。
結局「金物屋とかDIYショップで○○系接着剤と聞いてみてください」と言う話で落ち着いたのですが、この時に「NHKでは商品名が言えなかったのか」と気がついたのです。
NHKで特別な場合を除いて商品名を言えない理由には『公共放送の立場上、宣伝になるのを防ぐため商品名及び商標を言えない』事が通説として言われています。
また、TV番組で「白くて水に溶かして飲む乳酸菌入り飲料」と言った出演者も居て、普段使っている『カ○ピス』が実は商品名であった事を改めて思い知らされる限りです。
そんなNHKの番組内においても数少ない例として使用されている商品名が実はあります。
 『ホッチキス』
それは『ホッチキス(ホチキス)』です。
私たちも日常的に利用している金属製の針を使って紙等を綴じるこの文具、実は『ステープラー』と言う名称があり、俗に針と言われる綴じ具の方は『ステープル』と言うそうです。
しかしながら、文房具店等で「ステープラーください」と言っても相手が首をかしげたりするくらいですからいかに『ホッチキス』と言う名前が浸透しているかと言う事です。
実際に各社で発売しているステープラーの商品名も『○○ホッチキス』となっているくらいですから。
では『ホッチキス』と言う名前はどこから来たのかというと、これには説が色々あるようです。
私自身調べてみたもののはっきりとしたことは判りませんでしたが、よく知られた説としては、機関銃の弾の自動装填機構を考えた人の名前がホッチキスでその機構を利用した綴じ具と言うことのようです。
察するところ、その『ホッチキス社』のステープラーが日本に最初に入っていた事でそのまま普通名詞化したと考えられます。(真説をご存じの方がおられましたら教えて戴ければ幸いです)
普通名詞化している上に宣伝に当たる材料がない事でNHKでも普通に使用されている様です。
 次からは、NHKでは放送上使用していない普通名詞化したモノの話を少し続けます。
 『キングファイル』
書類整理に使用する2つ穴のパイプ綴じ式ファイルの事を『キングファイル』と言う事がありますが、これも実は商品名です。
この『2つ穴のパイプ綴じ式のファイル』(以下パイプ綴じファイルと表記)の事をなんでキングファイルと言うのか、理由があります。
実は事務用ファイルのシェアは『キングジム株式会社』が圧倒的に占めていて、その関係でパイプ綴じファイルも多くがここの製品が使用されています。
そこから、2つ穴パイプ綴じファイル自体が通称『キングファイル』と言う通り名になったと考えられます。
以前に大きな文具店を回って各社のパイプ綴じファイルを手にとってみましたが、キングジム製品のバリエーションや使い勝手は(幾つも実用新案を持っている事で独自の機能があり)中々よいものです。
なお、『キングファイル』と言う名称はキングジム株式会社製ファイルの名称の商標となってています。
 『ゼロックス』
この言葉はある程度以上の年代の方がよく使う言葉です。
「この書類、ゼロックスしておいてくれ」と言われた事のある人がいると思います。
これは「この書類、コピーを取っておいてくれ」と言う意味です。
なぜ『ゼロックス』なのかと言うと、日本に(白焼きの)コピー機(複写機)が登場した際の最初のメーカーが米国のゼロックス社(日本法人は富士ゼロックス)だった事が理由だそうです。
そこから『ゼロックス=(白焼き)コピー(複写)』となったようです。
ですから、幾つもの会社から(白焼き)コピー機が発売されている現在でもゼロックスと言う事があるようです。
ちなみにコピー機は、各社独自のノウハウが隠れているようなのでどこが1番なのか甲乙つけがたい感じです。
 『ウォークマン』
耳にヘッドホンをつけて電車や街中を歩く人の姿は今では珍しくありませんが、この製品が登場する前には、そんな格好はラジオで野球や競馬中継を聞くおじさん位しか見かけませんでした。
『音楽を好きな時に好きな場所で聴く』と言う事を可能にしたのがソニー株式会社の発売した『ウォークマン』ですが、この商品がヒットして以来、他社から同等の製品が発売されたものの量販店のチラシに『○社製ウォークマン』なんて文句が書かれたものです。
これには『ヘッドホンステレオ』と言う名称があるのですが、未だにウォークマンで通用するのですから画期的であったわけです。
とはいうものの、最近は発売したソニー自体がこのカセットテープを使用したものではなく小型の光磁気ディスクでもあるMD(ミニディスク)を使用した製品に主力を移しているので近い将来は忘れ去られていく名称かもしれません。
なお、MD(ミニディスク)と言う名称も確かソニーの登録商標だったと思いますが、各社の録音用MDを見ても何も記載が無いので違うのかな?
 『テプラ』
最近どこでも見かける細長いテープ状のシールに文字を打ち出したもの、これは樹脂テープに熱転写リボンを使用して印刷する『ラベルプリンタ』と言う機械で作ったものです。
このラベルプリンタの事を『テプラ』と言う人がいます。
よく「テプラで作っておいて」なんて言い方をするのですがはたして、テプラとは?
このテプラなる名前は、先程キングファイルで名前が出たキングジム株式会社が発売したラベルプリンタの商品名です。
ラベルプリンタ自体はテプラ発売前にも存在したのですが、数字アルファベットカタカナと言った文字しか打つ事が出来ず、テープの幅も9mm程度が限界でした。
そこにテプラが登場したわけで、発売当初は果たしてどのくらい売れるか少しばかり気にしていたのですが、大ヒット商品となりました。
最初は1文字づつ刻印していたのですが、その後キーボードを装備してワープロと同じ感覚で文字の入力が可能になりました。
そしてテープ幅も20mm程度のものが出てきたり、文字の書体等の色々な装飾が可能になりました。
現在、ラベルプリンタは他社からも同等品(カシオ計算機製ネームランド等)が発売されていますが、やっぱり第1号の強みか他社製品を使用しても『テプラ』と言われる事が多いようです。
 さて、第1号製品がヒットして類似のモノが幾つも市場に登場した場合、第1号製品(もしくはシェアを多く獲った製品)の名称(もしくは会社名)がその普通名詞として一般に使われる事が多いのですが、商品名が登録商標になっていない場合、ずばりそのままの名称が商品名として世間に氾濫する事になります。
そんな商標登録されていない商品名がそのまま通称になる場合もあります。
これから少しはそんなものの話をしていきます。
 『サインペン』
サインペンと言うと、10人中10人がその名前を聞いて何をさすか分かると思います。
一般的にペン先が樹脂でできているペンの事で、使用インクが水性インクか油性かで『水性サインペン』『油性サインペン』と言うわけ方をしています。
しかしながら、サインペンは『ぺんてる株式会社』が第1号を発売したのです。
文具関係の本によれば、当初日本国内では売れなくて、米国から逆上陸したような形で売れたと言う事のようですが、万年筆やボールペンと言った西洋生まれの筆記具ではなく東洋で生まれた筆(毛筆)に近い書き味は中々のものです。
> しかしながらこのサインペンと言う名称が何故登録商標でないかと言う話については、登録申請を商品発売後に行ったそうですが「あまりにも一般的な名称になりすぎている」と言う理由で却下されたと言う通説が伝わっています。
 『はちみつレモン』
大ヒットした当時に謎の商品名だったのが『はちみつレモン』と言う清涼飲料水です。
『はちみつレモン』と言う名前の通り、レモン果汁を水に溶かしてはちみつで甘味をつけたレモネードのような清涼飲料水だったのですが、冬はホットで夏はアイスでと、どちらでも対応できた重宝なものでした。
この商品がヒットしたのが10年以上も前の話なので記憶に無い方も居るかも知れませんが、第1号はサントリー株式会社でこの『はちみつレモン』の名称も発売時に発表されたものです。
この商品がヒットしたのを受けて他社でも同様の製品を発売したのですが、容器のイラストデザインが類似するのはともかく、商品名をそのまま使用していたり『はちみつレモン水』なんてパロディめいたものを利用している製品がほとんどでした。
しかし、特に裁判になったとか言う報道が無く不思議に思っていたのですが、偶然見たTV番組で疑問は氷解しました。
実は、当時『はちみつレモン』と言う商品名は商標登録されていなかったのです。
ですから、他社がその名称を使用しても全く問題が無かったそうです。
その番組によると商標登録をしなかった理由に『商品サイクルの短さ』を挙げていました。
 さて、普通名詞化している商品名(会社名)を幾つかあげてきましたが、まだまだあると思います。
これを読まれて、改めて身の回りのモノの名前を再確認されてはいかが?。

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