なんでも使用記(Seton Notes For Palm編)

1.はじめに
 1.1)無意識を形に
 文章を書く、と言う作業を行なう時に悩まされる事の1つに文章の構成をどうするかと言うもの
があると思います。
書店の棚に数多くある「文章の書き方」を論じたハウツー本や雑誌の記事等を見ると起承転結をつ
ける話から始まって、色々と文例を見せながら話が進んで行くものが結構見受けられます。
それはそれで役にたつのですが多くの場合は、そこに出て来る例文の丸写しのような文章になって
しまいます。
契約書に始末書等のビジネス文書と呼ばれるものは定型文的になっていますから丸写しでも別に問
題無く済ませられますが、例文に無いような文章を書くような時にはその構成に困る事があります。
こんな時に強い味方となってくれる物に「アウトラインプロセッサ」と呼ばれるアプリケーション
ソフトがあります。
「アウトラインプロセッサ」と言う名前を聞くとたいそう難しい物の様な印象を受けますが、簡単
に言うと「目次(見出し)を作るためのソフト」です。
文章を書く時には普通、「何を、どの様に書くか」を頭の中で考えて順序立てて書いて行くのです
が、この「順序立て」を行なうと言う事は、すなわち目次を作る事と同じ事になります。
つまり、文章を作る際に頭の中で行なわれている作業がアプリケーションソフトとして形になった
とも言えます。
ある意味、無意識に行なっている事を形にしているとも言えるアウトラインプロセッサですが、幾
つもある中から今回使用してみたのが「SetonNotes(セットンノーツ)」です。
2.SetonNotes  2.1)特徴  今回話題としているSetonNotesですが、パッケージとしてはPalmOS搭載機(以 後Palm機と表記)用ソフトと言う格好で販売されています。 したがって、今回はPalm機用のソフトとしてPalm機上での使用感について話を進めて行き ます。  このような言い方をするのにはわけが有ります。 実を言うと、このパッケージの中にはPalm機用とパソコン用(ただしWindowsパソコン 用のみ)の2つのSetonNotesが梱包されています。 そして、Palm機へのインストールを行う際にはまず、パソコンへのインストールを行い、その 後に行われるHotsync操作を通してPalm機側へインストールが行われます。 そしてHotsyncの操作に際にPalm機側とパソコン側のデータが同期されます。 (このインストール手順のためにアップルコンピュータ製マッキントッシュシリーズでPalm機 を使用しているユーザーがSetonNotesをそのまま使用する事が出来ません) ですから、Palm機で作成した内容をHotsync後にパソコンで修正するとか、またその逆 にパソコンで作った内容をPalmで持ち運んで利用すると言った事も出来るわけです。 しかしながら、Palm機とパソコンそれぞれにインストールされたSetonNotesはシン クロさせての使用はともかくとして、それぞれを単体のアプリケーションソフトとしてとらえても 差し支えないので、それぞれを独立したアプリケーションとして、今回はPalm機での単体使用 において話を進めて行きます。 普通、この手のアプリケーションソフトでは、独自のファイル形式を採用していてそれのみの利用 が可能と言うその中での閉じられた(内部完結)とでも言うべき状態の物が比較的多いのですが、 SetonNotesについては本ソフトで作成したファイル以外だけでなくPalm機に標準で 内蔵されている「メモ帳」のデータや「DOC形式」と呼ばれるPalm機独自のテキストファイ ルや画像等を付属のアドインソフトを使用してPalm機内でリンクする事が可能です。  2.2)動作環境  Palm機のソフトと言う事で動作するPalmOSのバージョンが気になるところですが、取 扱説明書によればPalmOS3.0以上であれば動作すると言う事で、IBMのWorkPad (8602−30J)やViserのViserDeluxe等の様にPalmOS3.1を使用 している日本語版Palm機での使用も可能です。 ただし、Hotsyncマネージャーのバージョンが3.1以降にしか対応していませんので、場 合によってはPalmDesktopのバージョンアップが別途必要となります。 なお、インストール時には最低180KBのメモリを消費します。 このメモリの消費量ですと、一部の日本語対応Palm機の様にメモリを2MBしか実装していな い機種でも十分実用的に動作します。
3.使用感  3.1)アウトラインプロッセッサとして  SetonNotesをアウトラインプロッセッサである、と、言われてもそもそもアウトライ ンプロッセッサの基本的な操作が解らなければ困ります。 そこで話が少し横道にそれますがその話をしてみます。 文章の構成を考えるに際してまず、何について書くのかを決めてタイトル(仮題)をつけて、それ を1番上の行に書きます。 次にそのタイトルに関して書こうとしている事柄を1段下げた形で次々と書き出して行きます。 これがタイトルに対しての見出し(章)になります。 それからそれぞれの見出しについて書こうとしている事柄を1段下げた形で書き出して云々と言う 作業をくり返し行います。 この作業を試しに紙の上で実際に行ってみると、タイトルについて見出しが、そして見出し毎に見 出し(子見出し)が、と言う階層状態の図表の様な物(「図1」参照)が出来上がります。
 「図1:紙上でのアウトライン作成作業結果」   タイトル(仮題)   [空]見出し1(章)   [空][空]子見出し1   [空][空]子見出し2   [空]見出し2   ……云々 (注:[空]はタイトルに対する下げる字数)
この「図1」が書こうとしている事柄のアウトラインになります。 このアウトラインに従って文章を書いて行く格好になるのですが、アウトラインの順番は文章の流 れと等しくなっているのですから、読む側にとっては、アウトラインは目次の役目を果たす事にな ります。 SetonNotesでアウトラインを作成する際にも手順そのものは同じなのですが、画面上で はタイトルと見出しが木の枝の様な構造(ツリー構造)で表示されます。 ですから、この枝を見る事によってタイトルと見出しの位置関係が判るわけです。 なお、SetonNotesでアウトラインを作成した際には、見出しの並べ変え等の訂正が容易 に行なえると言うものがあります。 例えば、図1の様に紙の上でアウトラインを作ってみると、訂正をする際には結構手間がかかるも のです。 こんな時にSetonNotesであればスタイラスペンで見出しをタッチしてそのままドラッグ &ドロップで視覚的にも感覚的にも分かり易く容易に訂正が行なえます。
 3.2)別の利用方法について  SetonNotesには、単なるアウトラインプロッセサとして使用するアウトラインモード (ツリー構造表示)と呼ばれる画面以外にアウトラインの見出しが個々に持っている文章(テキス ト)の入力編集を行なうセットオンモード、作成する文章のタイトル一覧に相当するインセプショ ンモードの3つの画面を持っています。 ですから実際にアウトラインを作成する時には、まずインセプションモードでタイトルを入力し、 そこからアウトラインモードに展開して作業を行なう格好になります。 ただ、セットオンモードを利用してそれぞれの見出し毎に細かい中身のメモ等を書いておいたりす る事が可能です。 このセットオンモードの搭載がSetonNotesを単なるアウトラインプロセッサに囚われな いものとして使用する事が可能です。 セットオンモードの画面はPalm機に標準で搭載されている「メモ帳」と同じ格好の横罫線のメ モパッドの画面(設定で罫線の非表示も可能)と「手書きメモ」の2種類が用意されています。 セットオンモードはインセプションモードで作成したタイトルやアウトラインモードで作成した見 出しが個々に持っている、その項目に対しての説明等を記入できるメモ欄のようなものです。 ですから、セットオンモードからSetonNotesを考えると、3×5カードや京大式カード 等と呼ばれるカードを利用したデータベースを電子化した物と考える事が出来ます。 また、素直に(?)インプレッションモードやアウトラインモードから展開して見出しに関する文 章を書いて行く事も可能です。 ですから、このセットオンモードを旨く利用する事で、講演や製品発表等のプレゼンテーションの 原稿(レジメ)の作成や、簡易カード型データベースとしての利用、日記帳ソフトとしての利用、 内蔵アプリケーションの「メモ帳」の置き換えソフトとして利用するとかアウトラインを作成する 以外にも色々な用途に使用が可能です。
4.おわりに  最近のワープロソフトやテキストエディタにはアウトラインプロセッサ機能を内蔵したものが登 場しているので、アウトラインプロッセッサそのものを体験された方もいるかもしれません。 そして、既にアウトラインプロッセッサの有用性に気づかれたかもしれません。 しかしながら「これから使うぞ!」と意気込み構えて使用するものでは無くて、いつでも「思い立 ったら」使える状態にしておくべきアプリケーションソフトの1つがアウトラインプロッセッサだ と考えます。 ですからPDAと言う手軽に持ち運ぶ事が出来て起動が早い電子情報機器のアプリケーションソフ トとしてアウトラインプロセッサを使用する事は望ましいのです。 今回紹介したSetonNotesはPalm機の電子情報機器としての能力を更に高めるための 大きな力となる、と、私は考えます。 なお、SetonNotesについてもっと詳しく知りたい方はの開発元である有限会社アーキタ ンプのホームページ(http://www.architump.com/japanese/index.htm)を参照願います。 なお、SetonNoteの発売・販売元は株式会社オルジェとなっており、この発売・販売元の ホームページはhttp://www.pdaseek.com/となっております。 なお、余談ですが本文章は、SetonNotes+Palm機で作成したファイルをエディタ上 で加筆修正の後にHTML化したものです。
(−了−)



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