USB鍵(SecuritySolutionExpo2002にて)

 
 「モノを守る」と言う事でよく使われるのは「鍵をかける」と言う行為です。
金庫や部屋、自転車の鍵は正にそのものです。
また、クレジットカードやキャッシュカード等の暗証番号も形の無い鍵と言えます。
近頃、多くの会社で事務処理等にパーソナルコンピューター(以後パソコンと記述します)が必需品となっている現在、データの保守と言う事が注目されています。
 以前からパソコンのデータ保守と言う事ではID+パスワードによる保護が多く採用されています。
これはパソコンの使用時にIDとパスワードを入れると言ったもので、「ログイン」する事でパソコンが使用可能になります。 使用終了時にはユーザーが「ログアウト」する事になります。
これは利用履歴を残せることもあって、パソコンへの不正使用防止と言った点ではヒジョーに有用です。
しかしながら、ふいの電話や来客はたまたトイレと言った短時間席を外した際に作業を終了してログアウトすると言うのは結構面倒です。
なぜなら、パソコンの使用を再会する度にログインを行う必要があるからです。
かと言って、そのままにしておくと「他人にどうぞ見てください」と言っているようなものです。
作業の内容によっては(特に詫び状なんかを作成中だと)ちょっと恥ずかしいですね。
また、パソコンが共同使用だとそのまま他人に使われてしまい、それまでの作業が水の泡になってしまうかもしれません。
こんな時にふと思うのは、自動車やオートバイのように「鍵を抜き差しする」と言った行為でパソコンを一時的に使用不能(作業不可)の状態にしておけないかと言うことです。
 実はそんなパソコン用の鍵(の様な物)が近年幾つかの会社から発売されました。
使用方法としてはパソコンを使用する時に(Windows98以降のOSを搭載している)パソコンのUSB端子(本体の端子ではなくそのパソコンに繋がっているUSB−HUBの端子でも可)に差し込み、使用しない時にはそれを抜く、と言うものです。
USB端子を鍵穴の様に考えて抜き差しするので、これを「USB鍵」と仮に呼ぶ事にします。
 USB鍵を導入したパソコンではパソコンの電源をONにしてもこれを差し込まなければ一切の操作が行えません。
また、パソコン動作中にUSB鍵を抜けば、それ以降の一切の動作を受け付けなくなります。
ですから、ワープロ等のアプリケーション起動中USB鍵を抜いても再度差し込むまでは動作を一切受け付けません。
なお、パソコン動作中にUSB鍵を外すと即スクリーンセーバーが起動する様になっているので、席を外した際に他人に画面を盗み見されることはありません。
また、そのパソコンが盗難にあっても中のデータを覗く事は、まず出来ません。
このUSB鍵の考え方は結構単純で、その中にパスワードに相当するモノを記憶させておくと言うモノですが、ユーザーによる手動でのパスワード入力と違い他人にパスワードを盗まれる事も通常ではまずありません。
繰り返しになりますが、USB鍵がなければ電源ON/OFF以外のパソコンの操作が一切行えないのです。
ですから、正に金庫の鍵のイメージでデータの機密保持にも利用できます。
 USB鍵の大きさの目安としては、大体、手の親指を伸ばした状態と同じ位です。
ですからポケットに入れたり、部屋や車の鍵と一緒にキーホルダーにつけていてもそれほど気にならない大きさです。
また値段的にも1個1万円未満のモノがほとんどで、この不況の中において機密保持に関する設備投資としては手頃と感じます。
 このUSB鍵、登場当初はパソコンの操作の可否を行うための、まるで自動車やオートバイの鍵の様な感じの代物でしたが、最近では「パソコンの鍵」としての機能に加えて「データの機密保持」についての機能の応用がされている代物が出現してきました。
1つ例を挙げると、eメールや文書ファイル等のデータの暗号化に関する機能です。
要はこのUSB鍵の中に暗号化プログラムや暗号の解除コード等を記憶させておき、同じ解除コード等を持ったUSB鍵の持ち主のみそのデータの処理(閲覧等)が行えると言ったものです。
昔からある「鍵の使用」と言う生活に染みついた行為を応用した「USB鍵」は、一見単純すぎると見えますが、それでいて確実性の高い中々のアイデア製品と言えるでしょう。
 
(了)

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