なんでも使用記WorkPad編(その四)

   IBM製WorkPad(8602−30J)(その四)
 
 4−5その他のWorkPadアプリケーションについて
 これまでWorkPad(8602−30J)に搭載されているアプリケーションソフトについて話を進めてきましたが、先にあげた5つのアプリケーション以外にも初期の状態で登録されています。
初期状態で本体に登録されているアプリケーションの中で先に説明した以外に、私としては中々助かっているアプリケーションには「電卓」があります。
この「電卓」もメニューからの選択で起動する必要がありますが、加減乗除の計算が可能な8桁の電卓で、量販店で1000円程度で販売されている電卓と同等の機能を有するものです。
画面を直接タッチする関係で反応速度が若干遅い感じもありますが普段使用するには十分の代物です。
この電卓、実は画面に表示されたボタンによる数値の入力以外にもGraffiti入力による数字や演算記号も受け付けます。
ですからGraffitiで「2」「+」「2」「=」と入力するとちゃんと「4」と計算結果が表示されるわけです。
ここのところはPalmOSならではと言った感じです。
さて、ここではあくまで、単体での使用と言う事で話を進めているので簡単にしか触れませんが、WorkPad(を含めたPalmOS搭載機)においてはPalmwareと称されるアプリケーションを新たにインストールすることにより機能の追加を行うことが可能です。
パソコンを利用した開発環境が有償(パッケージもしくはシェアウェア)または無償(フリーウェア)で提供されている事もあって、本国のアメリカや日本において数多くのPalmwareが公開されており、先に説明した5つのアプリケーションの弱点を補うか(取って代わることも可能な)のようなアプリケーションソフトも幾つも公開されています。
例をあげればスケジュール管理から始まって表計算や通信ソフト(通信自体はオプションのモデム等が必要ですが)、はたまたゲーム(シューティングにRPGにパズル等)と多種多様です。
ちなみに、WorkPadの標準付属品として本体と別にCD−ROM添付と言う形で英和辞典に和英辞書、Graffiti入力練習用の簡単なゲーム等が付属してきます。
また、PalmOSで本来サポートしていない機能の追加を行うOSのアドイン、プラグインのような物やその追加した機能をさらに利用して動作するアプリケーションも存在します。
ですから、システム手帳のリフィルを交換して自分専用のシステムを組むかのように必要なアプリケーションをインストールしてWorkPadを自分の使い勝手にあったシステム「電子手帳」に仕上げることも可能です。
ただし、これらのアプリケーションのインストール作業を行うにはパソコンが別途必要になります。
ちなみに私のWorkPadはと言いますと、最近は幾つかゲームをインストールした事により携帯ゲームマシン化が進みつつあります。
 
 5.入力機能について
 ところで、各アプリケーションを利用する際に大切となる文字の入力機能について改めて触れておきます。
実は、WorkPad上で文字を入力する際には、2つの方法が採用されています。
1つは始めの方にも話したGraffitiと命名されている独自の簡略化されたアルファベットや数字、&や%のような記号の筆記文字による手書き入力です。
この入力はシルクスクリーンと呼ばれる入力部分に付属のペン等でGraffitiによる手書き入力を行うものです。
このシルクスクリーンは中々考えられた作りになっていて、アルファベットの入力エリアと数字の入力エリアの2つが用意されています。
0(ゼロ)やO(オー)等のように筆記上において同様の手書き操作を行う場合を考えての事でしょうか。
ただ、このシルクスクリーンによる入力でも「@」や「%」と言ったいわゆる「記号(特殊文字)」はアルファベットもしくは数字のどちらの入力エリアでも入力が可能です。
ちなみに、この入力エリアが2つに分かれている事が筆記の速度向上に役だっているようです。
ところで、この入力方法をとった場合には事前にGraffitiを覚えると言った事が必要になります。
しかしながら中々覚えるのに時間がかかったりしたり、いざその文字を入力する際にGraffitiでの書き方を忘れてしまったらどうするかという事がすぐに思い浮かびますが、その点ご安心を。
実は、シルクスクリーンの一番下から上方向に向かってペンを走らせるとそれぞれのアルファベットや数字、記号のGraffitiの書き方ヘルプ画面が登場します。
ですから、いざと言うときはそのヘルプ画面を見れば……。
ところで、Graffitiでは日本語の仮名文字用意されておりません。
Graffitiでは漢字仮名混じり文字の入力はそのままでは出来ないのです。
それでは、どのような方法で日本語入力を行うかと言うと、これはある意味画期的な発想なのですが、始めの方に書いた、英語版をソフトウェアで日本入力を可能にしたものと同じく、Graffiti入力を利用したローマ字入力による仮名漢字変換を行う「手書きローマ字入力」を採用しています。
次に2つめの入力方法ですが、それはソフトウエアキーボードを利用すると言う方法です。
これは、メモ帳等のアプリケーションを展開して文字入力をする際にシルクスクリーンの数字入力エリアの右隣にある「キーボード」と言うアイコンをタッチすると画面上に展開します。
このキーボードは付属のペン等で1文字ずつタッチして入力するもので、平仮名と片仮名とアルファベットと数字を含めた記号類と言った4種類のキーボードを入力文字毎に切り替えて使用します。
ちなみに文字の並びは平仮名と片仮名のキーボードはそれぞれ50音順に、そしてアルファベットのキーボードは普通のパソコンキーボードと同様のASCII配列に、そして記号類のキーボードは独自配列になっています。
ところで、実際にこのキーボードを起動した際には上から3行文(行幅はメモ帳と同じ)の表示欄となりそれ以下の行がキーボードの表示エリアとなり、その状態で文字の入力を行います。
なお、入力した文字がその付属のペン等でタッチするのは十分な文字の大きさを確保しています。
画面サイズの制約を考えれば良く出来ているとは思いますがさて実際に使用した感じは、と言うと始めのうちはともかくGraffiti入力に慣れてくると入力スピードがどうしても遅くなりますので、文字の入力がどうしてもうまく行かない時の補助的利用にとどめるべきかと思います。
さて、(しつこいですが)ここではあくまで単体での使用を前提にしていますので深くは触れませんが、実は文字入力にはパソコンを利用することも出来ます。
ただ、この場合はダイレクトに入力するのではなくてパソコンで入力した情報をあくまでも通信でWorkPad側に送ると言う方法を取ります。
また、WorkPadの入力に関しては先に述べた通りGraffiti入力が仮名文字や漢字をサポートしていないのですが、WorkPadを含めたPalmOS搭載機用の漢字及び仮名文字入力ソフトが幾つか登場しています。
市販では3種類(2001年2月現在)ほど登場していますが、これらの全てに共通して言える事は入力にはシルクスクリーンではなくて画面上に入力エリアを展開して入力を行うと言う方式を採用しています。
これらのソフトの場合は、仮名文字、漢字、アルファベット、数字記号を共通した入力エリアで入力するわけですが、シルクスクリーン部分との併用も出来ますから入力文字毎に振り分けての使用なんて事も可能です。
実際に私もこの手書き日本語入力ソフトを(試用版で)利用してみましたが、クセ字があまりにもひどいのか、若干入力に手間取りリアルタイムにメモを取るには少しばかり無理がある印象を受けました。
ただ、&や%と言った記号の入力に関してはGraffitiよりもスムーズに行う事が出来ましたが。
 
 6.後書きと言い訳をつれずれなるままに…
 この文章を作成してホームページにアップする際に1回ではあまりにも長いのではと判断して幾つかに分割したのですが、個人的な事情で全てのアップまでが予定よりも大幅に遅くなってしまいました。
その間にPalmOS自体もバージョン4.0の発表やらカラー表示機種の増加やら色々と話が進んでいます。
本来、趣旨としては「WorkPad(PalmOS搭載機種)を単体で利用した際の使用感」という事で話を進めてきましたが、果たして単体で使用が出来るのかに聞かれると、私としてはこんな結論に達しました。
 まず、個々の内蔵アプリケーションについては、追加して欲しい機能は幾つかあれども不必要な機能は殆ど無いと言うシンプルイズベストが貫かれていて好感が持てます。
そんな中でもアドレス帳の出来は私自身が幾つか試用及び利用した住所管理機器の中では大変素晴らしいと思います。
 次に入力機能ですが、これは英語使用圏で誕生した手書き入力の悲しさか仮名文字利用ではいささか使い難さを覚えます。
クセ文字をある程度抑える為に考案されたと思われるGraffitiですが、この入力が少しとっつきにくい(特に英語にアレルギーを持っている私のようなタイプには)感じがします。
また、手書きによる電子機器ゆえに文字記録に関しては「入力→文字認識→変換→確定」と言う4段階の作業の繰り返しを行う事もあって、Graffitiによる文字認識率の高さがあるとしても漢字仮名交じりの文章でリアルタイム記録を取るには少しばかり辛いところがあります。
(この辺りの話は処理速度との兼ね合いもあるので永遠の課題なのかもしれませんが)結局、入力面ではまだまだ電子機器故の不満を残している結論に達したわけですが、その不満も「ある程度妥協出来る」レベルに達しつつある個人向け電子情報管理機器が世間一般の間でも手に届き易い価格で登場したわけです。

(−了−)


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