なんでも使用記WorkPad編(番外編)

   IBM製WorkPad(8602−30J)(番外編)
 
 [1]使っていればやっぱり出てくる不満点
 21世紀を迎えた現在、PalmOS搭載機器は本家Palmシリーズのパームコンピューティングを始めソニーのCLIEシリーズ、ハンドスプリングのVisorシリーズ、アスクが販売するTRGのTRGPro、IBMが販売するWorkPadシリーズ、と5社により日本国内で発売されています。
そんな中でそろそろ力不足になりつつある初代WorkPad(8620−30J)ですが、このWorkPadで感じた不満点を中心に(今更ながらですが)話を進めてみたいと思います。
 触れている時間が増加するにつれて標準状態における不満点が幾つも発生してきました。
WorkPad(他のPalmOS搭載機器も含)の立場としては「標準状態で機能不足であれば必要なソフト(Palmwareと呼ばれる)をパソコン経由でインストールしてユーザーの利用形態に合わせてください」と言う事のようですが、日本で発売した以上は出来ればこの位のアプリケーションソフトは最初から使用可能にしておいて欲しかったモノも有ります。
実際の所、WorkPad以降に発売された機種においては本編に綴った事やここであげる不満の幾かをすでに解決しているものが有りますが、あえて必要と思われる理由も含めた話を(本編と重複するところも多少ありますが)進めていく事にします。
 
 [2]付属CD−ROM添付ソフトから
 さて、本編(WorkPad使用記その壱〜その四)の方では4回に渡って標準内蔵アプリケーションソフト(購入後に電源ONで即使用可能なアプリケーション)を中心に話を進めてきましたが、先にも述べた通りPalmOS搭載機においては通称Palmwareと呼ばれるさまざまなアプリケーションソフトを本体にインストールする事によって機能の拡張を行う事が出来ます。
このPalmwareはインターネットのホームページや幾つかの雑誌等から入手可能ですが、実を言うとWorkPad購入時に添付されているCD−ROMの中にも数種類程入っています。
まずはそんな中から幾つかのソフトウェアについて話を進める事にします。
 日本におけるパソコン創成の時期ともいうべき1970年台の初め頃にはコンピューターゲームをするために入手する(中にはわざわざ自作した人も)という人が居た程でコンピューターとゲームはとても繋がりの深いものであると私は思っています。
ゲームが好きな人は今でもゲームをする為に(その時点で)最高性能の機器を購入する事もあるくらいですから、私みたいに比較的ロースペックでこそこそとやっている者には若干理解不能な部分もあるのですが……。
さて、そんな訳で電子手帳の様なコンピューターのWorkPad用のゲームソフトも少し前のパソコンゲーム並みの作品が数多く存在し、CD−ROMにも幾つか収録されているのですが、その中でもヒジョーにWorkPadらしいソフトが有ります。
それは、「Giraffe]です。
このゲーム、俗に落ちモノと呼ばれる部類のゲームに分類されるのですが、実際にプレイしてみてさすがに「WorkPadらしい」と感心させられました。
一体どこがWorkPadらしいのか?というとこのゲーム、実は上から落ちてくるアルファベットや数字をシルクスクリーン上でGraffitiで書く事によって消していくと言う、正にWorkPad版のタイピング(ライティング?)練習ソフトとでも言うべき代物なのです。
 また、普段は無くてもそれ程不自由しませんが、必要な時に手元に無い事が多いのが各種の辞書類です。
そんな不便な状況を改善する為では有りませんが、添付CD−ROMに英和辞典と和英辞典が収録されています。
この英和辞典と和英辞典なのですが、プログラムサイズの違う物がそれぞれ2種類づつ収録されています。
一体何故2種類づつ収録されているのかというと、これにはWorkPadの搭載しているメモリ容量の問題があります。
英和辞典と和英辞典双方ともサイズの大きい(ラージサイズ)の辞書をWorkPadへインストールすると、標準の4MBと言う容量の殆どを消費してしまい他の必要とするアプリケーションを搭載する事が出来ないという問題が発生します。
そのため、ユーザーの使用条件にあわせてサイズの小さい(スモールサイズ)の辞書をインストールする必要があります。
ただし、前にも書いた通り英和辞典と和英辞典のプログラムはそれぞれ別物になっていますので、どちらかをスモールサイズにするとか、また、片方の辞書(英和もしくは和英)だけしか必要としないのであればそれだけインストールすると言う事も可能です。
 
 [3]世間で流通しているアプリケーションソフトから
 先の方でも述べた通り、WorkPad(PalmOS搭載機)の機能を拡張すためにPalmwareと呼ばれるさまざまなアプリケーションが世に出ているわけですが、そんな数々のPalmwaraの中で、WorkPadの付属CD−ROMに収録されていない物でも、私の経験上必要となった事のある物についていくつかあげてみました。
まずは、手書きドローソフトです。
これは俗に「手書きメモ」と称されるもので、2つの理由でこのソフトが必要になりました。
まず1つ目の場面は「すばやくメモを取る」と言う事です。
WorkPadには標準のメモ帳を供えてはいますが、私のGraffitiによる入力速度ではメモを取るにはとても追いつくものではありません。
そこで、白紙の上に直接ペンを走らせるような感じで筆記が可能な手書きメモとして使用可能なソフトが必要となったわけです。
次に2つ目の場面は「筆談」と言う事です。
随分前の話ですが、とある会合で耳の不自由な方と会話する機会があったのですが、私自身は、あいにく手話の心得というものは有りませんので一瞬たじろいでしまいました。
そんな時にふと思い立ったのが手書きドローソフトで筆談を行う事でした。
会話の時間自体はほんの少しの間でしたが、十分に意志の疎通は出来たものと思っています。
また(恥かしい話ですが)、先頃私自身が交通事故に遭ってしまい顎を負傷してしまいました。
相手の方が随分と狼狽してしまったのですが、処置後に声を出して話そうとしてもロレツが回らないような発声になってしまって、相手が聞き取り難い状態で中々会話が進まない様な状態でした。
こんな時は筆談で会話が出来れば「少しは……」と思ったものです。
この時ばかりはあいにく手書きドローソフトを持っていなかったので困りましたが。
次に字引(国語・漢字辞典)です。
新聞や書籍に目を通していると、何度か意味の分からない字にぶち当たる事が語彙数の少ない私にとってはよくあることです。
また、文を書くときには漢字を度忘れしたりこの文意の時に使う漢字に迷ってしまうこと(例えば薦める、勧める、奨める等)が多々あるものです。
こんな時に必要になるのが字引(国語辞典や漢字辞典)です。
この字引ですが、雑誌の付録CD−ROM収録の市販品の体験版を利用してみましたが検索スピード等の能力は世間一般に出まわっている電子漢字辞書と呼ばれる製品とそれほど差はありませんでした。
ただし、WorkPadで採用されている日本語フォントには一部略字が使われているのでその辺りの注意と思われます。
 Graffitiと言う独特の筆記文字(アルファベット、数字、記号)による入力方法で「手書きローマ字入力」を行うWorkPad(PalmOS搭載機)ですが、やはり手書き入力を採用しているのであれば漢字仮名混じり文の入力を手書きで行いたいと思うものです。
実のところ、漢字が分かっている場合は手書きローマ字入力で変換するよりも直接漢字で入力したほうが筆記が早い場合もありますし。
まぁ、そのような声に答えたような格好で何種類かの「手書き日本語入力ソフト」が市販品として発売されています。
私自身も実際に試用版で試したりしてみましたが、共通して言える事は普段文字入力に利用するシルクスクリーンを使用するのではなくて表示画面に入力ウインドウを展開してそこへ手書き入力をすると言うものです。
ですから、アルファベットや数字はGraffiti入力で行い仮名漢字は日本語で直接入力すると言う文字による入力の使い分けが可能です。
しかしながら、クセ字に関してはまぁ、仕方が無いと言うか…。
 さて、別にWorkPadを携帯用ゲームマシンにしろと言う話ではないのですが、PDAと呼ばれる機器類の中で、PalmOS対応のゲームソフトの数は他の機種に比べてかなり多いのでは、と私は感じます。
まぁ、WorkPadが現在販売されているパソコンに比べてて非力とは言え、数年前の家庭用TVゲーム機器や一般に出回り始めた頃のパソコンと同等位の性能は有しているわけですから、ソフトウェア作成に関する情報が公開されている以上は必ず何らかのアプリケーションは登場するわけですが……。
そんなゲームですが、PalmOS搭載機器に関する書籍や雑誌の付属CD−ROM、そしてホームページを幾つかまわって探してみると、シューティングから始まってパズルにRPG等と量だけでなく種類も多種多彩です。
実際に幾つかのゲーム(体験版含)を実際にインストールしてプレイしてみましたが、モノクロ液晶画面でよくぞそこまで作ったと感心させられるものや操作ボタンをうまい具合に割りつけていたり(ユーザによるボタン操作の変更が可能)して中々快適な操作環境も提供されています。
 
 [4]この位は内蔵して欲しいなぁ
 最近(2001年5月現在)発売されているPalmOS搭載機においては標準ソフト以外にも幾つかのアプリケーションソフトが初期状態においても利用可能な状態となっていますが、そんな状況においてもあえて要望を言うと
 ○手書きドローソフト(手書きメモ)
 ○各種辞書(英和、和英、国語)
の2つのアプリケーションソフトは内蔵しておいて欲しいと思います。
まず、手書きドローソフトは手帳としての最低の「迅速にメモを取る」と言う機能上において必要とされるアプリケーションであると思われます。
また、各種辞書類は言うまでも無く必要となる時が普段考えるよりも多いものです。
このWorkPadよりも後発の機種には英和・和英の辞書を内蔵させているものがあります。
私はそんな製品の情報を知る度にいつも不思議に思うのですが、何故国語辞典は内蔵されない事が多いのでしょうか。
確かに、漢字での表記を忘れた時にはIMEの機能や和英辞典を利用すれば字自体は調べられるでしょうが同音異義語を使ってしまったりしたら……。
 
 [5]メモリ容量の話
 さて、WorkPadを使用する際には(後発機種と比較して)内蔵されているアプリケーションが最低限の物しか搭載されていない事もあって、幾つかのアプリケーションをインストールする必要が出てくる事が多いものです。
「必要なアプリケーションをインストールして自分流にカスタマイズする」と言えば聞こえがいいのですが、ここで問題が持ち上がる事があります。
それが、メモリ容量の壁です。
これも必要、あれも必要と言ったあんばいで幾つものアプリケーションをインストールして行くうちに予定表等の情報の追加やアプリケーションの追加が出来なくなる事態に遭遇します。
この状態がメモリ容量を全て使い切ってしまった状態です。
この文の前の方でも少しばかり述べましたが、英和辞典と和英辞典のラージサイズの辞書をインストールするとメモリ容量の残りがほとんど無くなってしまいます。
必要とする他のアプリケーションがインストール出来ない事態に遭遇するわけです。
そこで、その対策として必要不可欠な作業が本体メモリの「増設」作業です。
 このメモリ増設は特にアプリケーションを追加する事無く使用する分にはする必要は特に無い事(やっておいても損はありませんが)ですが、私の場合は以下の条件を満たすためにメモリ増設を実施する事にしました。
 ○英和・和英辞典に加えて国語辞典をインストールする。
 ○辞書に加えて手書き日本語ソフトをインストールする。
 ○さらにその上で幾つかのアプリケーションを使用可能な環境にする。
なお、メモリ増設に関しては「メモリ改造を受け負う」店に本体を持ち込んで改造してもらう方法とサードパーティ等から販売されている増設メモリを利用する方法の2つがあります。
その中で、私は増設メモリを購入する方法をとりました。
理由としては改造費用+送料よりも近所の店で売っていた増設メモリの値段の方が若干安かった事があります。
ちなみに、入手した増設メモリは4MBのもので、これを使用する事でWorkPadのメモリは合計8MBとなります。
ちなみに増設メモリによる増設作業は裏ブタ取り外してメモリを本体内部にある拡張用のスロットに挿し込めば完了というものなので、事前にちゃんと取扱説明書を読んでそ
の注意にしたがって作業を行えば無事に終了します。
また、メモリ増設における問題点としては、増設メモリを使用する際には本体内部の拡張スロットを使用する事になりますので、この拡張スロットに他の周辺機器に利用している場合には増設メモリによる増設は実施できません。
しかし、増設メモリの故障の際にはそれを取り外せば本体は使用可能です。
本体が故障した場合はメモリを外して販売店へ持ち込めば良いわけですし……。
改造による増設の場合は故障の際には本体かメモリかの区分けは困難ですから、まずは改造した店へ持ち込む必要があります。
ところで、どちらの増設方法でもメモリを増設した事によりその分消費電力が増加しますから電池の持ちが短くなります。
バッテリの持ちについては時と場合によって使用頻度が異なるので正確な時間の差は分かりませんが、増設前は1ヶ月に1回くらいのバッテリ交換が2〜3週間くらいに1回くらいに縮まった感じです。
 
 [5]最後に一言
 WorkPad(30J)も日本国内での発売から2年以上が過ぎたわけですし、何度か書いたように初めての「メーカーによる完全日本語対応」機種である事もあってか最近の(IBMも含めた)各メーカーから発売されているPalmOS搭載機と比べると表示能力に処理速度、そしてデザイン等、見劣りを感じる部分が幾つか目立ち始めています。
まぁ、デザインだけは好みですから別にしても、同一デザインの筐体の新製品が発表されなかった事から周辺機器の供給については不安になります。
しかしながら、新製品新機軸新機能を追いかけてみるばかりではなくて本体の持っている機能をどのように利用して行くかと言うのがアプリケーション開発者ではない私のようなユーザーの姿の1つなのでしょう。
 やっぱり『人の頭脳を加えた時』にそれがどのような力を人に与え、その能力を発揮するのかと言う事でしょうか。

(−了−)
 

なんでも使用記トップへ戻る