***チョコレート***
「ハッハッハ!大漁、大漁!!小さくなってもやっぱオレってもてるよなぁ〜」
2月14日、バレンタインデー
日本中の女の子達が踊らされる日である。
毎年毎年、全国各地からオレ(工藤新一)宛に送られてくるチョコレートの山。今年は数は減ったものの、まずまずの数であることは確かだ。
歩美ちゃんから1個、灰原から明らかに義理っぽいのを1個、文乃ちゃんから1個、知らない子から1個、宛名の無いのが2個。これだけが小学校でもらった分で、あとは喫茶店ポアロのお姉さんから1個と、園子から1個、蘭から2個。(コナンと新一、別々に)そして、家に届いた見知らぬ女の子達からざっと18個で、合計28個。
去年より数が少ないのはまぁ仕方が無い。なんたって、メディアからすっかり遠ざかってんだからな…
え〜コホン……ところで……本命なんですが…
お〜い、ハットリさ〜ん、早くしないと折角のバレンタインが終わってしまいますぜ?
いつもいつも、用が無い時に来るくせに、どうして今日は来ないワケ?月曜だから??
ぜってー来ると思って工藤家でじっと待ってるオレが馬鹿みてぇじゃねぇか。
PM 23:08
…残り一時間を切りましたっっ!
あ"〜〜〜〜〜!もう!!なんで来ねぇんだ!!
いい加減イライラしてきたその時。
ピンポ−−−−−−ン
来た!間違い無ぇ、服部だ!!
気持ち軽い足取りで玄関に向かったのに、その先で待ち受けていたのは…
「こんばんわ〜、コナンちゃん元気ィ〜〜?」
なんでてめぇが来るんだよ!黒バ快斗!!
明らかに不服そうに剥れてみたオレを見て、楽しそうにニヤニヤと笑いながら、黒羽は勝手にあがってきた。
「どうしたの?快斗にいちゃん(ブリ)」
「ん〜、コナンちゃんにチョコのお裾分けしにね!いっぱいもらったから。子供って甘いもの好きだしね」
「うわ〜、ありがとう快斗にいちゃん!(けっ、いらねぇーよ。帰れ帰れ。←心の声)」
黒羽はそんなオレの心を知ってか、長居する気満々(見れば判る)で、勧めてもないのにソファーに腰掛けた。
…それにしても、なんでコイツはオレがここにいることが分かったんだ?
「ねぇ、快斗にいちゃん。どうしてボクがここにいるってわかったの?」
「ん?ああ、探偵事務所に行ったら玄関先で蘭ちゃんと黒い関西弁が喋っててさ、ここにいるって聞いたから」
黒い関西弁ってのは多分…いや、絶対服部だろう。アイツやっぱりこっち来てんじゃねぇか。なんで早くここに来ねぇんだよ……
「その関西弁の人は?」
「え?知らねぇよ。蘭ちゃんの彼氏じゃねぇの?」
ブブーッ 違いますぅ オレのですぅー!!
畜生。服部の野郎、オレというものがありながら蘭に手ぇ出してんじゃねぇだろうな!
明らかに不機嫌になったのが分かったんだろう。黒羽は「じゃ、またな」と言ってそそくさと帰ってしまった。
残されたオレは独り、徐にチョコをヤケ食いし始めた。
何でぇ、服部のバカ!!
「コラコラ工藤。そない食いよったら、オレの分が入らんようになるで?」
いつの間に来たのか、背後には服部が立っていた。それにしても気配が全然しなかったし…第一、オレ鍵掛けてなかったか?
「遅なって悪かったなぁ、ちょお予定外に時間食ってしもてん」
予定外の時間ってのは、多分蘭に捕まっていた分だろう。
「はい、これ。オレの気持ちや。勿論受け取ってんやろ?」
差し出した包みの中には、不格好なチョコレートが入っていた。
……まさか、手作り??
「はは、不格好やろ? この時期はどうにもチョコ買い辛ぅて、和葉に板チョコ買うてきて貰うて作ったんや。見た目は悪いけど、味はええから安心して食いぃ」
「……ありがと…」
試しにひとかけら放り込むと、口の中で溶けて広がった。
「うまい…」
「そやろ?オカンが昔作ってくれよったのを見よう見まねでやってみたんやけど、上手くいってよかったわ」
顔を赤くして照れる服部が可愛くて、何だかこっちまで赤くなってしまう。
「ありがとな、服部」
そう言って両手を服部の頬に添えて、
そして、ゆっくり口付けた。
「……甘い」
「………そだな」
折角の『バレンタインに二人きり』という最高のシチュエーションだというのに、平日という事もあってもう別れなくてはならない。
「ホワイトデー、楽しみにしとくわ」
「おぉ」
ホワイトデーも平日だけど、愛があるから大丈夫!…てか?
オチないまま終わっちゃう(爆)
ハハハハ…何だか有りがちなバレンタインネタです(苦笑)
刺身のツマのような黒羽さん(17)…ごめんよう(T_T)
本当はもっと絡ませようと思ってたんですが、なんだかずるずるになってしまったので止めました。(爆)ファンの皆様ごめんなさい(土下座)因にこの話の黒羽さんはコナンちゃんの正体を知っていますが、コナンちゃんは知らないという設定で(苦笑)
それにしてもコナンちゃん。「オレというものがありながら蘭に手ぇ出してんじゃねぇだろうな!」ってセリフ、受っぽいよ(苦笑)