7月7日、星を見たかい?
★☆★☆★
「コナンく〜ん、お願いごと何書いた?」
歩美が短冊と、折り紙で作った飾りを両手に抱えて寄ってきた。
今日は全校七夕会で、体育館でイベントがある。1クラス1本の笹にそれぞれ飾り付けをして、七夕の劇や七夕クイズなどをする。(どーでもいいけどこの行事7回目…)
1人に3枚ずつ配られた短冊、オレのは未だ全て無記入だ。「早く元の姿に戻りたい」なんて切実な願いは勿論却下。誰かに見られたらどうしようもないしな…
ちらりと歩美の短冊を覗き見ると、
「女探偵になりたい」
「仮面ヤイバーに会いたい」
「コナンくんと結婚できますように」(!)
……と書かれていた。 ハハハ…小学生らしいねぇ。「あっ、コナンくん見た!? H!」
「え?見てないよ」(自分はオレに聞いてきたくせに…)
小学1年生らしい願いごと… ん〜〜、「サッカー選手になりたい」とか?
隣の灰原に目をやると、
「組織の壊滅」と英語で(!)書かれてあった。
…その手があったか………汚ねぇ…
「はやくしないと、笹あがっちゃうよ」
「あ… うん」
仕方がないので「サッカー選手になりたい」「名探偵になる」(笑)「早く大人になりたい」(切実)と書いて笹の葉に結び付けた。
★☆★☆★
コナンが給食のデザート『たなばたゼリー』を懐かしく味わっていた頃、服部平次は工藤家の前に立っていた。
「来てしもた…」
朝、学校へ行くつもりで家を出たのに、何故だかフラリと東京まで来てしまった。こんな昼間に勿論コナンが居る筈もなく…
「アホやな… 帰ろ…」
そう、踵を返そうとした時、ふと声をかけられた。
「うちに何か御用ですか?」
「へ?」
振り向くとそこには、昔雑誌等でよく見た事のある2人が立っていた。
そう、工藤優作・有希子夫婦である。
「え〜と、その… 新一くんいらっしゃいますか?」
「いやぁ、君が西の高校生探偵・服部平次くんか」
「えぇ、まぁ…」
かなり間の抜けた顔をしてるだろう、平次は「もう帰りますんで…」と去ろうとしたのだが、2人に捕まってしまった。「新一が帰ってくるまで話でもしようじゃないか」とお茶を出され帰るに帰れなくなってしまったのだ。
「あの、お2人はたしかアメリカに住んどるって聞いたんですけど…」
「ええ、でも今日は1年に1度の必ず家族で過ごす日なの。七夕に肖ってみたの」
「あ、それやったら俺やっぱりお邪魔ですよ」
「いいのいいの!新ちゃんの秘密を知ってる数少ない人なんだから、なんだったら是非夕飯も食べて行ってね」
元とはいっても相手は日本きっての美人女優。ニッコリ微笑まれて平次は「喜んで」と頷いたのだった。
★☆★☆★
毛利探偵事務所に一旦ランドセルを置きに帰ると、『今日は博士の家に泊まる』と書き置きを残し、すぐにまた靴を履いて今度は家へと向かう。もうアメリカの両親が帰ってきている筈だ。毎年この日だけは時間を作って親子3人で、いつもは使わない屋根裏部屋、透き通った天窓の星を眺めながら食事をしているのだ。(雨の日は?とかのツッコミは無しね)「て… 何でオメーがここに居るんだよ、服部!」
「ケチケチすんなや工藤。俺はお父さんとお母さんにお呼ばれしてやなぁ」
「人の両親を『お父さん』とか『お母さん』とか呼ぶな!いつも『おっちゃん』とか『おっさん』とか言ってるクセに!」
「世界の工藤優作先生を『おっさん』なんて呼べるか、ドアホ!」
「コラ!新ちゃんも平次くんも喧嘩しないの」
「だって母さん…」
「まだ喧嘩するのなら、夕食はナシよ」
「………………」
「テーブル運び終わったぞ。 ん?なに剥れてんだ?新一」
「別に」
今年は曇ってはいたものの、相変わらず夜空は綺麗だった。
「なぁ工藤…」
「うん?」
「今日俺な、学校行こうおもうて家出たのに気がついたら新幹線に乗っとったんや。なんやここに来なアカンような気がしてな…」
「…なんだよ、それ」
「今日なら『工藤新一』会えるような、そんな気がして…」
「服部…?」
「やっと分かったわ、確かに今日俺は『工藤新一』に会えた。いつもはなんぼ一緒におっても邪魔が入ったり人目を気にして普通に喋れんかったんやけど… 今日は最初から最後までお前と一緒におったっちゅう実感が湧いとる」
「…服部…」
「短冊に願いごとを書いたら叶うっちゅーけど、ホンマやったんやな」
「バ〜ロ、クセェんだよ」
見上げた空には雲間から薄らと星が光っていた。
END
くさくさなものをかいてしまってまことにもうしわけありません…
タイトルと噛み合ってないし、最初の方はコメディっぽく行ってるのに。 ギャフン。
ところで、『たなばたゼリー』って全国区?北九州地方だけですかねぇ…?あ、ひょっとして『七夕集会』ってのも僕の小学校だけ…??イカンなこんなことじゃ(死)ああもう!文句苦情どんとこい!!(><)