あの聞き慣れた関西弁が、今でも耳に残っている。
無駄に広い家に一人でいると何故かいつもアイツのコトを思い出してしまう。
「馬鹿みたいだ…」
ボソリと呟いた声でさえもが家中に響き渡る。
アイツは、いつもいつも唐突に訪ねてくる。特に高校を卒業してからは毎週と言って良い程だ。
この間来た時は笑いながら『マイルがぎょうさん貯まったで〜、旅行券当たったら一緒にどっか行こうや』なんて言ってたっけ。ひょっとしてアイツのバイト代って、全部交通費に化けてないか?高校の頃は新幹線で来てたっけ、そして確かバイクで来た事もあったよなぁ…
今更乍ら……アイツ、金大丈夫なんだろうか…
アイツは必要以上に五月蝿いから、その五月蝿さに慣れてしまうと一人が凄く寂しく感じることもある。
特に、長期休み。
春・夏・冬休みは、いつの頃からか必ずいる。大学生になると試験休みまでアイツはいつもやってくる。
…って、
あれ?
今までの話を纏めるとー……
毎週末に上京して? 長期休み毎に上京して? それから試験休みにも上京して…… 兎に角時間があれば上京するって………!?
…そりゃ、マイルも貯まるワケだ…
「やっぱり馬鹿だ、アイツ」
うっかり顔が綻んでしまったじゃねーか。
そんだけ交通費に金使うなら、ハナっから東京に住めば良いのに。
とりあえずオレん家も、使ってない部屋ぐらいいくらでもあるんだから。
アイツは多分今頃大学だな。
確か明日まで試験だって言ってたし。
こっちは昨日で試験も終わったし、
金もあるし、
暇してるし…
ま、たまにはこっちから会いに行くか。