5月16日 於:四季劇場・秋
ねこ@松戸です。
観劇のレポは、李香蘭ばっかり3回目になります。
「李香蘭は何度も観れない」とおっしゃる方が多い中、李香蘭のレポばっかり
流すのは恐縮で、「今回はやめようかな…」とも思ったんですが、
やっぱり書きたいのお!
観るたびに、深く、深ーく考え込んでしまうので、もしやそれが原因なのか、
10日に1ぺんは李香蘭に通っている気がします。
ほんと、自分でも、なぜこんなに足を運んでしまうのかわかりません。
偶然の一致で明日のマチネにまた行ってしまうのですが、李香蘭を観ると
どーっと疲れるというのは私もあって、しかも観てきたばかりだというのに、
明日の観劇をわくわくしてたりします。なんなんじゃろ、ほんとに。
閑話休題。
501回目の公演でしたが、「範さんよい!」という投稿を見ていたというのに、
あんなにのびのびと歌う五東さんをなぜ範さんに変えるんだろう、と、五東さんを
気に入っていた私としては、始まるまでちょっと不安でした。
なんか、全く違う演目を観た気がしました。
当然日本語が流暢な五東さんに対し、まだちょっと片言気味の範さんが、
愛蓮をやったってだけでなんでこんなに違うのか、
今回は範さんの愛蓮に泣かされました。
範さんが愛蓮をやると知って、一番楽しみにしていたのが中国語の
松花江上でした。でもこれは、私には余り五東さんと違うところは
わかりませんでした。
でもどうしてなのか、♪今日〜から〜、二人は〜姉妹〜…って頃から
なんか悲しくて、マンチェリアンドリームっていう喜びのナンバーが、
範さんが出てきたとたん、どことなく悲しい曲に聞こえてしまうんです。
範さんは、実のところ、日本がしたこういうひどいことをどう思っているのか、
とっても知りたいと思いました。ある程度、日本がした残虐なことを隠し気味に
教える日本の歴史の授業と違って
(平長山事件は、私はこの公演で初めて知りました)、中国や韓国では
「日本はこんなひどいことをしたんだ!」って、教えてるかもしれないし、
だから戦争が終わって50年たってももめるんだし、やるせないです。
役者さんの表情も見える位置にいた私は、最後、玉林が日本軍に残虐な方法で
殺されたことを聞かされ、すごい顔をゆがませながら
♪あの人はいつも言っていました〜 と歌い出す範さんを見たら、
「びえ〜〜〜〜〜〜〜!!」と泣きたくなってしまいました。
そんなこんなで、帰り道は、ずうっと、「どうして中国の人は、自分の子でもない、
ましてやひどい目に合わされた日本の国の子供を、育てたんだろう」って
真剣に考えてしまいました。
これが逆の立場なら、まず、多くの人が日本で暮らすことはなかったでしょう。
たぶん、日本政府はこれを問題視して、なんでもいいからまとめて中国に
送ってしまえ!って考えそうな気がします。
「たしかに日本は、中国をひどい目に合わせたけど、一般の日本人、まして
子供は関係ない」って、みんなそう考えられる国なのでしょうか、中国は。
ちょっと、信じられない。
でも、そう考えたからこそ、中国は李香蘭を無罪としたわけで、
これが日本だったら暴動でも起きるんじゃないかと思うんですが。
今日初めて、「李香蘭はいい席では観れない」「観たくない」とおっしゃっている
方が、なぜそういうのか、わかりました。
今までただ漠然と、「観るべきだ!」と考えていたのですが。
500回公演に山口淑子さん(李香蘭のモデル)がいらしたと聞いて、
「その美貌と鈴のような声」なんて形容を連呼されるとはいえ、
もし私が彼女だったら、最初の「殺せ!殺せ!」でロビーに飛び出しているかも
しれない。
一時期、大スターとしてちやほやされたとは言え、やっぱり日本軍に
利用されたって経験は、もうできればあまり思い出したくない思い出だと思うし、
この演目はなんかあまりにもリアリティがありすぎる気がするのですよ。
今まで、いろんな戦争物の映画とかテレビ番組を観た気がするのですが、
これまで私は、戦争ってものに興味が沸きませんでした。
戦争ってものが悪いことだということはもちろんわかっていたんですが、
よくよく考えたら、私が「悪い」って思っていたのは、ほとんど原子爆弾について
だったような気がします。
どうも、日本が戦争に負けたって被害者的な感じしか、今まで受けてこなかった
私に対して、「李香蘭」って演目はメッセージが強すぎです。
強すぎるんだけど、なぜか、私をひきつけるものが合ったりする。だから通う。
でもいまだに信じられないんです。この話がほぼ事実だってこと。
↑初めて戦争の話を聞いた子供のようだわ、ほんと。
野村さんについて、声が出たのは日曜日だけだった、なんていったら
どうしよう…なんて、ご一緒していただいた、秋津さん、
なおりん@目黒さん(&お子様♪)と話していたんですが、初日、2度目、そして
今日と、だんだんよくなってきた気がします。
うるさいほどにかかっていたエコーもそれほどでもなくなったし。
ただ、もう1歩かなあ…という気はしますが。だんだん調子出てきたのかな、
と安心してました。保坂さんも、絶好調のときはこんなもんじゃない!と
思いましたが、「ん??」と思った日よりは、よくなった気がしました。
ですが、終演後、劇場を出ていく野村さんを見てしまったんです。
仏頂面で、髪の毛で顔を隠すようにして、ほとんど逃げるように走って…。
あの舞台の上にいるときは考えられない表情が、今でも忘れられません。
周りには他にも人がいたんですが、誰も声なんてかけられなかった。
ぞっとするほどでした。
今まで何気なく、「お疲れなのかな、がんばって欲しいな、できれば替えて
欲しいけど、やっぱり替えないんだろうな」なんていってましたけど、本当に、
胸が締め付けられる思いってこういうこというんだろうなって思いました。
できれば、野村さんのところに行って、両手を握ってぶんぶん!って振ってあげたい。
↑ 変ですか?私。
歌が全く素人の私がそんなことやったら、よけい野村さんを傷つけると思うんで
やりませんが、研究所からトップまでのぼりつめた野村さんなんですから、
不調の原因が体調だろうとスランプだろうと、乗り越えると信じています。
ほんとに、ほんとに、がんばって! 野村さん!!
先に出ていった、芝さんらしき車が、野村さんの横でクラクションを一発、「ぱっ」
と鳴らしていたのが印象的でした。
ほんとに芝さんの車だったのかどうかは、わかりませんが。
そいでは、一眠りしてまた李香蘭観てきます♪
↑いつ仕事してんだ、こいつ…
最後に、今日のキャスト…
# アンサンブルとはいえ、李香蘭をできる人は少ないんだそうな…。
李香蘭:野村玲子 杉本:芝清道
川島芳子:保坂知寿 王玉林:海将人
李愛蓮:範衛華
男性アンサンブル
日下武史 遠藤敏彦 深水彰彦 林和男 川地敬友 松下武史
光枝明彦 岡本隆生 佐川守正 青山裕司 古谷直通 松下雅博
浅井優 蔡暁強 藤田将範 池田英治 武藤寛 中村匠 石路
女性アンサンブル
磯津ひろみ 木村不時子 松永さち代 三橋葉子 佐藤夏木 佐和由梨
小林由佳 李賀 田中麻衣子 種子島美樹 王埜
ねこ =^. .^=