フランク・ザッパ
HISTORY
フランシス・ヴィンセント・ザッパJrは、1940年12月21日、アメリカはメリーランド州ボルティモアに、4人兄弟の長男として生まれる。 ハイ・スクール時代からバンド活動を始め(当時はドラム担当)、その後、前衛ロックバンド「The Mothers」を母の日に結成(この頃から、ザッパはギターを担当する)。 1966年に、MGMよりロック界初の2枚組アルバム「Freak Out!」でレコード・デビュー(と同時に、バンド名をレコード会社から「The Mothers Of Invention」と改名させられる。 マザーズはマザーファッカーを連想させるという理由で)。
その後のザッパの音楽活動を通して見てみると、68年、自らのレーベル「ビザール/ストレイト」を設立、その第1弾作品は「Uncle Meat」であった。 71年はザッパ受難の年だった。 12月、スイスのモントルーのライヴ中火事になり、機材がすべて燃えてしまう(その様子を見てたディープ・パープルが「Smoke On The Water」をつくる。 歌詞にしっかりザッパとマザーズの名前が歌われていますよ)。 その1週間後、凶変したファンにステージから突き落とされ、左足を骨折。 活動停止を余儀なくされる。 73年に新レーベル「ディスクリート」を設立。 このあたりから、ザッパの音楽性はより明確になってくる。 マザーズのメンバーも一新され、そのライヴは各所で絶賛を得ることになる。 76年には初の、そして唯一の来日ツアーを行う(東京浅草公演の主催者は内田裕也)。 77年、LP4枚組超大作「Lather」の発売について配給のワーナー・ブラザーズと折り合いがつかず、結局中止(96年に正式発表)。 79年に「ZAPPA」レーベルを設立、傑作「Sheik Yerbouti」等を発表。 81年にまたもや新レーベル「バーキング・パンプキン」を設立。 この頃からシンクラヴィアで制作された音源を発表することが多くなる。 自宅スタジオ「UMRK」での作業が多かったこの頃だが、88年にライヴ活動を再開。 92年に米大統領選立候補を表明(後に中止)。 そして93年12月4日、53回目の誕生日を目前にして、前立腺癌のため死去。 生涯ザッパが発表したアルバムは60枚以上にのぼり、そのどれもが高い完成度を誇っている。
ザッパの活動は同時に戦いでもあった。 レコード会社との、アルバム発売方法などでの意見のくい違い(MGM時代にはLP12枚組のBOXセット発売の計画があったが、もちろん破棄される)、元メンバーとのギャラや著作権の問題、卑猥な歌詞に対するPMRCからの圧力、ライヴ会場に必ずいるアホな観衆、そして癌。 多くの敵を作りながらも、それらに屈することなく、むしろそれらをあざ笑うように作品に反映させていくのは、ザッパさながらである。
ザッパ・バンドからは、ローウェル・ジョージ、テリー・ボッジオ、エイドリアン・ブリュー、ウォーレン・ククルーロ、スティ−ヴ・ヴァイ、マイク・ケネリーなど、多くの優れたミュージシャン達が輩出されている。
ザッパの音楽性はジャズ、現代音楽、R&B、クラシック等非常に多ジャンルの音楽がミクスチュアされており、どんなカテゴリーにも当てはめられないであろう。 アルバム2、3枚聴いただけではその音楽性はつかめない。 60枚以上の作品全てにつながりがあり、その全てがひとつの作品と言って過言ではない。 このような素晴らしい作品群を、我々は無視してはならない。
私とフランク・ザッパ
本当は、私はザッパ専門のサイトを作ろうかと思ったくらいの、ザッパマニアなのです(今思えば、そっちの方が楽だったかな〜)。 ただザッパといえば、「奇才」、「変態」、「難解」、「歌詞が卑猥」、「いかにもマニア向けの音楽」という偏見がどうしてもつきまとってしまいます。 確かにビートルズなんかと比べちゃうと、その毒ガスのような音楽はとっつきにくいものがあるでしょう。 でもそれは、ザッパが才能ありすぎて、周りがそれに追いつけない結果だと思うのです。 実際、ビートルズの「Sgt. Peppers...」は、ポールがザッパの2nd「Absolutely Free」の音源を偶然聴いて、アイデアを思いついたと言う逸話があります。 これが本当なら、ポールは当時からザッパの才能を認めていたことになりますよね(そんなポールも、優れた才能の持ち主だということです)。 天才とはかく在るべきなのでしょう。 ザッパが亡くなった今だからこそ、ザッパはもっと評価されるべきなのです。 みなさん、上にも書いてありますが、ザッパの作品を無駄にしちゃあいけません。 もっと“音楽”を知って、そしてザッパを知ってください(歌詞の内容は知らなくてもいいですけど...)。 ザッパについてもっともっと言いたいことがありますけど、今回はここまで(次回はあるのか?)。 たくさんのパワーをありがとう、不乱苦雑派。
余談その1:ザッパは1日16時間も働くほどのワーカホリックでした。 でも当の本人は「自分は働いてるつもりは無い」とのこと。 私も見習いたいです。
余談その2:ザッパが大統領になってたら、今頃アメリカはどんな国になっていたんでしょうねぇ。 ザッパがまだ生きていたら、クリントンさん、あんたザッパにけちょんけちょんにコケにされてるよ(笑)。
独断と偏見で選ぶこのアーティストのこの1枚
Lather(レザー)
「これを選ぶのは反則なんじゃない?」と、ザッパファンの方から文句言われそうですが、許してください。 というのは、この音源のほとんどは、アルバム4枚に分けて(ザッパには無断で)すでに発表されていたので、現在では編集版という印象があるようなのです。 でもこの作品が77年に正式に発表されてたら、絶対今の音楽は変わってましたよ。 パンクの登場にも影響が出てたかもしれませんね。 とにかく、この作品にはザッパの全てが詰まっています! ジャズ、クラシック、とてつもないテクニシャン揃いのライヴ。 初めて聴いたら、そのヴォリューム、完成度に圧倒されっぱなしでしょう。 こんな凄い作品がたったの7,800円で買えちゃうなんて安い安い(笑)。 一家に1枚(CD3枚組だけど)、宇宙旅行のおともに!!
アルバム紹介
(ザッパ初心者に特におすすめのアルバムには、タイトルの右に☆マークをつけています)
1 フリーク・アウト! Freak Out! ☆
2 アブソリュートリー・フリー Absolutely Free
3 ウィー・アー・オンリー・イン・イット・フォー・ザ・マネー
We Are Only In It For The Money
4 ランピー・グレイヴィ Lumpy Gravy
5 クルージング・ウィズ・ルーベン&ザ・ジェッツ
Cruising With Ruben&The Jets
6 アンクル・ミート Uncle Meat
7 ホット・ラッツ Hot Ruts ☆
8 バーント・ウィーニ−・サンドウィッチ Burnt Weeny Sandwich
9 イタチ野郎 Weasels Ripped My Flesh
10 チャンガの逆襲 Chunga's Revenge
11 フィルモア・ライヴ ’71 Fillmore East,June 1971
12 200モーテルズ 200 Motels
13 ジャスト・アナザー・バンド・フロムL.A.
Just Another Band From L.A.
14 ワカ/ジャワカ Waka/Jawaka
15 グランド・ワズー The Grand Wazoo
16 オーヴァーナイト・センセーション Overnite Sensation ☆
17 アポストロフィ Apostrophe(’) ☆
18 ロキシー・アンド・エルスウェア Roxy And Elsewhere
19 ワン・サイズ・フィッツ・オール One Size Fits All
20 ボンゴ・フューリー Bongo Fury
21 ズート・アリュアズ Zoot Allures ☆
22 ザッパ・イン・ニューヨーク Zappa In New York
23 スタジオ・タン Studio Tan
24 スリープ・ダート Sleep Dirt
25 シーク・ヤブーティ Sheik Yerbouti ☆
26 オーケストラル・フェイヴァリッツ Orchestral Favorites
27 ジョーのガレージ Joe’s Garage Act1,2&3
28 ティンゼルタウン・リベリオン Tinseltown Rebellion
29 黙ってギターを弾いてくれ Shut Up ’n Play Yer Guitar
30 ユー・アー・ホワット・ユー・イズ You Are What You Is ☆
31 たどり着くのが遅すぎて溺れる魔女を救えなかった船
Ship Arriving Too Late To Save The Drowning Witch
32 ザ・マン・フロム・ユートピア The Man From Utopia
33 ベイビー・スネークス Baby Snakes Soundtrack
34 ロンドン・シンフォニー・オーケストラVolT&U
London Symphony Orchestra Vol T&U
35 ザ・パーフェクト・ストレンジャー
Boulez Conducts Zappa−The Perfect Stranger
36 フランチェスコ・ザッパ Francesco Zappa
37 シング・フィッシュ Thing-Fish
38 やつらか俺達か Them Or Us ☆
39 ザッパ、検閲の母に会う Zappa Meets The Mothers Of Prevention
40 ダズ・ユーモア・ビロング・イン・ミュージック?
Does Humor Belong In Music?
41 ジャズ・フロム・ヘル Jazz From Hell
42 ギター Guitar
43 オン・ステージVol.1 You Can't Do That On Stage Anymore Vol.1
44 ブロードウェイ・ザ・ハードウェイ Broadway The Hardway
45 オン・ステージVol.2 You Can't Do That On Stage Anymore Vol.2
46 オン・ステージVol.3 You Can't Do That On Stage Anymore Vol.3
47 ザ・ベスト・バンド The Best Band You Never Heard In Your Life ☆
48 メイク・ア・ジャズ・ノイズ Make A Jazz Noise Here
49 オン・ステージVol.4 You Can't Do That On Stage Anymore Vol.4
50 オン・ステージVol.5 You Can't Do That On Stage Anymore Vol.5
51 オン・ステージVol.6 You Can't Do That On Stage Anymore Vol.6
52 プレイグラウンド・サイコティクス Playground Psychotics
53 アヘッド・オヴ・ゼア・タイム Ahead Of Their Time
54 イエロー・シャーク The Yellow Shark
55 Civilization Phase V (現在日本盤は入手不可かも)
56 ロスト・エピソード The Lost Episodes
57 レザー Lather
58 ミステリー・ディスク The Mystery Disk
遺作はイエロー・シャーク。 アルバムが60枚以下なのは、LP時2枚以上の作品だったものが、CD化の時にひとまとめにされたものが存在すること(「ジョーのガレージ」等)と、編集盤や「ビート・ザ・ブーツ」シリーズを除いているため(そ、それにしても、これだけリスト書くの疲れるわ〜〜)。
ザッパをもっと知りたい方へ
英語のサイトだけど、ここは本当に凄い! ザッパの全曲の歌詞があったり、インタビューがあったり、特大のジャケットの画像があったり... マニアなら行くべし!!