どのような解雇が不当解雇なのか


●質問---------------------------

 「私は先日、会社の業績が不振なことを理由に解雇を言い渡されました。その一方で会社は、別の人間を採用しています。業績不振は私の責任でなく、納得できません」


●答え---------------------------

 企業は従業員を、自由に解雇できるわけではありません。解雇を行なうためには、さまざまな法律や判例上の制約があります。

 解雇には大きく分けて、懲戒解雇と整理解雇の2つがあると言えるでしょう。従業員が何らかの落ち度を犯し、それに対する処分として行なわれるのが懲戒解雇。従業員の側には落ち度がないけれど、会社の経営上の都合で行なわれるのが整理解雇です。

  解雇の正当性が問われた「高知放送事件」に対して1977年に出された最高裁の判決は、その後「解雇権濫用法理」という判例法として確立されました。現在では企業が整理解雇を行なう場合に、次の4つの要件を満たされなければならないと考えられています。

 1.整理解雇を行なう必要性があること

 2.企業が整理解雇を回避するための努力を尽くしたこと

 3.整理解雇の対象を選ぶ基準が公正かつ合理的なこと

 4.整理解雇について従業員と誠実に協議を行なったこと


 経営の悪化が一時的なものだと見なされる場合、整理解雇を行なう必要性があるとは認められません。しかも整理解雇を行なう前に企業は、さまざまな努力を行なうことが求められています。その具体例としては役職者の手当の削減や希望退職者の募集、そして新規の採用を中止することなどが挙げられるでしょう。社員に残業をさせておきながら、整理解雇を行なうことも許されません。残業をさせなければ、より多くの社員に仕事を確保できるはずだからです。

 整理解雇の対象となる社員は、客観的で合理的な基準に基づいて公正に選ばなければなりません。経営者の好みやえこひいきで整理解雇を行なってはならないのです。しかも従業員と誠実に協議を行なった上でなければ、整理解雇を行なうことはできません。

 これらの要件を満たさない整理解雇は、解雇権を濫用した不当解雇と見なされて無効になります。



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