試用期間の延長は許されるのか


●質問---------------------------

 「私の会社では、正社員として採用される前に3箇月の試用期間があります。ところが私は勤めはじめて3箇月を過ぎたのに、まだ正社員として採用してもらえません」


●答え---------------------------

 会社は従業員を正社員として本採用する前に、試用期間を設けることが許されています。この試用期間の長さについて、労働基準法には全く何の規定も定められておりません。試用期間に関しては労働基準法の12条や20条で、少しだけ触れられているに過ぎないのです。したがって試用期間の長さは、会社と従業員の双方が合意で定めてかまいません。しかし試用期間が長すぎる場合は、民法90条に違反すると見なされ無効になる可能性もあります。

 期間を定める労働契約の場合、その期間は原則として最長で1年までしか認められません。したがって試用期間も、長くて1年を超えないようにするべきだと言えるでしょう。

 いったん決めた試用期間の短縮は自由ですが、逆に延長することは原則として認められません。それが認められるのは試用期間中に本人が病気などで長期間にわたって仕事を休み、そのため適性を判断することができなかった場合などに限られます。

 試用期間中の従業員に対して企業は、全く自由に本採用を拒めるわけではありません。本採用の拒否は「客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当として是認できる場合にのみ許される」という最高裁の判決が存在しているからです。

 しかも本採用をしない場合は、そのことを試用期間が終わる前に本人へ知らせておかなければなりません。本採用をしないという知らせが行われなかった場合、試用期間を過ぎた時点で自動的に正規の労働契約へ移行します。たとえ改めて本採用するための取り決めを、企業の側が本人と行なわなかった場合でも変わりはありません。試用期間が3箇月という取り決めで採用された従業員は、勤めはじめて3箇月を過ぎた時点で自動的に正社員と同等の扱いを受ける資格が生じるのです。

 そのような従業員を解雇するためには、正社員を解雇する場合と全く同じ条件を満たさなければなりません。



株式会社ハッシュの事例


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