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連載リレー小説「ヒロとスズ」そのご
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 ツヴァイ >  

 「お前達、電車の中はお前達二人だけがいるわけではない。少し静かにしていたらどうだ?」
  その野太い声に、二人が顔を上げた。
  そこには、厳つい、そして傷のある顔の大男が立っていた。醍醐も巨漢だが、それ以上の巨漢
 だ。
  あんた誰だ、とヒロが言おうとしたが、スズが先に声を上げた。
 「紫暮さん!」
  その名前には、ヒロも覚えがあった。K−1ワールドグランプリで日本人として初優勝を飾っ
 た男だ。
  しかも、その優勝の影にはもう一つのエピソードがあった。
  前日、オヤジ狩りに遭っていた男性を助けた際、左足にナイフを深々と貫かれていたのであっ
 た。
  にも関わらず、決勝戦では必殺の右ハイキックで、20世紀最強のキックボクサーと呼ばれた
 ピーター・アーツをマットに沈めたのである。
 「俺の事を知っていてくれるのは嬉しいが、ここは公共の場だ。人の迷惑になる事は控えるもの
 だ」
 「すみません……」
  二人は深々と頭を下げた。
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 テイル > 

 「ん……オマエ達……魔神の生徒か?」
 「? そうですけど……なにか?」
  スズがおそるおそるきいてみた。
 「ん? ああ、すまんな。知り合いに魔神の者がいてな……」
 (へーそうだったんだ。まさかこの人まで葵センセの知り合いって事は……まさかな。そう都合
 いいわけないか)
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 遼来来 > 

 「もしかして、美里葵って先生を知ってるか? 確か、母校に就任しているはずなんだが」
  なんと、紫暮選手の方から水を向けてくれた。
  これを見逃すヒロではない。が、スズの表情も険しくなった。
 「ハイ! 実は僕らの……んぶっ」
  勢い込んで答えようとするヒロの口を、スズの掌がすかさず封じこめる。
 「ハイハイ、騒ぐなって言われたばっかりでしょ。……偶然ですね、紫暮さん。
  私たち、その美里先生の担任するクラスの生徒なんです」
 「ほう」 
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 テイル >

 「そうか……元気か?」
 「もうばっちしです。」
 「そうか……なら言ってもらいたい事があるんだが……いいか?」
 「はい……いいですが……」
  スズはなんだろと思いながら話を聞こうとした。
  掌底くらったまま気を失っているヒロを無視したまま……。

 「アイツは元気か? と聞いてくれ。それだけでいい」
 「それだけですか?」
  重要な事とおもいきや……タダ元気かときくだけ……?
 「それぐらいなら! ってアイツって?」
 「美里にとって大事な奴だよ。美里だけでない……俺にとっても大事な奴だ……」 
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 草薙珠璃 > 

  大事な奴と耳にしたヒロ。クサい、実にクサイ、不謹慎にもそう思っていた。
  恐らく小蒔辺りが聞いていたならば、初対面コークスクリューは確実であろう。
 「ひーちゃんッ。そんなに根掘り葉掘り聞いたら失礼でしょッ」
  と、スズは小声で注意すると、ヒロの頬を思い切りつねった。
 「いッ、いでででででで……」
 「お前等……人の話を聞いていたか?」
  とうとう、紫暮の顔が引きつった笑いを浮かべた。 
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