唐栖は、冷酷にそう言うと、車の屋根からひょい、と飛び降りた。
「あ……どこへ行くの?」
「帰るんですよ。もう、ここに居る理由は、なにもありませんからね。
あなたも、早くお帰りなさい。そのタクシーを使えばいい。車くらい、運転できるんでしょう?」
「ま、待って」
すたすたと立ち去ろうとする唐栖を、絵莉は引き止めた。
「どうして私を助けてくれたの? それに、どうしてわかったの?」
「この騒ぎのことは……、この鴉(こども)たちが、教えてくれたんです」
唐栖は、右肩に留まっている鴉に、愛しげな視線を送った。
「そして、あなたを助けたのは……あなたが、雷人(あいつ)らの行動の、
役に立ちそうだから……ですか、ね」
「あの子たちの……? じゃあ、あなたも……!」
絵莉の顔が、ぱっと輝く。
が……、
「……残念ですが、僕があいつらの仲間になる、というのは――
期待するだけ、ムダというものですよ……」
唐栖の答えは、そっけなかった。
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