現在メインのブラウザは Netscape Communicator 4.78 で、本格的に CSS を使ったページの確認や閲覧には Netscape 6.2 を使用しているんですが。最近後者の用途について Netscape 6.2 に加えて Mozilla 0.9.7 を使いはじめました。
で、Netscape は実際に使ったことのある方も多いでしょうけど、Mozilla についてはたぶんあまり知られていないと思いますので、由来や機能などについて、多少あやふやな部分もありますが自分の知るところを少し。
その昔、IE も Netscape Navigator も存在しない頃に、NCSA で作られた Mosaic というブラウザがありました。時代が時代ですし、たぶんグラフィカルブラウザといえば Mosaic という感じではなかったかと思いますが、その後そこのスタッフたちが独立して作ったのが最初の Netscape Navigator でした。
そのときに新しいブラウザの名前として、打倒(?) Mosaic という意味を込め、Mosaic(モザイク)+ Godzilla(ゴジラ)で Mozilla というのが考えられたらしいんですが、商品名としては適当でないと判断されたのか、net(ネット)+ scape(風景)で Netscape 、そしてその Navigator という意味の Netscape Navigator が採用されたと。
ですが Mozilla という名称も気に入られていたのか、コードネームや愛称として生き続けたわけですね。伝言板やアクセスログなどの UA の表示では、Netscape Communicator 4.78(Windows95)だと、" Mozilla/4.78 [ja] (Win95; U) "といった具合に表示されるんですけど、どこにも Netscape の文字はありませんし。
ちなみに本家の Mosaic には、複数の会社がライセンスを買い取って作ったバージョンがあるようですが、そのうちの一つ、Spygrass 社製 Mosaic のライセンスを買い取って(?)作られたのが、Microsoft の Internet Explorer でした。最近の IE は知りませんが、自分の IE2.0 のバージョン情報には、Mosaic や NCSA、Spygrass などの文字が見えます。言わば Mosaic は共通の祖先のようなものですね。
やがてトップブラウザとしての地位を獲得するまでになった Netscape Navigator でしたが、その後新たなライバルとなった IE の無料化や Windows へのバンドルといった攻勢を受け、さらにはその Windows 自体の普及や、Netscape側の新しい技術への対応の遅れなどもあって、そのシェアは減少していきます。
その後 Netscape 社は 4.x の次期バージョン、Netscape Communicator 5.0 の開発に着手するわけですが、やがて Netscape 社はそのソースコードを公開し、その作業の中心は新しく設立された mozilla.org へと移ることになります。そこでリリースされるブラウザに Mozilla の名前が付けられ、のちに Netscape 社がリリースした Netscape 6.0 以降のバージョンは この Mozilla の開発中のバージョンが元になっています。
それはさておき、mozilla.org 設立後、結局今までの Netscape Communicator は破棄されて、一から新しく作り直したものを採用することになりました。そのために大幅に 4.7x 以後のリリースが遅れ、さらにバージョンも 5.0 を飛ばして 6.0 となったのは御存知の方も多いかと。
というわけで、数年前までは Mozilla イコール Netscape Navigator(or Communicator)だったんですが、現在は別物ということで、UA の表示も下のリストのようになっています。Netscape 6.x のほうには Netscape のバージョンが追加され、Mozilla としかない場合には、Mozilla そのものか 旧バージョンの Netscape Navigator(or Communicator)ということですね。
ちなみに Netscape 6.2 の rv:0.9.4 というのは、Mozilla 0.9.4 が元になっているということです。20011019 はそのまんま日付ですね。ですので、基本的に Mozilla 0.9.7 のほうが機能や速度などでは上なんですが(リリース日も20011221ですし)、やはり Netscape 6.2 に比べると多少安定していない部分があるようです。
Netscape 社からリリースされる Netscape 6.x は、Mozilla.org の Mozilla が元になっているわけですが、実際には少し前のバージョンを下敷きにしており、また安定性も優先してのことだと思われますが、Mozilla にはあるけれども Netscape にはない機能というのがあります。
で、そのあたりをいろいろと紹介していきたいと思いまして。もちろん、こうやって Mozilla に実装されているということは、いずれ Netscape 6.x のほうにも実装される可能性があるということでもあります。
たとえば「ホームページ入門」みたいな感じの本でHTMLを勉強した方には耳慣れない言葉かと思いますが、Netscape の独自拡張などではなく、きちんと仕様書で定義されている要素の一つです。ただ現在のところ Netscape Navigator (or Communicator)も Internet Explorer も対応しておらず、自分の記憶が正しければ、わずかにマッキントッシュの iCab やテキストブラウザの Lynx が対応しているくらいだったかと。定義などについては以下のリンクに。
要は閲覧者に他の文書へのリンクなどを提供するんですが、a 要素 <a href=""></a> との違いは、rel 属性、または rev 属性によって文書の関係性などが定義されるということです。たとえば目次のページであるとか、前のページであるとかですね。
とりあえず百聞は一見に如かずということで、まずは実際の記述と表示について。以下のソースは「Eternal Wind」の小ネタ「目的」の head 要素からの抜粋です。
<link rev="made" href="mailto:tkj@black.interq.or.jp"> <link rel="index" href="./" title="Eternal Wind"> <link rel="start" href="../" title="Snow White"> <link rel="contents" href="../white.htm" title="Menu"> <link rel="prev" href="./memoff01.htm" title="小ネタ「モノのたとえ」"> <link rel="next" href="./memoff03.htm" title="小ネタ「誤用」">
link 要素は head 要素内に記述します。rel 属性や rev 属性でリンク形式を示し、href 属性で対象の文書を指定します。で、Mozilla の場合は以下のように表示されます。メニュー部分の三段目、Top とか Up とか書いてある部分ですね。
なお title 属性についてはなくてもかまわないんですが、記述しておけば Mozilla の場合はポップアップでその内容を表示してくれます。またブラウザによっては Top や Next などの部分に表示するものもあるようです。いずれにせよ文書中に表示されるのではなく、ブラウザによってリンクが提供され、クリックすることで当該文書へと移動します。
rel="index" は索引への、rel="contents" は目次への、rel="start" は文書群の最初の文書へのリンクを提供するのに使われます。といっても今一つ使い分けがわからないんですが(おい)。Mozilla では contents は Contents of Table、start は Top と表示されています。
「rel="index" と rel="contents" の表示」 「rel="start" の表示」
rel="prev" と rel="next" はそのまんまですね。prev (Mozilla では Prevous と表示)は前の文書を、next は次の文書を示すのに使われます。
「rel="prev" の表示」 「rel="next" の表示」
rev="made" では、href 属性で指定されたメールアドレスへメールを送ることができます。Mozilla では Authors と表示されています。
「rev="made" の表示」
また全てのページに必ずしも用意されているわけではないという事情を鑑みてか、メニューから link 要素の表示非表示を切り替えられるようになっています。以下はその設定ですね。
「Site Navigation Bar の設定」
link 要素については現状対応しているブラウザが少ないんですが、将来的には Netscape 6.x にも実装される可能性が高いと思いますので気に留めておいても損はないかと。ただ Internet Explorer のほうは実装の基準がわからないのでなんとも言えませんが、まあ可能性はなくはないんじゃないでしょうか。
以前いろいろなブラウザを試した時に、自分の環境では使えないブラウザがけっこうありました。たいていは IE のコンポーネント(4.0以降?)を利用するためなんですが、そういったブラウザの中でもタブ使用のブラウザは人気があるようで。で、今回は Mozilla のタブ機能について少し。
Mozilla 0.9.7 の画面写真(mozilla.png、800x600ピクセル、53KB)
上にメニューが三段ありまして、例によって三段目は link 要素に使われる Navigation bar ですが、その下のページ表示部との間に「Bookmarks」「Eternal Wind」「With Blue」といったタイトルが表示されているタブがあります。
要はタブに表示されている6つのページを同時に開いているということなんですが。もちろんタブをクリックすればそのページが表示されますし、タスクバーに見られるように、開いているウインドウは一つだけです。
Opera のようにそれぞれの大きさを変更することはできないようですし、普通にクリックすると普通に開いてしまうので、そのあたり設定の変更や違った操作(中ボタンクリックとか)が必要にはなりますが。ま、こういうこともできますと。
ちなみにタブが追加されたのは(Netscape 6.2 の元になった)0.9.4 の後のバージョンなので、Netscape のほうにはまだその機能はありません。こちらも安定性などに問題がなければ、早晩追加されるのではないでしょうか。
これはけっこう興味のある方も多いんじゃないかと思うんですが、選択した文字列をそのまま右クリックから検索する機能についてご紹介。とりあえず画面写真ですが、ここのトップページのメニューから"北へ。"の文字列をドラッグして反転させて、そのまま右クリックしたところです。
右クリック時の画面写真(search.png、800x600ピクセル、51KB)
並んでいる項目中の反転している部分にご注目。「Search for '北へ。'」の文字が見えると思います。で、ここをクリックすると以下のように検索結果が表示されるというわけです(今回は google 使用)。
google による検索結果(result.png、800x600ピクセル、56KB)
とまあこういった具合。ただ今回使用している Mozilla 0.9.7 は英語版なので、別に検索プラグインをインストールする必要があるんですが、たいした手間ではないです。