ゴルフ場農薬

ゴルフ場農薬


ゴルフ場はもともと雑草などが生えにくい植生のスコットランドで完成されたものであり、欧米のゴルフ場ではごく一部の名門コースを除けば雑草の手入れにはそれほど神経質ではないが、高温多湿で植物の繁殖が盛んな日本では雑草などを押さえこんでしまうために芝生や樹木に大量の農薬を使うことになる。このため気化した農薬を吸い込んだキャディや従業員が、かぶれや目の痛みなどの健康被害を訴えたり、ゴルフ場近くの川で魚が大量に死んだケースが報告された。また新設ゴルフ場は山間部で川の上流部に造成されることが多いために、流出した農薬が水源を汚染することも心配されてきた。

1990(平成2)年3月現在、リゾート法で増え続けるゴルフ場は全国に1718カ所、それに加えて建設中300カ所、計画中が1000カ所もある。ゴルフ場の農薬に不安を抱えた住民たちによる反対運動はこの2〜3年、全国で起きはじめ、88年には東京で「全国ゴルフ場問題住民交流集会」が開かれるに至り、開発側は「農薬は農業でも使うし、ゴルフ場ばかり批判するのは魔女狩りだ」と逆襲に出た。しかし追放運動はどんどん広がり、すでに30カ所が建設中止、計画凍結に追い込まれている。ほとんどの都道府県が農薬対策を決定し、なかには千葉県のように新しく造成するゴルフ場は農薬を禁止するというところもあり、厚生省もやっと90年から水質目標値を設定した(→別項)。ゴルフ場は年間3トンもの農薬を使うが、農薬だけが問題なのではない。その影響は地下水が枯れたり、川が濁ったり、化学肥料で水を汚染したり、ひいては洪水の原因ともなるが、なにより18ホールのゴルフ場は平均100ヘクタールもの林野を切り開いて造成する大規模自然破壊であることを認識しておくべきだろう。

『現代用語の基礎知識』 (CD-ROM版)_ 1991年
           発行所=株式会社 自由国民社