中央改札 悠久鉄道 交響曲

「もう一人の迷い人 前編」 とも  (MAIL)
もう一人の迷い人 前編


 ここは雷鳴山近くの森…。
 ズドォン!
 「グルオォォ!!」
 雄叫びをあげながら近くの木をなぎ倒すオーガー。その近くには、
エンフィールドでは見たことのない服装をし、バンダナにメガネとい
う一風変わった格好をした少年がオーガーの姿を見ながらボーっとた
たずんでいた。
 ビュン!
 ふいに、オーガーが少年目掛けて殴りかかる。少年ははっと我に返
ると紙一重で攻撃をよけ、一瞬のうちに距離をとるとボソリとつぶやく。
 「ふう。気付いたら怪物の攻撃?僕、なんか悪いことでもしたのか
なぁ…。」
 少年はぶつぶつと文句を言いながら、さらにオーガーの攻撃をかわ
す。
 「グアァォォ!」
 なかなか自分の餌になろうとはしない少年に対し、オーガーは怒り
の声を上げながら襲いかかる。そして…
 バキィ!メキメキ…ズドォオ…ン…
 よけた少年の後ろにあった巨木が、少年の代わりに倒れた。

 ちょうど同じ時…
 「?!…なんだ?今の音は…。」
 その少年と少し離れた場所で、倒れた木の音を耳にしたリカルド。
アルベルトに振り返り、
 「アル、どうやらこの近くに例の獰猛なオーガーがいるようだ。行
くぞ。」
と言うと、注意深く木々の間を進んでいく。
 「分かりました。」
 アルベルトも注意深く周りの気を探りながらリカルドの後へ付いて
いった。

 そして、リカルド達は少年とオーガーを見つけたはいいがその場に
立ちすくんだ。
 「なんなんだ?あの少年は…。」
 リカルドが驚くのも無理はなかった。彼らの目的は『最近うろつき
始めた獰猛なオーガーの排除』だ。そのオーガーは一匹狼でどんなモ
ンスターとも一緒にいようとはしない。が、強さが半端ではないのだ。
そのため、少数精鋭としてリカルドとアルベルトが選ばれたのだった。
そして、その『獰猛なオーガー』とたった一人の少年が戦っていたのだ。
 「た、隊長!早くあの少年を!」
 我に返ったアルベルトがリカルドをうながす。
 「うむ。私が時間を稼ぐ。行くぞ!アル!」
 リカルドとアルベルトは少年を助けるべく、駆け出した。

 ドテッ…ザスッ!
 「ってぇ〜!何すんだよお!」
 木の根に足を奪われる少年。さらに腕に傷を負わされてしまい、言
葉が分かるかどうかも知らないモンスターに対し、怒りをあらわにす
る。オーガーも少年にやられたのだろうか、ところどころに傷を負っ
ていた。オーガーは倒れた少年に追い打ちをかけるように、トドメを
刺そうと腕を振り下ろす。
 「グアアァァ!!」
 「あぶない!」
 と、少年にオーガーの腕が襲いかかるかの刹那、リカルドがその攻
撃を止めるべくオーガーに体当たりを食らわす。その威力でオーガー
は木に激突し、地に倒れ込む。
 「グァ?!」
 オーガーは何が起きたのか理解できず倒れた体を起こし、ゆっくり
を周りを見まわす。そして、邪魔されたのを理解すると、怒りの矛先
を食事の邪魔をしたリカルドへと向けた。
 「グォォン!」
 「アル!今のうちに!」
 「はい!さ、こっちだ。」
 リカルドの指示に従い、アルベルトは少年を違う場所へと連れていった。

 少年はアルベルトに連れられて、そこから少し離れた比較的安全そ
うな場所に行きつく。そして、いきなりのことに少々呆然となりなが
らもアルベルトにボソリと礼を言う少年。
 「ありがとう…。」
 「まったく…いったい何でこんなとこにいたんだ?見たところ…エ
ンフィールドでは見ない顔だし…。」
 「エンフィールド…?なに?それ。」
 アルベルトの言葉に対し、少年は何をいっているか分からないとい
う顔をする。
 「ねえ、ここって日本じゃないの!?」
 「なんだ?エンフィールドを知らないだと?!それに「ニホン」っ
てなんだ?それにお前、見たことない服装してるし…。あ、俺はアル
ベルトってんだ。お前、名前は?」
 「朋樹…。式 朋樹。」
 そして、少年…朋樹…は肩を落とすと力無くつぶやいた。
 「…紅蓮と同じように異世界へ来ちゃったのか…。」
 沈黙がしばし辺りを包み込み…
 「紅蓮だと?!」
 「!」
 アルベルトの声がそれを切り裂く。朋樹は、アルベルトの言葉を聞
くとハッとしたように顔を上げた。
 「紅蓮?!紅蓮がここにいるの?!」
 朋樹はアルベルトのえりを凄まじい力でつかむと、前後に揺さぶる。
 「ねえ!紅蓮を知ってるんでしょ!?」
 「わ…わがっだがら…。ぐるじひ…。」
 見ると、いつの間にかアルベルトの顔が呼吸できないことで青ざめ
ていた。
 「ご、ごめん!」
 朋樹はハッと我に返ると、えりから手を離す。アルベルトはやっと
解放され、のどを押さえながら咳をしていた。
 「がはっげほ…ったく。見た目は弱そうなのにすげえ力だな…。知っ
てるよ、今…。」
 ドオオーン…
 「ぐああぁぁ!」
 アルベルトと朋樹の会話を引き裂くように木が倒れる音が響き、続
いてリカルドの声が響く。
 「た、隊長が!朋樹、お前はここに…。」
 「僕も行く!」
 アルベルトの声をさえぎり、朋樹が叫ぶ。
 「お前は引っ込んでろ!」
 「いいから聞いて!あの怪物…」
 「怪物じゃねえ、オーガーっていうモンスター…」
 アルベルトが朋樹の間違いを正そうとするが、直後、朋樹の一喝が
アルベルトを黙らせる。
 「チャチャ入れないで!あいつなら…。あれならアルベルトさんが
協力してくれれば僕がすぐに倒す!」
 「…」
 アルベルトは迷った。自分ならリカルドの代わりにオーガーと戦い、
朋樹にリカルドを助けさせる。が、これは朋樹の協力があってこそだ。
当の朋樹はオーガーと戦おうとしているため、それを頼んでも聞いて
はくれそうにない。それに、そうこうしてる間にもリカルドに危険が
迫っているのだ。迷っている暇はない。そして、アルベルトはオーガ
ーと戦っていた朋樹を信じることを決心した。
 「分かった。手短に説明しろよ。お前を信じてやる。」
 「とにかく時間を稼いで。スキをついて僕がケリを付ける!」
 「分かった。行くぞ!」
 アルベルトと朋樹は互いにうなづき合うと、リカルドの元へと急いだ。

 「くっ…これまでか…」
 片足を木には挟まれ、抗戦にも疲れ果てたリカルドは覚悟せざるを
得ない状況にあった。 「(アルは…ちゃんとあの少年を助けること
は出来ただろう。唯一の気がかりとしたらトリーシャだな。あの子に
私は…)」
 オーガーはあまり動かなくなった獲物…リカルド…にゆっくりと近
寄ると、腕を思い切り振り上げ、
 「グアァァ!」
 雄叫びとともに振り下ろす!
 ヒュォオン!
 「(…………?)」
 リカルドは戸惑った。いつになってもオーガーの腕が来ないのだ。
ゆっくりと目を開けるとそこには…。
 「…大丈夫ですか?」
 朋樹の顔があった。向こうではアルベルトがオーガーをくい止めて
いる。
 「なぜ戻って…!くっ…。」
 「待ってて下さい。すぐに終わります…。」
 朋樹はかけていたメガネを胸ポケットにしまう。と…同時に、眼に
鋭さを宿らせた。
 「まだかっ!朋樹ッ!」
 「…アルベルトさん!今だ!」
 「ブレイク!」
 ゴォォォ!
 アルベルトの声を合図に、槍の刃の部分から紅い閃光がほとばしる!
 ドゴォ!
 「グオオォォォン!」
 閃光がオーガーの顔面にクリーンヒットし、それと同時にアルベル
トが後ろに飛ぶ。それに合わせて朋樹が後ろからオーガーに突っ込み…。
 「(父さん、母さん…。ごめん!)斬閃!」
 声と共に、朋樹の手刀がオーガーの胸板を一閃する。二〜三秒の間
をおき、その軌跡にそってオーガーの体がずれ、さらに一瞬遅れて鮮
血が辺りを真紅に染めていった。
 「グオオアァァ…!」
 ドォオォン…
 二つにされたオーガーは断末魔をあげながら崩れるように倒れ込む。
その行為に、リカルドもアルベルトも声すら出なかった。見た目わず
か十五、六の少年が一撃でオーガーを倒してしまったのだ。
 「さ、アルベルトさん、おじさんを。」
 「あ、ああ。大丈夫ですか?隊長。」
 朋樹とアルベルトに助けられ、リカルドはなんとか立つことが出来
た。足も一緒に挟まれた枯れ木のおかげで折れてはいないようだ。
 「さて、と…」
 朋樹はリカルドを助け起こした後、草をごそごそと探し始める。
 「何やってんだ?」
 「薬草探し…あ、これだ。ね、そこらに太い棒かなんかない?」
 「う、うむ。これでいいかね?」
 リカルドがかたわらにあった棒を朋樹に渡す。
 「うん、上々。」
 朋樹は切り株の上に薬草をのせ、バシバシと叩き始める。
 「アル、彼はいったい…?」
 「あ、はい。朋樹と名乗ってまして…。どうやら紅蓮と顔見知りみ
たいです。「ニホン」とか訳の分からないことを言ったり…あ、そう
いえば。『紅蓮と同じように異世界へ来ちゃったのか』と言ってまし
た。おそらく、間違いないでしょう。」
 「うむ。彼…朋樹くんは、紅蓮くんと同様の異世界からの迷い人だ
ろう。それにしても…、異世界にはとんでもない者がいるものだな…。」
 リカルドとアルベルトが話す中、朋樹が薬草を叩いたいりして出来
た薬を持って来た。
 「えっと…リカルドさん…だったよね。これつけてみて。」
 「これは?」
 「僕の死んだ父さん直伝の薬。打ち傷や、外傷によく効くよ。包帯
ないから僕のバンダナで我慢してね。」
 朋樹は説明しながら、頭にしていたバンダナをしゅるりとほどくと、
せっせとリカルドに処置をしてゆく。
 「いいのか?」
 「うん、僕、旅にでも行こうと思って荷物持って歩いてたんだけど
…。その矢先に事故にあっちゃったんだ。で…気付いたらここにいたっ
て訳。いっぱいあるからいいよ。それよりもさ、このオーガー。弔って
あげなきゃ。ね、アルベルトさん。ちょっと手伝ってくれないかなぁ?」
 何を思ったのか、突然とんでもないことを言い出す朋樹。
 「まあ、俺はかまわないが…。」
 アルベルトは、言葉を濁しながらも同意し、共に穴を掘り始める。リ
カルドはその行為を止めようとはせずに、ただ見守っていた。
 「………」
 墓を作り終え、朋樹はしばらくの間、目を閉じて手をあわせる。
 「リカルドさん。アルベルトさん。僕のこと紅蓮のとこ連れてってく
れない?」
 一通りのことを終わした朋樹は、頼み込むような眼をしながら言う。
 「ああ、当たり前だ。危険なところに置いていけるわけないだろう。」
 朋樹の言葉に、アルベルトがあきれたように言う。
 「アル、肩を貸してくれ。それでは行こうか。君の友人、紅蓮くん
のいる街…エンフィールドへ…」

 カララ〜ン♪
 いつものようにさくら亭のベルの音が鳴り響く。
 「いらっしゃ〜い。あ、アルベルトにリカルドおじさん。どう?例
のオーガー。」
 「うむ。もう心配はない。ところで、紅蓮くんは…?」
 「紅蓮?紅蓮なら配達だけど…。なんで?」
 「いや、この少年なんだが…」
 そう言うと、リカルドは朋樹にこっちへ来るように言い、リカルド
の後ろから朋樹が出てくる。
 「ども。こんにちわ。朋樹っていいます。」
 軽く礼をする朋樹。
 「私はパティ。よろしくね。で、この朋樹と紅蓮がなんなの?」
 「ああ、彼と紅蓮くんは昔からの親友だったそうだ。」
 「ええ〜?!…ってことは…!」
 「うん。紅蓮と同じくこっちの世界へ迷い込んで来ちゃったんだ。」
 今度は特にがっかりするわけでもなく、さらりと言う朋樹。
 「…あ、あのさ、ちょっとは向こうの世界へ帰りたいとは思わない
の?ご両親とかさ、心配じゃない?」
 パティが驚きながら言う。
 「ううん、もういないんだ。」
 「え?」
 パティが再び驚く。…その時
 「たっだいま〜!配達終わったぜ!パティ。」
 話の途中に紅蓮が帰ってきた。
 「紅蓮!」
 「え?…とも?!お、おい、なんでここに?!」
 紅蓮は、いきなりのことに立ちすくんでいる。そして眼をこすり、
あらためて朋樹を見るB
 「やっぱり…ともだ。でも、いったい…?」
 どうやら、紅蓮は朋樹のことを「とも」と呼んでいたようだ。朋樹
はその問いに、ゆっくりと口を開き始める。
 「うん。順を追って言うね。まず、紅蓮がいなくなった時。あれ、
目撃者がいたんだ。」
 「え?」
 「神隠しだとか、一時期おじさん達大変だったんだよ。で、そのこ
ろ、母さんが倒れちゃって。」
 朋樹の元気が少しなくなり、紅蓮は自分の耳を疑うように聞き返す。
 「あのおばさんが?!」
 「うん、ガンだったって。そのあとすぐに…」
 「…いい人だったのに。強くて…優しくてさ…。」
 「ぐ、紅蓮。優しいはともかく強い…って…?」
 紅蓮の言葉に驚くパティ。
 「ああ、おばさんはこいつン家に代々伝わる『式流武術』の継承者
だったんだ。今はこいつが受け継いでるってことになるんだけど。」
 紅蓮は朋樹の肩をポン、と叩いた。そして、朋樹は照れながら紅蓮
の言葉を訂正する。
 「っていっても、まだまだ未熟だけどね。」
 「ちょっとまて!あれで未熟なのか?!」
 アルベルトが割り込んできた。
 「どした?」
 「『どした』じゃねぇ!こいつ、例のオーガーを一撃で葬ったんだ
ぞ!」
 アルベルトの言葉に、紅蓮は笑いながら朋樹との話を続ける。
 「ははは、そっか。腕上げたんだなぁ、お前。なんだ、奥義でも使っ
たんか?」
 「ううん、「石斬ノ型」だよ。それに、母さんが、「奥義は教えて
もらうものじゃない。自分で考えろ。」だってさ。まいっちゃうよ。」
 と、呑気に会話する二人。アルベルトの抗議の声もなんのそのだ。
 「おい…なんでそんなに普通にしゃべっていられるんだ?」
 アルベルトが言うと、パティも同感と言わんばかりにうなづく。
 「ん〜。ま、いいじゃん。んな、たいそうなモンじゃない。それに、
俺はこっちに来てから強くなったけど、こいつは向こうにいたときか
ら相当鍛えられてたからな。見た目で判断しない方がいい。アルベル
トなら、この言葉の意味分かるだろ?さ、とも。話の続き聞かせてくれ。」
 紅蓮にうながされ、朋樹は話を続ける。
 「うん。で、紅蓮がいなくなって六〜七ヶ月かな?おじさん達が急
に元気になって…」
 「ちょっとまった!」
 「え?」
 「それ、俺からのメッセージが届いたからだろ?」
 「そ、そうだけど…。なに?」
 朋樹がビックリしながらも聞き返す。
 「俺、一年以上かけたんだぜ?なんで六〜七ヶ月なんだ?」
 「さあ?たぶん、時間の進みが違うんじゃない?僕、今十七歳だけ
ど紅蓮は?」
 「十九…。こっちで二年、そっちは一年ってことか。ということは、
そっちはこっちの時間の流れの半分か。」
 「そうだね。で、その時…僕、結構落ち込んでてさ…でも、おじさ
ん達にその紅蓮のメッセージ見せてもらって。「あ、紅蓮無事だった
んだな」って安心したよ。元気も少しは戻ったし。そうだ!あのパー
ティ組んだ四人とはまだ一緒なの?」
 「いや、ティナとアルザの二人だけだ。フィリーはあの映像の場所
にいるよ。で、ウェンディは家の用事とかで実家に帰ってる。」
 紅蓮は少し悪いことをしたような顔つきで答える。
 「な〜んだ。あのフィリーとかいう妖精、見たかったのに。」
 「ま、その内会えるって。」
 がっかりする朋樹の肩を叩き、なぐさめる紅蓮。
 「へえ、紅蓮って妖精ともパーティ組んでたんだ。」
 話が長引き、みんなを気遣ってコーヒーを運んできたパティが感心
したようにつぶやく。
 「ああ。…っていっても、ほとんど成りゆきみたいなモンだからな。
それに、あれって妖精っていえるのかな?」
 「そうだね。あの映像の中でカイルってヤツやレミットって娘と並
んで騒がしかったし…苦労したんじゃないの?」
 映像のことを思い出したのか、笑いながら紅蓮と話す朋樹。
 「ああ、苦労したぞ。カイルにゃさんざん妨害受けるわ、レミット
にはデートの邪魔を…!」
 そこまで言った時、紅蓮の顔が急に青ざめ、パティと朋樹の顔に笑
みが浮かぶ。
 「へぇ♪デートの邪魔ねぇ。やっぱり、映像の中で仲良くしてたティ
ナなの?」
 「な〜んだ。ティナか。やっぱりね。紅蓮も隅に置けないわねえ。
休みの時に時々、ふらりとどこかに出かけていくの、やぁ〜っぱりデ
ートだったんだ。今まで確証ないから黙ってたんだけど。」
 さらに薄笑いを浮かべる朋樹とパティ。一方、紅蓮はあわてて否定
し始める。
 「あ、ちょ、ちょっと!い、今の無し!頼む、忘れてくれ!な?ト
リーシャやローラあたりにこのこと知れたら、ゆっくりデートできな
い…って、なに墓穴掘ってんだ俺はぁ〜!」
 「ど〜しよ〜かな〜?ね、パティ?」
 「そうね。ラ・ルナのディナーなんてのもいいわね。」
 勝手に自ら墓穴を掘った自分に対して後悔しまくる紅蓮を後目に、
相談を始める朋樹とパティ。
 「ラ・ルナって?」
 「うちは大衆食堂兼宿屋。ラ・ルナはレストランよ。うちとは、ラ
イバルみたいなものだけど。ま、敵情視察ってコトにしとけばいいわ。
あとは、夜鳴鳥雑貨店あたりでなんか買ってもらうってのでいいわね。」
 「いいね!パティ、冴えてる!」
 さらにとんでもないことを話し始める二人。そんな中。紅蓮は、泣
く泣く自分の所持金を数えていたりする。
 「なあ、二人とも。ちなみにどっちか片方だけってのは…?」
 「「却下!」」
 「しくしく…分かりました…。」
 息の合う二人。これでも、初めて会ったばかりなのに…。
 「その…盛り上がってるところ悪いんだが…。」
 突如、リカルドが割り込んできた。
 「な、何?!まさか、リカルドさんらも?!」
 引きつった顔をする紅蓮。が、紅蓮の予想に反し、リカルドは首を
横に振ると話を切り出す。
 「いや。さっき朋樹くんの言っていたレミットというのは、マリエ
ーナ王国第三王女のレミット王女ではないか?つい最近に即位したと
思ったが。違うかね?紅蓮くん。」
 「ああ、そうだよ。そういや、第一、第二王女が相次いで病気で亡
くなったらしいね。んで、レミットが急に即位したんだっけ。」
 「ええっ?!生意気そうなのが?!」
 王女を生意気呼ばわりする朋樹。
 「そ。人は見かけによらねぇっていうけど、ほんとだよな。」
 「紅蓮…あんた、レミット王女とも知り合いなの?紅蓮こそ見かけ
によらないわ…。」
 納得する紅蓮のことを見つつ、一人コーヒーをすすりながらボソリ
とパティはつぶやいた。


 後書き

 ども。ともです。今回、まったくのオリジナルキャラに挑戦、そして
登場させてみました。ん〜む。ムズいですね。(笑)これから、朋樹く
んの性格がびみょ〜に変わったりしそうで怖いです。(^^;
 所々、エタメロネタが入ってきちゃったんで、悠久から入った人は分
かりにくいと思いますが、その辺はご愛敬、ということで勘弁して下さ
い。それか、エタメロをやってみましょう!(核爆)

 それでは、また。後編で。ともでした。
中央改札 悠久鉄道 交響曲