突然襲った激しい振動に、私は教室を飛び出した。

 「……なんで……?」

 記憶違いでなければ、飛んでいるのはザフトのMS。
 残念ながら一見して機種名を特定できるほど、私はその関係に詳しくない。
 そして、煙が上がっているとおぼしき位置は、生徒が立入不可の工場区域。
 呆然と見上げていると、再びの衝撃に震える大地。

 「とにかく、どこかのシェルターに逃げなきゃ……」

 幸い、財布はポケットに突っ込んだまま。
 ……避難先で使うか使えるかどうかわからないけど。
 それよりも、さっきまで開いていた本の続きが気になる。
 予約して取り寄せてもらって、やっと購入できたばかりだってのに。

 「あぁもぅ!」

 一言悪態をついて、私は走り出した。
 足元が揺れるから走りにくいことこの上ない。

 「たす……けてっ……」

 「えっ?」

 通りすぎようとした草むらから転がり出てきたのは、赤い髪の少女。

 「ね」

 「……そう」

 私はこの子があまり好きではない。
 と言うか、自分と全く正反対の彼女が苦手で。

 「ねぇ助けてっ。私まだ死にたくないの、助けて!」

 「回りにいた人たちは?」

 「騒ぎではぐれたの。
  一人でどうすればいいか迷っていたところへ、
  あなたが通りかかってくれて……。
  私を助けにきてくれたんでしょ、そうなんでしょ?
  だったら、助けて!」

 相変わらず、天上天下唯雅独尊な人である。
 彼女に捕まってしまったことを、私は今さらながらに泣きたくなった。

 「フレイ。私はあなたを助けに来たんじゃない。
  私も逃げてる最中だから」

 一瞬にして彼女の表情が泣き出しそうになる。
 しかし、ここで泣き叫ばれるのは得策ではない。
 何しろ、精神衛生的によくない気がする。
 見捨てて逃げれば、後ろから
 あらん限りの罵声をぶつけられることは間違いない。
 ……それはできるだけ避けたい。
 私は仕方なく手を差し出した。

 「一緒に逃げましょう」

 私の手を離すまいと、フレイはきつく握ってきた。

 幸い、あまり離れていないシェルターに、逃げこむことができた。
 とりあえずは一安心である。
 しかし、一息ついたのもつかの間だった。
 かつてないほどに激しく揺れるシェルター。
 室内を照らしていた明かりが一瞬消える。

 『このシェルターは、このまま救助ポッドとしてパージします』

 耳に飛び込んできた放送は、私を始めとする避難民を愕然とさせるものだった。
 続いて微かな揺れが伝わる。どうやら、本当に宇宙に投げ出されたらしい。

 「ヘリオポリスがっ……」

 乗り合わせた男の声に、窓の外に視線を移せば。
 まるで積み木を崩すようにばらばらになっていく緑の大地の姿が見えた。

 「……どうなっちゃうの。
  このままパパに会えないで死ぬなんていやぁっ!!」

 震えていたフレイが、突然大声を挙げて泣き出した。
 それにつられるようにして、老若男女、殆どの人が泣き始める。

 どうすればいいのよ、この状況……。
 あーもー、泣きたいのはこっちっ!


黒マント製作機から
ついに初めてしまったキラ夢です。
その割には、まだ彼の出番はありません。
最初、ヒロインはフレイと脱出してますしね。
救命ポッドを拾ってもらうまで接点はありません。
キラとの絡みは、しばらくお待ちください。

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