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「ストライク、キラ! キラッ! 応答してくださいっ!」 高く上がった爆炎。 しかしその真実を認めたくなくて、ミリアリアはマイクに向かって叫ぶ。 少女特有の高い声は、その場にいたブリッジクルーたちの心に突き刺さる。 ある者は悔しさのあまり拳を固く握り、ある者はモニターに写し出された映像を頭から追い出すように固く目を閉じ。茫然としたままで上がる黒煙から目を反らせない者もいた。 雨足は弱まり、オレンジに染まりかけた空を割るように高く上がる煙。 それは爆発で散った命を送る、送り火のようにすら見えた。 「艦長、今の爆発は?」 無事に生還してきたらしいムウが、MSデッキから通信してきた。彼の後ろには、と緑の髪の見知らぬ少年がいて。 「……わかりません。しかし、ストライクとのすべての交信が途絶えました……」 モニター越しのムウも、そしてと少年の顔も強張った。小さな画面でわかりにくいが、と少年が握りあっている手が色を無くしているように、マリューには見えた。 「6時の方向、レーダーに反応! 数3! AMF−101・ディンです!」 カズイから上がった声に、その場の全員はビクリと体を震わせた。 自分たちには、散らせてしまったかもしれない命を悔やむ余裕すら与えられないのか。 マリューは悔しさに奥歯を噛み締めた。 「迎撃用意!」 「無茶です、本艦の半数以上の武器は使用不能です!」 「キラ、応答してっ! AAがディンに狙われ……」 再びマイクに叫んだミリアリア。しかし、プツン、と小さな音がそれを遮った。 「いい加減に認めろ。 さっきの爆発はストライクが引き起こしたもの、パイロットのキラ=ヤマト少尉はMIAだ」 たった3つのアルファベット。 先日聞いたばかりのそれが示すものは、『戦闘中行方不明』。 言い換えれば『戦死』という、一番受け入れがたい事実で。 「嘘です……そんなの……嘘なんです……」 同じゼミで親しくしていた彼女にとって、それはどうしても信じたくないもの。 「受け入れろ! そうしなければ次に死ぬのはこっちだぞ!」 ナタルの言葉も、避けられない真実。 「今の状態では、バジルール中尉の意見が正しいことだと思いますが」 開いたドアから現れたのは。そして手を繋いだままの少年。 「それに……この戦闘にはキラ先輩も私も、覚悟の上で出撃したんです。 ……彼と約束したんです。たとえどちらかが死んでも、AAだけは絶対にアラスカに行かせるって。 どちらかが命を落として、ブリッジが動けなくなっていたなら、越権行為と言われようと発進させるって。 だからっ、……だから、皆さんはここで止まらないでください! これまで払ってきた犠牲を無駄にしないためにも、キラ先輩の気持ちを無駄にしないためにも。 AAはここで堕とされてしまわないでください!」 深く頭を下げたに、マリューたちは何も言えなくなる。 「まもなくディンの射程距離に入ります!」 もたらされた新たな報告。それは、両手を握りしめていたマリューに決断を迫らせるものだった。 「機関最大! 本艦はこの空域の離脱を最優先とします! それとオーブへ救援要請信号を!」 「何ですってっ! あの国はっ……」 「人命救助よ、オーブは受けてくれる! 責任は私が取りますっ!」 動き始めたブリッジにこれ以上の長居は無用と、はニコルの手を掴んだまま自動ドアに向かう。 「……キラのかわりに、が死ねば良かったのよ……」 ぽつりと小さく呟かれた言葉は他には届かなかったが、の聴力では十分拾えた。 「どうせの覚悟にキラが付き合わされただけなんでしょ。 AAを守るって決めたのもよね。 自分の都合に、私たちの大事な友達を巻き込まないでッ……」 「……ごめんなさい……」 背中合わせの会話は静かに終わった。 AA後部展望デッキにて、離れていく島を眺めていた私は呟いた。 「……約束なんて、しなきゃよかったね……」 「さっきの彼女の言ったこと、気にしてるんですか?」 「だって、私がキラ先輩とそんな言葉を交わしたせいで、先輩は……」 「でも、足付きを守るって決めたのは双方でしょう?」 「うん……。でもそれ自体、本当に良かったことなのかなって思い始めたよ……。 AAを守るって決めたのは誰も死なせたくなかったからだったのに。 誰かを犠牲にして前に進むぐらいなら、私がその代わりになればよかったッ……」 「……泣いて……いいんですよ……? 今は僕が付いててあげますから」 「ごめっ……ごめんニコルッ……」 あれほど人前で泣くのは嫌だったのに。 緑の巻毛の少年が優しく笑う。 堪え切れなくなった私は、彼にしがみついて声を殺して泣いた。 ![]() 黒マント製作機から うーわー、ミリィ別人だしッ。ファンの人ごめんなさい。 彼女もね、本心じゃないんです。大事な友人が死んで、気が動転してるだけで。 最近のヒロインはニコルとの絡みが多いです。 To NEXT |