「ふんっ……妹とはいえ、汚らわしいコーディネイターなんぞをかばったせいだ」

 不意にそんな声が届く。
 横に置いていたピストルを持ってふらりと立ち上がった私は、その台詞を吐いた士官の額を撃ち抜いた。
 そいつは声も上げる間もなく息絶え、倒れていく。

「……なっ……」

「キサマ、こんなことをしてただで済むと思ってるのか!」

 私への牽制のために艦長さんたちに向けられた銃口は計5つ。

「……これ以上、私から守るべき人を奪うというのでしたら……手加減は……しませんからね……」

 私は軍服の上着を脱ぎ捨てる。
 白いシャツは染みとおったレガール兄の血で赤く染まっている。そして、ズボンも半分近くが赤に染まっていた。


ドンッ!!!!


 士官の誰が放った銃声が合図だった。
 私は下げていたライフルを連射し、ムウ兄達に向けられていた脅威を排除する。

「ムウ兄、お兄ちゃんの遺体、頼みます。こんなところにおいていったら可哀想ですから」

「……しかし……」

「後で海に沈めます。だから今だけお願いします」

「わかった」

「ラミアス艦長、バジルール中尉、今からでもあちらに行かれるのでしたら私はそのようにします。
 どうされますか?」

「今はさんと一緒に行くわ」

 にっこりと笑った艦長さんは、きっぱりそう告げた。

「私も同行させてもらおう。本部とはいえ、この対応はひどすぎる」

「あれ? 転属命令かかってる中尉としちゃあ珍しいじゃないの?」

「転属命令のことは明日考えればよいことですから」

「それじゃあ……これをお渡しします」

 私はピストルをそれぞれに渡した。ムウ兄は持てないけど。

「これを渡したらさんがなくなるんじゃ……」

「心配しないでください」

 私たちが話している間に、机の影から狙ってきた兵士。それに私はためらいなく引き金を引く。
 うめき声に気が付いた3人が振り返った眼前で、私は彼のピストルを奪い去り、止めとなる引き金を引いた。

「うっ!」

 人を撃っても表情を変えない私を見て、艦長が小さく呻く。

「手加減しない、と言いましたよ」

「……手加減しないって……お前……今何してるのかわかってるのか……?」

「わかってます。敵を倒してるだけですよ」

 そう言いながら、私は新たな兵士を2人倒した。



「……小娘1人に何を臆しているか! とっととあの汚らわしい存在を排除しろ!」

 サザーランドの金切り声に、廊下からぞろぞろと入ってくる新たな兵。

「小娘って舐めないでよね。これでも正規じゃないけどザフトレッドの実力はあるんだから」

「ザフトレッドだとぉ? あのエリート部隊のことかっ?」

 敵軍のこととはいえ有名でよかったね、皆さん。

「プラントで偶然助けてもらった彼らに、お世話になってましたから。
  艦長さん、バジルール中尉、少し時間稼ぎしてください」

「え?」

「3分だけ構いません」

 そう言うと履いていた靴を両方脱いで、中敷を取る。そこに詰めていた部品を素早く組み立てると、出来上がったものを持って、私は立ち上がった。

「皆さん、遅れないでくださいね」

 艦長さん、ムウ兄、バジルール中尉の順に廊下に送り出して、私は持っていたもののピンを抜いてドアを閉める。
 ガゴンッ!と音が鳴り響いて、ドアの向こうは静かになった。

「さぁ、一気にAAに帰りますよ!」

 走り出した私に、慌てて追いかけてくる3人。

、今の……」

「手榴弾を投げ込んできました。これで当分追っ手はやってこないでしょう」

「またなんともはや物騒な……そんなものをどこに……」

「靴に隠しておいたんです。爆弾処理と爆薬作りは、アカデミー1位のニコル直伝ですから」

「大丈夫なの?」

「通常のものに比べて、プラスチック爆弾を使ってる分、殺傷能力は低いですけどね」

「……しかし……お前があんなに人を撃つことにためらいを持たないなんて……レガールが嘆くぞ」

「ためらいを持ってないわけじゃないですよ。私だって感情を持っていないわけじゃないんですから……」



 途中でレガール兄の遺体を海に沈め、その後の私たちは無言のまま、AAへと帰艦した。



黒マント製作機から
 血で染まった服、それは私の実力をあらわしていた。 by:ヒロイン


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