「なるほどね……。で、の場合はどうだったんだ?」

「……何がですか?」

「あなたはいつ、自分の相手がクルーゼ隊だと気がついたの?」

「一番最初の出撃のときですよ……。
 PSの落ちたストライクがイージスに拿捕されたとき、接触通信でみんなの声が聞こえてきましたから。
 ……それよりも、キラ先輩のプラント漫遊記を聞かされるだけだったら、私は部屋に戻りたいのですが。
 どうせ、私にはもう関係ないことですし」

「関係ない……?」

「ええ、もう私はに乗るつもりはありませんし、今向かってる先……オーブでAAから降ります。
 ニコルやディアッカさんも一緒に連れていきますね。
 そして、次にお会いするときは……ザフトの兵士かも知れません」

 皆が驚きで言葉が出ない。僕も驚いて何も言えなくなってしまった。

……冗談……よね?」

「あれ、ミリアリア先輩。キラ先輩が戻ってきたから、話しかけてくれたんですか?
 そうですね、ザフトに入るのは冗談かも知れません。けど……には乗らないのは本当です。
 人を殺す恐怖と、いつ殺されるかわからない恐怖と戦いながら、あなた達を守るのも、
 戻ってくるなり死を願われて、心をボロボロにされるのも、もうたくさんですから。
 キラ先輩が大きな力を携えて戻って来てくれたんですし、大気圏内飛行もできない機体は不要ですよね。
 不要な機体にパイロットもいりませんし、だから、無駄な人員は去るんですよ」

「……もう……決めたのか……?」

「もともと、私はアラスカで異動が決まっていた人間です。それがズルズルと居残っていただけで。
 そして守るべき人たちもいなくなりましたし、後は自分で自分の身を守れる人ばかりですし。
 このあたりで離れていかないと、そろそろ我慢の限界かなーって思って」

 チャンドラさんの言葉に淡々と答えるを見ていて、とうとう堪忍袋が切れた。
 ニコルにしがみついている彼女を引きはがして、僕は自分の胸に閉じ込める。


「君は僕が守るって言っただろ!
 そりゃAAを守ることも優先事項だけど!
 でも、僕はを守るために
 そのためにプラントから帰って来たんだから!」



「……あのですね……こんなところで叫ばないでください……」

 真っ赤になって唇をとがらせているにキスしようしていたら。

「キラさん。ここがどこだかわかってますか?」

 ニコルのその一言が現実に引き戻してくれた。
 周りを見ると、皆頬を赤く染めて視線を反らしている。
 ミリアリアやマリューさんに至っては、耳まで真っ赤だ。

「えーっと……」

 何となく気恥ずかしくて、僕も顔が赤くなった。
 それでも、は離さない。僕から離したら、彼女はまたニコルに抱きついて離れなくなる。

「ごめんなさい、話の腰を折ってしまって。でも僕は……」

「わかってるって。誰かを守りたいと思うからこそ戦えるんだ。
 特に俺達、艦にいる誰よりも一番死に近いところで戦闘に入るMA・MS乗りはな」

 ムウさんにくしゃりと頭を撫でられたのがうれしかった。

「……あの、僕たち本当に用事ないみたいなので部屋に戻りたいんですが……」

 おずおずと口を開いたニコル。

「私も帰ります!」

「ダメ、は僕のところに居なさい。……それに戻ると言っても、ニコル、部屋までの道程覚えてる?」

「う゛っ…………」

「それに用事がないってわけじゃないのよ、むしろあなた達に話してもらいたいのはこれからね」

「私たちはオーブに着いたらAAから離れるんですから、もういいじゃないですか!」

「行かせないから」

「このセクハラエロキラ!!!!」

 を抱きしめた瞬間。

「おお、見事なボディーブローだな……」

 トールの声と鈍い痛みで手が緩んだ。またもや逃げられ、はニコルにぎゅっと抱きついた。そして相変わらず、ニコルも笑顔でを抱きしめ返して。

「ニコル、人の恋路を邪魔する奴は、フリーダムに蹴られてしまうんだぞっ……」

「そんなことしたら、私はキラ先輩を許しませんから」

 『三角関係の勃発か?』と楽しそうに笑うサイの言葉が聞こえたし、他の皆が行方を見守っているのがわかったけれど、今の僕には知ったこっちゃない。

「大体、キラ先輩は人のことをぬいぐるみか抱き枕のように思ってるでしょ!
 いつでもどこでも、時間問わず場所問わずで抱きつかないで下さい!」

だって、ニコルといッつも抱きついたり手を繋いだりしてるじゃないか!
 いくら同じ年齢でお世話になった人だからって、男の人にポンポン抱きついてるだって……」















「従兄に抱きついて何が悪いんですか!!!!!!」


















「…………………………………………………………………………はぃ?」

 自分でも間抜けな返答だったと思う。成り行きを見守っていた皆も同じような顔で見てるし。

「僕とは、母親同士が姉妹になるんですよ。
 姉であるの母親はナチュラルとして育てられ、妹の僕の母親はコーディネイターとして育ちました。
 僕の母はプラントに上がり結婚、の母は地球で結婚。それからは音信不通だったんですけどね。
 2年前、たまたま助けた女の子の遺伝子から、僕の母の遺伝子とそっくりなものが見つかって。
 慌てて確認を取ったら……」

「血が繋がってたってことがわかったんですよ。その証拠に、私とニコルの目の色はよく似てるでしょう?
 これはどちらも母親譲りなんです」

 なるほど……それなら、ライバルにはならないけど、でも、やっぱり僕以外の男に抱きつくのは許せない。
 『こんなに独占欲が強かったっけ?』と思いつつ、僕はニコルからを引き剥がして、再度腕の中に閉じ込めた。



黒マント製作機から
 明かされたヒロインとニコルの秘密。
 相変わらずヒロインに対するキラは暴走中。周り見て叫びなさいよ、まったく。
 ディアッカが出てこないのは寝てるせいなんですが……実は彼がうなされてるばかりだったのは、
 オーブ・モルゲンレーテの1件でキラに毒を吐かれた結果だったりします(笑)


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