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満身創痍のAAは、無事にオーブ・モルゲンレーテの秘密ドッグに収容された。 「やっと解放される〜」 「誰が解放するって?」 ドアに向かって歩き出したに、僕は背中から、べったりと張りついた。 「……だから私は降りるんですってば! キラ先輩と同室だっていう状況にも耐えられませんし!」 「個室には限りがあるんだもの。だから仕方ないじゃない」 「だからじゃないですよ! 私だって一応嫁入り前の女の子なんです。 それが何で命令とはいえ、……嫌ってる先輩と同室なのか……」 「あ、それ聞き捨てならない。嫌ってる先輩って誰のことさ」 「最初、私はキラ先輩のことを思いっきり嫌ってましたから! っていうか、離してくださいよ!」 「だーめ。最初嫌ってたのは知ってるけど、今はどうなの?」 くすくす笑いながら、僕は腰に回してた右手を上げ、の左胸の膨らみをそっと押さえた。 「ほら、鼓動はとても早いけど、どう説明するつもり?」 わざと音を立てて、僕はの頬にキスをする。それだけで真っ赤になった彼女が愛しくて、少しだけ腕に力を込めた。 「う゛〜〜〜っ、キラのいぢわる! ムッツリ腹黒スケベ! キラなんか、キラなんか……」 「キラ、、会いたかっ………」 「「あ……」」 いきなりノックもなしに飛び込んできたのは、金髪の女の子。但し、男物の礼服着用中。 「キャアァァァァァ!」 悲鳴とともに、どさり、と荷物が落ちて。 「さまに何という不埒な行為をなさってるんですか、あなたはっ!」 反論する暇もなく、僕はその大きな女性の人に引きはがされて、廊下に投げ出された。そしてあっという間に閉じられたドア。 「……とにかく、生きて返って来たんだな。お帰り」 「うん……ありがと、カガリ」 「カガリさまっ、申し訳ありませんがそちらの荷物を取っていただけますか?」 「あ、ああ……」 開いたドアに振り返ると、中にいた半裸のと目があった。小さく微笑んでくれた彼女に見惚れていたら、再びドアは閉じられた。 「……何……されてるんだろうね……」 彼女とも話したいこともあったはずなのに、さっきの女性に勢いをそがれてしまって言葉が出ない。 「……さぁな。で、お前とは、ああいう関係なのか?」 「へ?」 「お前とが抱き合ってたってことだよ。砂漠では、お前ら仲悪かっただろ?」 「あの時はね。でも今は違うよ、将来を誓い合った……」 「そこまで行ってないでしょっ!」 言葉とともに背中を蹴られ、僕は前のめりに転がった。 「だから、何度も……うわぁ……」 「……ジロジロ見ないでくださいよ。恥ずかしいんですから……」 思わず顔を赤くして魅入ってしまった僕に、うっすら頬を染めながらうつむく。 白い細身のドレスはワンピース。一面に銀の糸で艶やかに舞う蝶の刺繍が施されている。濃茶の髪は左右両脇に高く結い上げられてダンゴ状にしてあるけど、首筋は襟がちゃんと隠している。 そして、僕は右太股にギリギリまで入っているスリットから目を反らせない。 「キラ……お前、目がイヤらしいぞ……」 「な、そんな下心があるとかじゃなくてっ……ただ純粋に綺麗だから……って、、大丈夫?」 「逆ですからね。その点は問題ないです。 ……それよりマーナさん、どうして私にこんな格好をさせたんです?」 「カガリさまとお迎えにまいりました。 ウズミ様もお待ちでございますし、公の場に出るのですから相応の服装に着替えていただきませんと」 「……相応の服ってねぇ……。 マーナさんもウズミ様も、私が人前に出ることを嫌うのを知っていらっしゃるくせに……」 ちょい、と服の裾をつまんでため息の。 「でも、とても似合ってるよ。 マーナさんの見立てってすごくいいね。の可愛らしさや綺麗なところをちゃんと引き出してる」 僕の言葉に、再び顔を赤らめる。……本当に可愛いと思う。 「おほめに預かり光栄です。……でも、あなたがさまにしていたことは許しませんよ?」 うれしそうにそう言ったマーナさんは、ちゃっかり釘を刺してきた。思わず僕の口元が引きつる。 「そうそう、お前、ここでAAから降りるんだろ?」 僕とマーナさんのやり取りを見て苦笑していたカガリが、そう言葉を切り出してきた。 「早いね、もうその情報仕入れたわけ?」 「さっき、緑の巻毛の子に会ってさ。の居場所を聞いたときに教えてもらった」 「だから僕は降ろしてあげないって言ってるだろ!」 「あなたは黙りなさい!!!!!!」 マーナさんの剣幕に言葉を詰まらせた僕を、とカガリは笑ってて。 「……本当に降りるのか?」 「前に聞かれたときは、守りたいものがあるから降りられないって言ったよね。 でも、今はもう守らなきゃいけないものはなくなったし……」 「キラの奴は守りたい対象じゃない訳?」 「キラ先輩は、もう私が守ったりかばったりするほど弱くないよ。とても大きな力を手に帰ってきたんだから。 ほら、死の淵から帰ってきた人は強いって言うでしょ?」 「……それはここで使う言葉じゃないと思うんだが……」 「さぁさ、話は後になさってくださいまし。ウズミ様をお待たせしてはなりませんよ」 「……やっぱり行かなきゃだめ?」 「駄目でございます! さまのことは『もう1人の娘』とも言われるくらいにウズミ様も可愛がられておいでなさいますから」 「……それはわかってます。けど……」 ちらりちらりと、僕の方を見てくるは、なおも行くのを渋っている。 「行っておいでよ。前回ウズミ様ともお会いしていないんだし、余計心配なさっていると思うから」 「……へぇぇぇぇ、そんなに簡単にOK出していいのか?」 すすすっと寄ってきたカガリが、ニヤニヤ笑いながら言う。 「の奴、連れて行かれたら本当に帰ってこないぞ?」 「何で? ウズミ様にお会いしたらすぐに帰ってくるんでしょ?」 『降りるって騒いでても、荷造りも何もしていないんだし』と、僕は首をかしげた。 「お前、本当にコーディネイターか? 鈍すぎ」 「う、うるさいなっ! でもどうしてが帰ってこないなんて……」 「それはだな」 「カガリさま、そこまででございますよ。そちらの殿方は、このマーナが対象外と判断させていただきました。 さ、さま、お手をどうぞ」 「……わかりました。……でも、AAを出る前に一旦ブリッジに寄らせてください」 「わかってございます。今までお世話になった方々に挨拶しておきたいとおっしゃるのでしょう? それぐらいの遅刻は、ウズミ様も見逃してくださいますから」 「カガリ、一緒に行こ……」 渋るのをやめたは、顔を上げて前を見据える。……でも、僕の方を見てくれなくなった。 「………………………………………………………………キラ、さよなら」 「え?」 小さく聞こえた声に反応したときには、手を引かれたたちが角を曲がったところだった。 「さよならって…………、一体何?」 「キラ!!!!!!」 名前を呼ばれて振り返ると、走ってきたのはディアッカ&ニコル。 「どうしたの、2人とも息を切らせてそんなに慌てて……」 「お前、何でここにいるんだよっ!」 いきなりディアッカに殴られて、僕は痛みよりも先に驚きで目を見開いた。 「がどこに行ったかわかってるんですか?」 「え、どこって、ウズミ様のところでしょ?」 「そうですけど、その後が問題なんです! 僕はの従兄でもありますから、カガリさんに教えてもらったんですけど。 ウズミ様にお会いしたときに、1人の男性と引き合わされるんだそうです。 そしてそのまま、はその人と結婚しちゃうんですよ!」 「ちょっと待て、うそだろーっ?」 驚きで声も出ない僕の代わりに、ディアッカが叫んでくれた。 「嘘じゃありませんよ。何でも前回ここに来たときにですね。 レガールさんがの遺伝子と対になる人を探して欲しいって、ウズミ様にお願いしておいたんだそうです。 それで今回……」 「AAがここに来るまでに、適合者が見つかったというわけか……」 「そういうことで………………ってキラさんッ?」 「まだ降りていないはずだから、取り返してくるに決まってるだろっ! 誰にも渡さない。……は僕の、僕の大事な花嫁さんなんだから!」 僕はブリッジに向かって一目散に駆けた。 ![]() 黒マント製作機から オーブ到着、キラ災難(笑) ま、ね。短い間でしたが、ヒロインと同室というおいしい場面も持たせてあげたし。 今回の話の最初に、いきなりバカップル入れてあげたし。 このあと、彼の暴走確定。 ……ってかさ、本編入れよ、自分。 To NEXT |