「なんですって、パナマが?」

 キサカの運んできた情報に、マリューは思わず腰を浮かしかけた。

「未明からザフトの攻撃が始まったと……、詳細はまだわからないがな」

「……目標は、マスドライバー、か」

「おそらくそうでしょうね。古典的だけど、月基地への兵糧攻めってところかしら」

 ボスン、と腰を戻したマリューが言う。

「あそこを抑えられたら、補給路は断たれるからな」

 キサカの言葉に同調したかのように、マリューもムウも頷いた。

「アラスカであれだけの命が奪われたっていうのに……これ以上、何を欲するというのでしょうかね……」

「まったくわからなくなってくるな。俺達が信じて戦ってきた『戦争』の意味が……」

 チャンドラの言葉にノイマンが頷き、そしてその場にいたものすべてが同じ考えだった。





「……そう……ですか……」

 MSデッキにいるキラとに知らせに来たのは、キサカに引っ付いてきたカガリだった。ちょうど作業も一段落して並んで休んでいたところに、彼女はやってきた。

「哀しいね。また、僕たちは何も知らない命を千切りとるんだ……」

「……うん……」

 目を伏せたの肩をキラは抱き寄せて、彼女の頭を自分の肩へともたれさせた。

「詳しいことはまだ情報が入ってきていない。……でも、パナマが落されたら、次に狙われるのは……」

 カガリはぐっと拳を握り締めた。

「やっぱり、オーブ……だよね……」

「おそらく。っていうか、地球上に残されたマスドライバー施設は限られてるからな」

「……キラ先輩、もし地球連合軍がオーブのマスドライバーを狙って攻めてきたら」

「戦うよ。
 ―――――前にも言ったと思うけど、僕はもう地球軍でもザフトでもない。
 たとえ1機でも、僕は望むことをするだけ。こんな無駄な命のやり取りを止めさせたい。
 それで1つの命でも救うことができるように、僕はできることをするだけだから……」

、お前はどうしたい?」

「私は、キラ先輩と共に行くことを選択した。
 昨日のウズミ様の話の後、自分なりに考えてみて、ようやく答えが出た。
 本当はね……本当は、守られてるだけなのは嫌なの。
 私も誰かを守るために力を持っている。できることがある。
 それなのに、その事実から目をそらしていては本当に自分の望むものに辿り着けないと思った」

「じゃあ。君はもう一度、僕と戦ってくれるの?」

 キラの問いかけに、はコクリと頷いた。

「でも、は大気圏内戦闘での動きは制限されるから……」

「その点は解決済みだ! ついでに、ニコルとディアッカの2人は?」

「え、その辺りにいると思うけど……」

 カガリは声を張り上げて2人の名前を叫ぶ。と、さほど遠くない位置で、緑と金が顔を覗かせた。

「またこんなところに来てるのか? お前、本当にオーブのお姫様かよ」

「失礼ですよ。見えなくても彼女はれっきとしたオーブの獅子の娘なんですから」

 近寄ってきた彼らがそんなことを口にしたものだから、カガリは無言のままで2人にローキックを入れた。それを見ていたキラとは必死で笑いを噛み堪える。

「お前ら全員、これからモルゲンレーテまで来い」

「はぁ?」

「僕たちも……ですか?」

「お前らって言っただろ? 四の五の言わずにとっとと着いて来い!」





「お待ちしてましたわ」

 にっこりと笑った彼女に、思わず見惚れるディアッカ。

「エリカ主任。先日は驚かせて済みませんでした」

「いいのよ、こちらもおもしろいものを見せていただいたから。
 久しぶりね、キラ=ヤマト君に嬢。
 そして初めまして、ニコル=アマルフィ君、ディアッカ=エルスマン君」

 エリカの差し出した手に、皆それぞれが握手を交わし。

「早速だけれど、本題に入るわね。どうせカガリ様のことだから何も説明していないでしょうし」

「何も言うなって言ったのはそっちじゃないか!」

「カガリ様、AAの艦長さんたちも連れて来て下さいねと頼んでおいたのですけれど?」

「う゛」

 言葉を詰まらせた彼女に、他の4人はクスクスと笑い。

「こ、これから連れてくるっ!」

「それには心配いらない。私が案内した」

 振り向くと、キサカに連れられてやって来たマリューとムウの姿があった。

「ご足労、感謝いたします」

「いえいえ、それにしても何がありますの?」

 エリカは無言で笑ったまま、彼らに着いて来るように促してきた。



黒マント製作機から
 皆が揃ってモルゲンレーテへお出かけです。
 ヒロインとニコル、ディアッカが呼ばれた理由については次で明らかに。


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