「……4機も相手にしなけりゃいけないんですか?」

 近付いてくる機影に、私は驚いた。

「あ、そうか。は見ていないんだっけ」

「何をです?」

「ヘリオポリスのモルゲンレーテ内部。
 てっきり見てたと思って僕も説明してなかったね、ゴメン」

「今説明していただけたなら、特に謝ってもらう必要はありません」

 私もキラ先輩も、正面モニターを見据えたままの会話。

「モルゲンレーテで僕が見たのは、全部で5機。
 そのうち4機までがザフトの手に奪われて、最後に残った1機に、艦長と逃げ遅れた僕が乗り込んだ」

「奪われた4機……それがあれなんですね」

 私はサブモニターに目を落とす。
 相手機種を認識したコンピュータがはじき出す文字の羅列。
 ――X102・デュエル。
 ――X103・バスター。
 ――X207・ブリッツ。
 ――X303・イージス。

「……裏切られた気分」

 心の中が、思わず口に出ていた。
 キラ先輩には聞こえていなかったみたいだけど。
 でも。
 これだけの機体を開発製造していたなんて。
 中立の立場であると叫んでいたのは何だったのか。
 それを信じてやってきた自分たちは何だったのか。
 すべて嘘で固められているような気がして、私は気持ち悪くなって、その場に崩れ落ちたい気持ちになった。
 が、時はそれを許してくれない。





『その機体、潰させてもらうっ!』

 青と白のツートンカラーの機体・デュエルは臆することなく猛然と突っ込んだ。
 すれ違い様、腰だめにしたビームライフルの引き金を引く。
 何とかそれを避けるストライク。

『イザーク、無理をするな!』

『人の心配より先に、お前はそっちに集中しろ!』

 反転しようとするバスターにむかって叫ぶ。
 彼らしくもなく、その背中に隙ができた。




「キラ先輩、何故撃たないんです?」

 トリガーに指をかけてはいるものの、動かない彼に向かって、は少しいらだちを含んだ声をぶつけた。

「……ごめん、手本見せるなんていって。ちゃんと戦うのは、僕も初めてだから」

「だからって、このまま反撃もせずに的になるんですか? 私たちは何のためにここに出てきたんですか?」

 避け続けるだけのストライク。
 しかしそのエネルギー残量に、鳴り続ける警告ブザーに2人ともが気付いていなかった。



 シュゥゥン……



「しまった、装甲が!」

 気が付いたときには遅かった。
 ストライクの機体は赤、白、青のトリコロールから、元来の鈍い鉛色へと姿を変える。



「ストライクのフェイズシフトが落ちました!!」

 悲鳴のようにもたらされた知らせは、ブリッジ内に戦慄を走らせた。

「キラ、!応答して、お願い!!」

 マイクに向かって叫ぶミリアリア。
 が、それに返ってくる言葉はない。
 しかし応答はないものの、爆発による発光がないことが、最悪の事態を免れていることを教えていた。

「艦長、帰艦中のフラガ大尉より入電です」

「何?」

 この緊迫した状態で間抜けな声だと、マリューは思った。

「『ランチャーストライカー、射出準備せよ』と……」

 とっさにその意味を理解できたものは、ブリッジには誰もいなかった。



黒マント製作機から
 わーい、戦闘シーン捏造中。……って、駄目じゃん。
 次回はアスランとの会話メインかな?

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