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AAから少し離れた海上で止まったは振り返って、2体の機体と対峙した。 「あっちが数で勝ってても1機は飛べないんだから……大丈夫。戦える!」 ロッドを最長サイズへと伸ばし、は滞空するカラミティとレイダーへと突っ込んで行く。 「いい加減に降りてくんない?」 「うっせーな」 いきなり飛び上がられたことで一瞬目標を見失った。 「ぐっ!」 見失った機体を見つけるより先に、カラミティがの背中を蹴り付ける。 「背中、ガラ空き。殺ってくれっ言ってるようなもんじゃない」 「誰がおとなしく殺されてやるかよっ!」 一気に加速したは乗ったままのカラミティを振り落とす。カラミティはスラスターをふかして海面に叩き付けられることは回避する。 どうやら高速で動き回ることはできないものの、一応の飛行能力は備えているらしい、と、は確認した。 「ホラホラ、よそ見してないで!」 「うっわー、MAじゃなかったのかよ。イージスと同じ可変システムを組み込んでいるわけね」 鳥型から人型へと姿を変えている機体・レイダー。 ぶぅん、とうなりを挙げて破砕球“ミョルニル”が飛び、直撃を避けたを狙って、今度は海面近くにいるカラミティのバスーカ砲“トーデスブロック”が放たれる。 それは不安定な体勢ながらも何とか避け切っただが、ミョルニルの第2波が機体胸部、すなわちコックピットの真上を打ちつけた。 「きゃあぁっ!!!!」 激しい衝撃には一瞬意識を飛ばしかけて、の操縦レバーから手を離してしまう。途端に墜落を始める機体。慌てて体勢を立て直そうとはレバーを思い切り引くが、地球の引力になかなか抗えない。 「「「ッ!!!!」」」 3つの声が重なって、は落下を止めた。 「……大丈夫ですか?」 受け止めてくれたのはブリッツ。繋がれた回線の先には、従兄の顔。 「ありがと、ニコル……。じゃあさっきの声のあと2つの正体は……」 「上空を見てください」 互いの背中を預けて、3体のMSに対峙しているのは。 白とグレーのツートンボディに青色の翼はフリーダム。……ではもう1体の深赤の機体は? 初めて見た機体に首をかしげているの様子に、ニコルは小さく笑ったあと。 「あれに乗ってるのはアスランですよ」 「あ、アスランさんっ? 何でどうしてっ?」 「詳しい話はあとだ。はブリッツと一緒に先に戻った方がいい」 「そろそろエネルギーが尽きるころでしょ。後は僕たちに任せて、ね?」 新たに繋げられたのは音声のみの回線、だが、間違えるはずのない声。 「お願いニコル。私はまだここにいたいの!」 「……あなたならそう言うと思ってましたよ。 キラさん、アスラン、彼女は僕が守りますから心配しないでください」 すると、に届いたのは苦笑交じりの声。 「ニコル、僕の大切な人をちゃんと守ってね」 「何があったか、後でゆっくりと話すからな」 今まで敵として戦って、一度は命の奪い合いすらしてしまったのに。 それなのに、僕の背中を預けている相手がアスランだと思うと、ひどく安心できてしまった。 と一緒に戦っているときも安心できるけれど、それとは違う気持ち。 新型1機を一時振り切って、すり抜けていったMSを追ってAAに戻りかけたときに、ブリッツと対峙している機体にあって。でもそれが何であるかコンピュータはすぐはじき出してくれて、フリーダムの兄弟機になるZGMF−X09A・ジャスティスであることがわかって。 「それに乗っているのは、キラ……なんだろう……?」 そう問いかけられて、僕は思わず動きを止めた。 「……アス……ラン……?」 自然に声が震える。そして、兄弟機を手にしてやってきた彼の目的も瞬時に悟る。 「僕を……殺すの……?」 「いや、今はその気はない。ここにいるのは俺の意志だから……お前達と話がしたい」 「……僕もだよ。戦うのはその後でもできるよ……」 「でも、ここで話している暇はありませんよ。早く行かないと、が……」 「がどうしたの!?」 手短に説明してくれるニコル。それを聞き終えた僕たちは、一直線にその海域を目指した。 「!」 戦闘海域に辿り付いた時、コックピットの真上に大きな鉄球を受けて、ゆっくりと落下していくが目に入った。 「彼女は僕が! キラさんとアスランは上の3機をお願いします!」 初めて見るMSが2機。そして、僕が振り切ったMSが1機。 「キラ、油断するな!」 「わかってる! あの両肩にシールドぶら下げてる奴は、ビームの軌道を曲げてしまうから注意して!」 ブリッツに助けられたから、愛しい少女の混乱した声が聞こえてくる。無事を確認できて安堵のあまり小さな笑いが漏れた。 本当はここから離れて欲しいのに、残ると宣言する。……仕方がないナァ、少しの間だけ他の男に守られてて? 「ニコル、僕の大切な人をちゃんと守ってね」 マルキオ導師の島を出てから、俺はオーブ・オノゴロ島を目指した。 何故今になって地球連合軍はオーブと事を構えようとするのか、自分の目で見てどちらが自分の信じる正義なのかを見極めてみたかった。キラとフリーダムを探すのはその後でもできると思った。 互いのレーダーレンジから外れた位置で、俺はジャスティスを着陸させ、外部カメラを超長距離モードに切り替えている最中だった。 「あれは……ブリッツ?」 ニコルの乗っていた機体。いや、今も乗っているのはニコルだろう。一目散に沖合いを目指して飛んでいる。 「ニコル!」 思わず通信を開いて呼びかけていた。 「……アスラン?」 モニター越しの同僚は、茶色い瞳を大きく丸くさせていて。 「な、何であなたがこんなところにいるんです?」 「それはこっちの台詞だ。ニコルは今、足付きにいるんじゃなかったのか?」 「ええ、そうですよ。でも、足付き……AAはオーブと一緒に戦ってるんです」 「え?」 詳しく聞き返そうとして、新たな機体が近付いてきたことを知らせるアラームが鳴った。メインカメラが捕らえたのは1機のMS。俺が奪還、もしくは完全破壊命令を受けているZGMF−X10A・フリーダム。 「それに乗っているのは、キラ……なんだろう……?」 「……アス……ラン……?」 通信回線が開き、モニターに写る幼馴染の顔。驚きかそれとも俺と再び戦うことを恐れてか、その表情は少し硬い気がした。 「僕を……殺すの……?」 「いや、今はその気はない。ここにいるのは俺の意志だから……お前達と話がしたい」 「……僕もだよ。戦うのはその後でもできるよ……」 「でも、ここで話している暇はありませんよ。早く行かないと、が……」 俺達の中に割り込んできたニコルが言う。 「がどうしたの!?」 手短に説明してくれるニコル。それを聞き終え俺達は、一直線にその海域へと向かう。 味方に対しても平気で攻撃する個人プレーの多い3機の戦いに、一緒に戦うのはこれが始めてのはずのキラさんとアスランの連携攻撃が次々と決まってく様子を、僕もも言葉を失って見ていました。 途中1度だけビームの流れ弾が飛んできたのですけれど、難なく避けることができました。 「……2人とも……すごいね……」 「ええ……」 それだけを言葉にするのが精一杯で、あとはじっと見ていました。 すると、突然、3機共が一斉に動きを止めました。 「何っ……?」 の台詞と同様に、キラさんもアスランも動きを止めてみています。もちろん、僕もわけが判らないままで見ていることしかできません。 そして、彼らは逃げ帰るようにして去っていきました。 「……とりあえず、今はもう大丈夫……なのかな……?」 「おそらく……」 「じゃあ、AAに戻りましょう! アスランさんも一緒に!」 僕はエネルギーが尽きかけで飛べなくなっていたをフリーダムに託し、そして皆でモルゲンレーテに戻りました。 ![]() 黒マント製作機から やっと、オーブ戦第1回目終了〜。次はモルゲンレーテでの再会&会談。 To NEXT |