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宇宙空間で無事に合流したAAとクサナギ。そしてクサナギは残りのブロックとドッキングを果たした。 他の者がドッキング作業に追われる中で、カガリはベッドで泣き続けていた。 責任者であるはずの彼女がその場にいないことを咎める者は誰もいない。ベッドの傍らにはが彼女を慰めるでもなく、言葉を発することもなくただ側に、じっと座っていた。 来客を告げる、ドアブザーが鳴る。 部屋の主であるカガリが立ち上がり出ようとしたが、はそれを優しく肩を押さえて制し、自分が代わりにドアの前に立った。 「……、カガリは……?」 彼女が出てくることを予測していたキラ。はキラの腕を取って、そして、彼の後ろにいたアスランを促して、通路へと出た。 「やっぱり……自分の目の前で父親と親族と、故郷とが爆散したんです……。 今は、泣くなとも言えないし、何の慰めもかけて上げられません。下手な言葉は、余計に傷を抉るだけ。 それに、目の前で両親と兄弟を失う悲しみは、私だって知っている痛みですから……」 俯いたを、キラはそっと引き寄せて抱きしめた。 「目の前で親が死んだ時の衝撃は、俺だってわかっている。 でも、俺にはニコルやディアッカたちがいたからこそ立ち直れた。 カガリだって1人じゃない。 ここには小さい時からの友もいる、志を同じくして集った仲間がいる。 今は辛いだろうが……彼女とてわかっていないわけじゃない。 泣くだけ泣いて少しでも気が晴れたら、きっと笑ってくれるさ」 「そうだね……。ってアスラン、今の、言ってて恥ずかしくなかった?」 「それは言うな」 クスクス笑うキラを、少し頬を赤らめたアスランが睨んだ。 「……ところで、お2人がここへ来たのはカガリを迎えに来たからじゃないですか?」 少し咎めるように頬を膨らませて問いかける。 「あ、忘れるところだった。 AAからマリューさんたちも来てるし、これからのことを話し合いたいんだけど……。 カガリ、大丈夫かな?」 「ちょっと待ってください、聞いてきます」 部屋へと戻って、カガリに声をかけた。 「わかった、すぐ行く」 そう言ってドアを開こうとした彼女をは引き止めた。 「顔ぐらいは洗うように。……今のカガリの顔、涙と鼻水でドロドロなんだよ?」 「な、鼻水なんか垂らしてないぞっ!」 「はいはい、その顔で反論されても迫力ないから。早く洗面所に行けば?」 クサナギ・ブリッジに主だった者は集まった。そして話し合われたのは、今後進むべき道。 「たった2隻で世界の情勢を変えようだなんて、傍から見ればすごく無謀なことなのかも知れないわね」 苦笑しながら洩らしたのはマリュー。 「それでもやるしかないんですよ。 ……この憎しみと悲しみしか生まない、間違った連鎖を止めなければだめなんです。 そうじゃなきゃ、カガリやアスラン、のような思いをする人が増えるだけですから」 まっすぐに前を見据えたままで、キラはそう言った。 「……確かに、受けとっちまったもんなぁ。 ウズミ様をはじめとするオーブの首相たちの、強くて強くて譲れない願い。そして、祈り。 高く燃え上がった炎は、それを俺たちに焼き付けた」 トントン、と自らの親指で胸を叩くのはムウ。 「命をかけて託してくれた願いを無下にできるほど、落ちぶれちゃいません。 たとえのことがなくても、僕はウズミ様たちの考えに賛同したからこそ残ったんですから」 「今更ザフトに帰るのも何だかなぁって奴だし? あっちに戻って戦って、それで全てが丸く終わると、俺には思えないわけだ、うん」 ニコルの言葉に、ディアッカが言葉を続けて自己完結。 「親に命じられてザフトに入って戦って、撃たれて。その時点で俺は1度死んだしな。 なら今度は誰かの命令じゃなくて、自分の考えで、自分で決めたことをやり遂げるさ」 ラスティはいつもの不敵な笑いを浮かべる。 「わ、私たちだって、地球軍の言いなりになって戦うなんて真っ平ゴメンです。 人を人と思わない上司の下でなんて、絶対に働けませんしね」 「そうそう。私たちをちゃんと活用してくれる人たちのところで働きたいんです!」 「お給料がよくても、福利厚生の整えられていないところへは、誰も就職希望しませんよ」 M1パイロットのアサギ、マユラ、ジュリの順で言う。地球連合軍を就職先と言い切る辺りが彼女たちらしいと、キサカは苦笑する。 「お前ら、一緒に来てくれるのか?」 「カガリ、聞き方違うよ。この場合は『来てくれるか』じゃなくて『付いて来い』でしょ? ここにいる全員、皆小さな火を持って集まって、そして一緒にあわせて照らして導くんでしょ?」 「そうよ、さんの言うとおり。そのために、皆で集まったんですもの」 『ね?』と微笑んだマリューに、カガリの目元には再び涙が浮かんだ。 ![]() 黒マント製作機から 4クール始動です。まだまだ最初の方だけどね。 To NEXT 連載TOP |