クルーゼの乗機・ゲイツの後ろを守るように、イザークのデュエルが続く。

「来るぞ!」

 上官の鋭い声に、彼は少し呆けていた頭を即座に切り替えた。
 しかしどうしても、乗り込む前にモニターで見た、メンデルの外で戦闘中のAAと同型艦。そしてその周りを飛んでいた青い翼のMSと赤い機体のMSに意識が行ってしまう。……そして、オーブのMSと共に戦っていた友の乗機に。
 レバーにかけた手が、グローブの中でじっとりと汗ばむのを感じる。

「……ナチュラルが、よくもディアッカの機体を……ッ……」

 やって来たストライクは、クルーゼのゲイツと共にコロニーの奥へと進んでしまい。
 一緒にやって来たバスターは、地表に足をつけた。デュエルもそれに習うようにして向かい合った。







「……久しぶりだな、イザーク」

「ディアッカ……か?」

「俺じゃなきゃ何に見えるんだ?」

 通信モニターに映し出されたのは金髪に薄紫の瞳、皮膚の色黒さといい、間違いなく同期の友人だった。

「お前が無事だってことは、あっちにいたブリッツはやっぱりニコルか」

「ああ。おまけにラスティも元気だぜ?」

「なっ……!」

 一言声を上げて固まった親友に、ディアッカは思わず苦笑する。

「ラスティは今、オーブ軍に志願という立場で入って、そしてオレンジのアストレイに乗ってる」

「あいつはザフトの軍人だろうが!」

「元は、な」

 ディアッカはラスティがどうして助かったかを簡単に説明してやった。





「……ムウさんとディアッカ、どこまで行っちゃったんだろう……」

「さぁな。でも、そろそろMSで行くには限界になってくる……って矢先にいたぜ。
 ディアッカさんのバスターと……イザークさんのデュエル。ムウ兄が言ってたことは本当だったな」

 バスターの後ろから飛んできた2機のMS。1機はアラスカで自分を助けてくれた機体、しかしもう1機に見覚えはない。

「イザークさん、今日も元気に怒ってますかぁ?」

 その呼びかけに、思わずシートからズリ落ちかけるキラとディアッカ。

「……その声は! しかもそのテンションの高さは、もう1人のほうだな!」

「ピンポンピンポーン! だーいせーいかーい!」

「じゃないだろうが! 何でお前が新型に乗っている!」

「何でって言われても、ニコルやディアッカさん、ラスティさんが辞退したからなぁ。
 で、ディアッカさん。ムウ兄は?」

「クルーゼ隊長を追いかけて行っちまった」

「うげぇ……あの仮面が来てるのかよ……」

 はぁ、とため息を付いた

「ディアッカ……」

「キラ、。ここは俺に任せて、おっさんのところへ行け。
 クルーゼ隊長は新型に乗ってた。MSパイロット新人のおっさんには、ちょっとキツい相手だしな」

「わかった」

「ディアッカ、わかってると思うけど、くれぐれも僕とアスランの二の舞にはならないでね。
 ……あんな哀しい思いは、もう誰にもさせたくないんだ」

「アスラン、だと?」

 知った名前に端正な顔が怪訝な表情になる。
 去っていくフリーダムとフライトを見送った後、ディアッカはバスターのハッチを開いた。

「イザーク、俺はお前と殺し合いたくねぇ。……銃を向けずに話をしよう」







 MSで進入できる大きさはここが最後だった。
 その僅かな空間で対峙したストライクとゲイツ、ムウとクルーゼの因縁の戦いが再び始まっていた。
 ストライクのランチャーが火を吹けば、それを避けて転進してきたゲイツが腕にマウントされたビームサーベルで襲いかかり。
 エネルギー残量の少なくなったストライクがランチャーパックをパージしてアーマーシュナイダーを構えた。その隙を突いてゲイツから発射されたフックつきアンカーが襲う。

「ぐわぁっ!」

 ストライクの腹部をないだそれはコックピットを傷つけ、その破片がムウの脇腹をえぐる。痛みでレバーから手が離れたせいで、機体は尻餅をつくように床に落ちた。

「所詮、子は親に勝てないのだよ!」

 ムウにはその言葉の意味がわからないが、向けられたビームライフルが自分の命を終わらせようとしていることは理解できた。

「ムウ兄!」

 飛び込んできたフライトの白い翼がストライクを包み込んで、放たれたビームを跳ね返す。

「ムウさん!」

 フリーダムのビームソードがゲイツの両足を切り裂いて、バランスを崩した機体は横倒し、乗っていたクルーゼが脱出したすぐ後に大破した。

「すべてが知りたいのであれば、ついてくるがいいさ。私も逃げも隠れもしないからな!」

「……くそっ、クルーゼの野郎、ふざけたことをッ……」

 狭い通路へと消えていく金髪を追うべくハッチを開いたムウは、ストライクから降りていく。

「ムウ兄、怪我してるのに行くつもりかよッ!」

 慌ててハッチを開いたが叫んだ。

「売られたケンカは……買わなきゃな」

 そう言って痛みを堪えるようにニヤリと笑って見せたムウは、足を引きずるようにしてクルーゼの後を追いかけていく。

「あーッもうっ! 怪我人が相手できる相手じゃねーだろーがっ!」

 ヘルメットを乱暴に脱ぎ捨て、脇のバックからピストルを引っつかんで残弾数を確認。カートリッジを叩き戻して予備のカートリッジをポケットに押し込んで、は片膝を付かせたフライトからラダーも使わずに飛び降りた。

ッ?」

「キラ先輩はそこにいろよ、ムウ兄を連れ戻してくる!」

 走っていった彼女の後姿は、あっという間にキラの視界から消えた。

「待ってろって言われたって……できないよ、そんなの!」

 慣れないピストル。射撃訓練どころか、まともに引き金を引いたこともないが、ないよりはマシだろう。
 それに自分は行かなければいけない、そんな気がしていた。

 キラはフリーダムも片膝を付かせ、飛び降りた。



黒マント製作機から
 メンデルの会話シーンって、あちこちで進むから難しい…。


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