「AAがどうしたのッ! 映像を出して、早く!」

 叫んだに慌てながらも、メインモニターに映し出される映像。

「ムウ兄!」

 ちょうど大写しになったときが、ストライクがコックピットを貫かれた瞬間。
 2回3回と続くビームの先に滞空しているのは、仮面の男がドラグーンと呼んでいた砲台。

「……やっ……やだっ……ぃやだ、やだぁ!」

 通信モニターその他には目もくれず、はブリッジを走り出た。

『取り乱している今がチャンスだ! さっさと追いかけて捕まえろ!』

 サザーランドが叫ぶ。が、ドミニオン・ブリッジクルーは誰1人として動かない。

『これは命令だぞ! お前達は上官の命令に逆らうのか!』

 唾を飛ばして怒鳴るサザーランド。しかし、それでも動く者はいなくて。

「バジルール艦長。MS……おそらくフライトのものとおぼしき熱源を感知しました」

「その行方は?」

「ドミニオンから離れてすぐ、また反応が消えました」

 それを聞いていたナタルは少し考えたあと、AAへ通信を繋ぐように指示を出す。

「AA……にです、か?」

「あの艦の前で何が起こったのか確認せねばなるまい」








「艦長、ドミニオンから通信が入っています」

 爆散したストライクに呆然としていたマリューに、ミリアリアが眉をしかめながらも、敵艦からの通信を伝える。

「……繋いで……ちょうだい……」

 目の前で散った命を惜しんで泣き叫びたい、しかし、今の自分はAAの艦長。自分が取り乱していてはクルー達に不安を与えてしまう。マリューはうっすらと滲んだ涙を拭いて顔を上げた。



<……ラミアス艦長、こちらはすでに敵対する意思はありません>

「え……?」

<月基地を失って増援、補給も望めない今、我々が敵対することは無駄ですから>

「でも、さっきは進軍していたんじゃ……」

 ナタルの紡ぎだす言葉に唖然となりながらも、マリューは言葉を返した。

<先ほどまでは、私が銃で脅されていましたので。
 他のブリッジクルー達も、アズラエル理事の言葉に従わざるを得なかったわけです。
 ですが今は、すでに、少尉のおかげで解放されました>

さんがそっちにいたの?」

<新型のミラージュコロイドを使ってだそうです。
 単身ブリッジにやってきて、アズラエル理事の命と引き換えに核ミサイルの停止を要求したのですが。
 間に合わずに、彼は額を打ち抜かれました。
 ですから、こちらはもうそちらと敵対する理由はなくなりました>

「そう……そうね……。それで、今回の通信はそれを言うためだけではないのでしょう?」

<……先ほどのAAの様子、こちらでもモニターしていました。
 しかしその前後がよくわからなくて、少尉も叫びながら走り出てしまいましたし……。
 よろしければご説明願えないかと……>





 フライトと別れたストライクは、スラスターをふかしながら、AAとの距離を縮めていた。
 すでにブリッジへは被弾して帰艦することを伝えてある。

「せっかく修理してもらったストライクをこんなにボロボロにしちまって、エリカ主任が泣くかもな。
 マードック曹長は『予備パーツが足りる範囲で壊してくださいよぉ!』な〜んて言いそうだし」

 ムウは、受け入れのために上がっていくハッチを見ながら苦笑した。が、その緩みかけた表情を引き締める。

「ちくしょぅ……クルーゼの奴、あっちに行ってたんじゃないのかよっ……」

 身をつらぬく感覚が教えるものは、自分の父のクローンとの戦い。と別れる前、プロヴィデンスがプラントの方へ飛び去っていくのを確認したというのに。舌打ちしたムウは即座にAAに通信を入れ、ハッチを閉じるように指示を出す。

「フフフ、もう君を守ってくれる翼はないようだね」

「だからどうしたっていうんだ! 俺だって『エンデュミオンの鷹』と呼ばれた男だ。
 フライトに守られてるばかりじゃない。お前ぐらい1人でも倒せるさ」

「さすがあの男の血を引いているだけ会って、変なところで自信家なのには納得するが。
 思い上がるのもいい加減にしたまえ。
 君の乗っているMSと、この私の乗っているプロヴィデンスとでは出来が全く違うのだよ」

「改めて言われなくてもわかってるさっ! フリーダムなんかと同じ核で動いてるって言いたいんだろうが」

「それもあるが。メンデルで言わなかったかね? ……子は親に勝てない、と」

 にやりと笑ったようなクルーゼの言葉に続いて、ストライクを多方向から襲う光状。

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 激しい衝撃に思わず、ムウの口から声が叫びとなって響いた。

「なんと心地よく聞こえるものだろう! 私の望みが今、1つ叶えられようとしているのだ!」

 高笑いでも続きそうなクルーゼの、陶酔した声がストライクへと届けられる。

「けっ……お前なんかに大人しく殺されてたまるかよ。俺は不可能を可能にする男だぜ」

 そう言ってストライクがプロヴィデンスに進みかけたとき。

「いいのかな? キサマがそこから動けば、足付きのブリッジ前はガラ空きになるというのに」

 はっとなったムウが後ろを見れば、AAのブリッジが見えた。そしてその中央に、シートから身を乗り出しかけている栗色の髪の女性がこちらをじっと見ている。

「……折角……イイ女に出会えたと思ったのにな」

 ムウは小さく洩らして苦笑して、動くことをやめた。

「動かないということは、覚悟を決めたということかな?」

「誰も愛せないお前と違って、俺は好きな女をかばって死ぬことを選んだといえよ」

「……フフ、それではお前の命と引き換えに、足付きを狙うことをはやめてやろう」

 ムウはもう1度、後ろに目をやる。そして向き直ったとき。
 ストライクのコックピットを、ドラグーンの光が貫いた。





<……では、ストライクに乗っていたのはフラガ少佐でしたか……>

「ええ……それで、さんはどこへ行ったのかしら?」

<それが、MSの反応が消えて、どこにいるのかつかめないんです>

中佐に引き続いて、ムウまで目の前でだもの……。大丈夫かしら、彼女……」



 しかしマリューの心配もむなしく、は再び単身でドゥーリットルに乗り込んで、サザーランドの額を撃ち抜いていた。



黒マント製作機から
 ドミニオンが沈まなかったので、ムウを撃ち抜いたのはクルーゼに変更。
 何気にヒロイン暴れてます。アズラエルを撃って、サザーランドまで手にかけました。
 ここ何回か、キラたちが出てきてないな……。


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