アークエンジェル食堂がため息に支配されていた頃。
 ザフト軍籍ローラシア級戦艦・ガモフから、MSが発進した。
 ヘリオポリスから奪取された内の1機だった。
 その少し前の会話である。





「傘はレーザー・実体弾共に通さない。まあ、それはあちらも同じだが」

「こっちの攻撃が通用しない代わりに、向こうからも攻撃できない。
 簡単にいえばそういうこったろ?」

 外部モニターを見ながら言うゼルマン艦長の言葉に、金髪色黒男…もとい、ディアッカ=エルスマンが言い返す。

「だからといって、このまま見ている訳には行かないだろう。
 戻ってきたクルーゼ隊長に何もできませんでしたと報告したいのか?」

 『それこそいい笑い者だ』と、憎々しげに言うのはイザーク=ジュール。

「……傘は常時開いている訳ではないんですよね?」

 確かめるような発言。ニコル=アマルフィの優しげな顔に、どこかいたずらっぽい笑みが浮かぶ。

「周りに敵がいなければ解除されるが……」

「もしかしたら、僕の機体――ブリッツならうまくやれるかも知れません。
 あれにはPSの他に、面白い機能がついているんですよ」


 ガモフが離れて行ったことで安心したのか。アルテミスの光波防御帯、通称『傘』は解除された。

「ミラージュコロイド生成良好、散布減損率約37%……80分が限界ってところかな」



 GAT−X207、固有機体名ブリッツ。
 黒を基調に作られた機体は宇宙では見つかりにくい。
 おまけに。
 ミラージュコロイドと呼ばれる各所から噴き出すガスが、徐々に機体を隠していく。
 ステルスシステムを搭載した機体は、あらゆる可視光線をゆがめるガス物質をまとうことで、
 視認はもちろん、レーダーにも捕らえることは不可能となる。
 これがニコルの言った面白い機能であり、が指摘した事柄でもあった。



「これですね」

 やがてアルテミスにへばり付いたブリッツ。
 岸壁から突き出した無数のアンテナ類の中で、コックピットのニコルの目は、光波防御壁発生装置を正確に見抜く。
 そして。
 右腕に装着されたトリケロスが、それを打ち抜いた。



  黒マント製作機から
   最初のうちはAAよりで話を進めていくので、どうしてもザフトよりの話が短い。
   ザフトファンの方、申し訳ありません。

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