目を開くと、白い天井が映って。

「……私……?」

 ぼんやりとした頭が、徐々に覚醒していく。
 そして、最後に見た光景を思い出して。
 新たな涙が溢れ出した。
 次から次へと、流れはつきない。
 私はうつ伏せて、枕に顔を押し当て声を押し殺して泣いた。


 ようやく泣き止むことができ、お礼を述べた私は医務室を後にした。
 パイロットスーツのままで寝かされていたので、ロッカールームで着替え。

 ……この軍服、すっごく嫌なんだけど……。
 今まで頑なに拒んできたのに、誰よ、私の服を隠した奴!

 あてがわれた部屋に戻る途中、廊下の一角が騒がしいことに気が付く。

「……何?」

 賑やかな先で何が起こっているのか、興味がないわけじゃない。
 でも、泣き腫らした顔を見せたくはなかった。
 仕方なく、彼らが立ち去るまで待つことにした。
 程なく。

「お前たちはまだ作業が残っているだろう!」

 そう叫んだ副艦長の声が聞こえて、廊下にいたみんなは一斉に駆けていく。
 私は物陰に隠れていたので見つからなかった。
 けれど。

『ミトメタクナーイ』

 聞こえてきた甲高い声に思わず飛び出しそうになった。

「……今のは」

 以前はよく聞いた声。
 でも、ここでは聞こえるはずのない声。

「幻聴。そうよ、幻聴だわ……」

 私は何度もそう言い聞かせて、その場から離れた。






『キラだけど、、いる?』

 控えめなノックの音で、私の意識は覚醒した。
 どうやら、うとうとしていたらしい。

「なんですか?」

『ちょっと付き合ってくれないかな?』

「お断わりします」

 キラ先輩のお誘いに、私はコンマ感覚で答えを返す。
 すると、ドアの向こうで聞こえる苦笑。

『今回は何もしない、誓うよ。
 ただ、に会わせたい人がいるだけだから』

「……本当ですね?」

 ドアを開いた私は、自分でもわかるくらいに眉間にしわを寄せていた。
 その顔を見たキラ先輩はまた苦笑して『こっち』と短く告げて、私を目的地まで先導してくれた。


「……こんなところに何か用ですか?
 確か士官クラスの人たちの個室ばかりだと思うんですけど」

「そう、よく覚えてたね」

 にこにこ笑いながら、キーロックを解除するキラ先輩。
 そんな様子に、私の胸に飛来する嫌な予感。

「大声上げていいですか?」

「なぜ?」

 パクンとふたを閉めながら、キラ先輩は不思議そうな顔で見てきた。

『ハロ、、ゲンキ』

 ドアが開いた途端、勢いよく飛んでくる球体。
 私は慌ててそれを受け止めた。

「お久しぶりですわ、

 二の句が出ない私に、微笑みかけてくれたのは。
 白いドレスにピンクの髪の少女。

「ラクス=クライン嬢?」

「あら、他に誰に見えますの?」

 手の中ではモゾモゾと動くピンクの球体。
 ……幻聴じゃなかったんですね。

「ありがとう、キラ様。
 ちょっとと話したいので、席を外していただけます?」

 その言葉に頷いたキラ先輩は、部屋から出ていった。



  黒マント製作機から
   赤服隊、レノアを知っているとなれば、絶対にラクスともお知り合い。
   ヒロインの交友関係は追々と。

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