あてがわれている部屋は個室。
 士官でもないのにこの待遇。
 名目上は、MSパイロットだから特別。実際は、体のいい隔離。
 それでも私は構わなかった。他人といるのは苦痛だったから。
 それに……ひとりなら泣けるから。



 逃げ出してきたは、部屋に飛び込んで鍵を閉めて。
 備え付けのベッドに倒れ込んだ。
 枕に顔を押し当ててはいても、狭くて暗い室内に響く。
 抱きしめられていたときに泣けなかった分を取り戻すかのように、漏れる呻きと呼応して、細い両肩は激しい上下を繰り返す。

 その激しいながらも漏らすまいとしている嗚咽を、キラは彼女の部屋の前で聞いていた。
 普通のクルーや民間人には聞こえないであろう声も、コーディネイターの聴力は捕らえていた。





「それほど悲しいのに、辛いのに、どうして隠そうとするの……?」

 僕はぽつりと呟いた。
 たどり着くまでは、電子ロックを解除して部屋に入って、そして抱きしめるつもりだった。
 電子ロックの解除などは容易なことだし、実際、他の部屋で試したことすらある。
 しかし、あまりにも痛々しいほどに押さえた泣き声に、僕は次の動きを起こせなかった。
『いつもひとりで溜め込んでしまっては、無理して笑って』
 さっき聞いたラクスさんの言葉がよみがえる。

「僕は一体、彼女のどこを見てたんだろう……」

 モニター越しの姿、きれいな瞳に一目ぼれして。
 小動物のように震え脅える様子に、ますます心ひかれて。
 いきなり変わった人格に驚きながらも、これが強さだと誤解して。
 僕を避けて逃げるのも、第一印象が悪かったせいだと決めつけて。

「何にも君のことを知ろうとしなかったね」

 こつん、と額がドアに触れた。
 頬に伝うは、一筋の透明な流れ。

今回はこれ以上の深入りはしないよ。
 でも、いつか、が僕の側で泣いてくれたら嬉しいな」

 扉越しの彼女に小さく笑いかけて、頬をぐっと拭って。僕はゆっくりとその場を離れていった。



  黒マント製作機から
   うあ、にせキラっぽい。ヒロインの名前変換2ヵ所だし。
   彼はですね、ヒロインの表面しか見てなかったことを恥ずかしく思って
   今回は近付くこと=部屋に入るのをやめたんです。
   次はラクス返還ですね。

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