『こちらは地球連合軍AA所属・ストライク。
 これからラクス=クライン嬢を引き渡す。
 但し条件が2つ。ナスカ級はその位置に停止、イージス単機で来ること。
 要求が受け入れられない場合、貴艦による責任放棄と見なし、ラクス嬢の命はこちらで処理させていただく』

 私は考えていたセリフを一気に吐き出すと、通信をオフにした。

「ごめんなさい、私が邪魔で操縦しにくいのではありませんか?」

「気にしないで下さい。ラクス嬢は軽いですし。キラ先輩をひざに乗せるよりマシです」

って、何気にひどいこといいますわね」

「だって、いきなり抱きつかれては私だって困ります」

「まぁ……それもそうですわ」

 発進する前のひと悶着を思い出したのか、ラクス嬢はクスクス笑う。




「僕はここね」

 シートに座った私のひざの上に、当たり前のようにキラ先輩は乗ってきた。

「本当は僕のひざの上にを乗せたいんだけど、操縦替わってくれそうにないし…」

「当たり前です、つか、降りろ

「まぁ、女の子がそんな乱暴な言葉を使ってはいけませんわ」

「ラクス嬢が前に来てくれないと、降りるのに困るでしょう。
 って言ってる側から、先輩は何してるんですか」

に命綱。そしてその先を僕に結んでいるんだけど、見てわかんない?」

 ニコニコ笑顔で答える先輩に、手加減する必要ないか。

「あら、あらあらあら」

 ラクス嬢が唖然としている横で。
 俺は自分に結ばれていたロープをほどき、キラ先輩の両手両足を縛って、ヘルメットを脱がせて、持っていたハンカチでさるぐつわを噛ませて、再びヘルメットをかぶせると、パイロットシートの後ろに蹴り込んだ。
 その間わずか2分弱。

「相変わらずお見事ですわ」

「先生達がよかったですから」




「……まさか」

 全チャンネルで聞こえてきた通信に、彼は眉を潜めた。
 先日の戦いで久しぶりに声を交わした親友である幼なじみ。
 彼の声とは違うことはすぐにわかった。
 だが、あの艦にはあのMSを動かせる人間はいないはずである。
 そうでなければ、あのお人好しの彼が乗ることに承諾するわけがない。
 しかし聞こえてきたのは明らかに違う……女性のものと取れる。
 その声は無理をしているのか、少し固くなっていたが、記憶にあるものに酷似している。
 ユニウス・セブンの時以来あっていないから、現在の消息は不明。
 だが、もしあの艦に乗っていたとしたら?
 彼にとっては、大切な婚約者であるラクスの引受けが最優先だが、思い当たった事柄も確かめてみたくなる。
 考えがまとまった瞬間、アスランはブリッジへの通信を開いていた。

『わかった、許可しよう』

 半ばあっさりとしたクルーゼの言葉に、やや拍子抜けするアスラン。
 しかし、通信を切った後で交わされていた会話、ラクスを取り返した後、上司がどうするつもりなのか、もちろん知らない。



 の通信はもちろん、AAにも届いていた。

「最高評議会議長の娘とはいえ、軍人ではなく、普通の民間人。これ以上利用させたくなかったんでしょうね」

「そうだとしても、捕虜を勝手に連れ出してあんな取引を持ちかけて、すんなり聞いてくれる相手とは思えません。
 艦長、攻撃命令を!」

『やめとけやめとけ。そんなことをやったらストライクがこっちを撃ってくるぜ』

 モニターのフラガの言葉に『そうそう』と頷くレガール。

「ですがっ……」

「とにかく、今は待つことしかできないわ。無事に何事もなく終わってくれるように祈りましょう」

 ――軍人としては甘い考えかも知れないわね。
 そう思いながら、マリューはメインモニターを見つめていた。



  黒マント製作機から
   大人たちの思惑に気付かないまま動く少年少女たち。
   ちなみにヒロインは。
   赤服隊の面々から体術から白兵戦のやり方、果てはMA・MSの操縦方法まで
   一通りのことは教わってたりします(苦笑)

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