『だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』

 トリガーを引いた瞬間、聞こえてきた叫び。

「今の……聞こえたか?」

 燃えるシャトルを視界に入れつつ、イザークは仲間の元に通信を開いた。

『ああ……、聞き間違いじゃない、よな?』

 ディアッカから返ってくるのは、やはり戸惑いを含んだ声。

「アレに乗ってるのは、なのか?」

『まさか!……とは言い切れないぜ。あいつはMS、乗れるんだし』

「俺達が教えたせいでな。
 だけど、軍人でもない限り必要とする技能じゃなかっただろう!」

『俺に怒るなよ。……それより、いいのか?』

 バスターの指さした先には、落ち始めるストライク。

『俺も手伝ってやるから、早くを回収しようぜ』

「わ、わかっている!」

 スラスターをふかして、デュエルはストライクに手を伸ばす。




「おまえらなんかに渡すもんか!」

 少しずつストライクとの差を縮めていたAA。
 デュエルが何をしようとしているかを悟ったとき、僕はイーゲルシュテルンの砲門をそちらに向けていた。

「キラくんっ?」

「とんびに油揚げを攫わせるわけにもいかないでしょう?
 僕だって降下中の不安定な状態で発射ボタンは押しません。けど。
 だからってむざむざあちらに渡すわけには行きませんよ、ね?

 声に振り向いた僕がそう言うと、みんなが一斉に頷いた。
 それも、一様に冷汗など垂らしつつ。
 どうしてだろう?

 やがて軽い振動と共に、ストライクが無事看板に降りたことを確認する。
 ザフトの2機は……。
 AAとは明後日の方向に落ちていった。

、しっかりして。ッ!!」

 インカムに必死に呼びかけるミリアリア。
 でも、返事が返ってきた様子はない。
 最悪の事態にはなっていて欲しくない。
 一刻でも早く顔が見たいよ、声が聞きたいよ。
 地上にたどり着くまでが、とんでもなく長かった。







「アスラン」

「ニコルか」

 背後から駆け寄ってきた少年に、彼は笑いかけた。

「イザークとディアッカは、無事に地上に降りたそうですよ。
 しばらくはジブラルタル基地のほうにいるそうです」

「よかった……」

 口論が多いとはいえ、二人とも同じ隊の仲間。
 ましてや、突入カプセルなしの降下など初めてのこと。
 アスランやニコルが心配するのは当然だった。

「そういえば、イザークから伝言を預かってるんです」

 それぞれの自室に戻る道すがら、彼は思い出したように口を開く。

「へぇ、何て?」

「『合流したら全部白状はかせてやるからな、覚悟しとけよ』ですって。
 アスラン、何か隠してるんですか?」

 彼の前に回り込み、ニコルはその顔を覗き込んだ。

「え、別に、何も……」

「そうは見えないですけど、余計な詮索はしないでおきますね。
 話したくないってことは、知られたくないってことでしょう?」

「すまない」

「それに」

 ニコルは、邪気のない微笑みでにこりと笑い。

「今聞き出さなくても、イザークが意地でも口を割らせるでしょうし。
 当社比1・5倍の勢いで怒ってましたからね」

「………………………え゛?」

 アスランの整った顔が、ひくりとひきつる。
 それを見て、くすくす笑うニコル。

「じゃ、僕はこれで」

 自室のドアにするりと消えた彼を見送りつつ、アスランは近い将来をどうするべきか、必死で考えていた。



黒マント製作機から
  ようやくここまで進みました。
  キラがパイロットじゃないというのがこんなにも疲れるなんて。
  ブリッジにいる彼はともすれば忘れそうな存在←マテ。

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