当初の降下予定地を大きく逸れて、AAは砂に沈んだ。

!」

 着地作業が終わると同時に、僕はシートから飛び出す。
 そして一目散に外に向かって走った。
 項垂れるようにして座っていたストライクは、カタログ・スペック通り、大気の摩擦熱による損傷は見受けられない。
 しかし、近寄っただけで汗が拭き出てくるほどに熱を放っている。

「キラ!!」

 後ろから追いついて来たサイが、軍手を投げてくれる。

「ないよりマシだと思うから!」

 笑顔で頷き返して、それを素早く両手にはめた。
 そして、ストライクの外部ロックに手を掛ける。

「っち!」

 思わず声が出た。
 だけど、それにためらっている暇はない、早く中から出してあげないと。
 僕は作業を続ける。
 ハッチを開くと同時に、機体回りよりもキツい熱気が押し寄せた。

!」

 シートにはぐったりとした少女の姿。
 固定していたベルトをひきちぎるように外して、僕は細い体を抱き上げる。
 辛うじてしている呼吸は、短くて早い。体も熱い。

「急いで医務室へ!」

 彼女を抱えて飛び降り担架に乗せると、艦長の声が聞こえた。
 その後、僕の意識も途切れた。



「お前でも感情的になれたんだなぁ」

「どういう意味さ、それ」

 ペチンと貼られた冷却ジェル入りの救急パッド。
 僕は乱暴な扱いと僅かな痛みに顔をしかめる。

「そのまんまじゃない。
 キラが自分のことを省みないで動くのって、あんまり見たことないし」

「そうかなぁ……」

「少なくとも、女の子相手に夢中になるキラは初めて見た。
 デュエルに砲門向けたとき、今にも恋敵を撃ち落としそうな顔してたしな」

 壁に背中を預けたまま、小さく笑うサイ。
 いつも彼の隣にいるはずの赤い髪の少女は、ここにはいない。
 あんなことがあった後だから顔を合わせたくないから、それはうれしかった。

「トールたちに聞いたけど、キラ、あの子から嫌われているんだろ?」

 カズイの言葉に、ギッとそちらを睨みつける。
 トール&ミリアリアは、明後日の方を見ているけど。

「い、いいんだよ。今は嫌われててもっ!
 これから先どうなるかわからないんだから我慢できるんだよ」

「そうだよなぁ、今回みたいなことで得点は上げていけるし。ま、頑張れ」

 ポン、と肩に置かれた手。

「ありがとう、トール」

 僕はその手を掴んだ。

「でも、おしゃべりはよくないよねぇ?

 さぁぁぁっと彼の顔が青ざめ、サイとカズイはじりじりと離れていく。

「キラ、手当てが終わったら医務室に行くんじゃなかったの?」

「あ、忘れるところだった」

 僕は立ち上がる。

「じゃ、のそばにいるね。ブリッジの僕の仕事、まかせていいかな?」

「も、もちろん。俺が責任もってやっておくから!」

 トールが言ってくれたので、僕は安心して居住区を後にした。



  黒マント製作機から
   ヒロインが喋ってない〜。って、無理ないんだけど。
   ミリアリアの助けがなかったら、トールは今頃どうなったのかわかりません。
   次は医務室。

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