「最初の拒絶っぷりはどこにいっちゃったのかなぁ?」

「……自分でも不思議なんだから、面白そうに言わないで」

 くすくす笑いながら言うミリィに、私は引き上げたシーツから目だけを覗かせた。

「起きたときには側にいて、気持ちよさそうに寝てたんだから。
 なんとなく、起こしたら悪いかなって気にさせられてしまいました」

「本当にそれだけ?」

「ストライクから出してくれたの、キラ先輩みたいだったし……。
 お礼なんです、お礼っ! そうなの、私を助け出してくれたお礼っ!」

 そう、助けてくれたお礼だから。
 私は何度もそう言い聞かせたけれど、気が付けば右手で左手を握っている。
 ……まだその部分に、自分以外の温もりがあるような気がして。

「あの体勢の言い訳は?」

「え?」

 ちょっとぼんやりしていて、私はミリィの話を聞いていなかった。

「私たちが目撃したあのシーン。
 ベッドの上で二人倒れ込んでて、しかもキラの手がの腰に回ってて!
 ヤバイ、これはお邪魔しちゃったかなーって気分にさせられたわよ」

「もう深読みしないでっ! あれは説明した通り、単なる事故であんな体勢になったの!」

「すぐ離れなかったのに?」

「左手は固められてたから、片腕だけじゃ力は十分に入らなかったし。
 思ってたよりキラ先輩の力が強くて、逃げられなかったから……」

 再び笑うミリィ。

「そりゃ、あんな顔してたって、一応キラも男の子だしね。
 女の子のが力負けするのは当然」

「あんな顔って……今さらりと言ったね」

 私は堪え切れずに吹き出した。

「だってすっごくお化粧させて遊んでみたくなる顔なんだもの!
 薄くルージュ引いてドレスを着せてみたくならない?」

「あ、それはさっきじっと見てたときに、私もそう思った!
 まつ毛長いし、あの瞳の色も魅入ってしまうほどきれいだし、ただ黙って座ってたら男だと……は……。
 ミリィ何、そのニヤついた視線」

「へー、瞳に魅入られるぐらいに、じーっと見てたのねぇ」

 私はようやくそこで、自分の発言が墓穴を掘ったことに気がついた。
 
「ま、あれだけ嫌がってたんだし、今更認めたくないかもしれないから難しいかもしれないけど」

「な、何を認めるっていうのっ?」

「さあ?」

 笑うミリィに、私は訳が分からなくて眉根をしかめた。




「でも、なんで私を拾ってくれたんです?
 あのまま降下していれば、アラスカは目の前だったって言うのに」

 ミリアリアが落ち着いた頃、私は思い出した疑問を問いかける。

「艦長がね、決めたの。
 第8艦隊の犠牲を無駄にしないために、ストライクは持っていって、本部で絶対に生産ラインに乗せなきゃいけないって」

「副艦長さんは反対したでしょ?」

「まぁね。でも艦長が『責任は私が取る』って強行したの」

「後で謝っておかなきゃ……」

 艦長さんの立場を考えると申し訳なくて、少し涙が出た。

「ほらほら、熱は下がったとはいえ、最近ろくに休んでなかったでしょ。
 落ち着いて少し眠ればいいわ。当面、AAも動けないし」

「ここ、地球のどこなんです?」

「アフリカ北部の砂漠、辺り一面砂だらけ。ついでに言うと、完全にザフトの勢力圏内」

 驚いて起き上がりかけた私の両肩を、ミリィが押し返して。

「安心していいの。おとなしく寝てなさい。
 ザフトの圏内だっていってもすぐにすぐ攻撃がある訳じゃないんだから」

「でも、パイロットの私がいないと……」

「どっちにしたって今はまだ出られないんだから。ストライクも整備中よ。
 だから休めるうちに休んでおきなさいって言ってるだけ。
 それとも、またここでキラと2人っきりになりたい?」

「1人でおとなしく寝マス」

 冗談じゃないと、私は慌てて断わる。
 そんな様子に笑うミリィは『また来るから』と言い残して部屋から出ていった。




 一人になってうつらうつら始めてしまった。
 でも再びドアの開いた音に気がついた。一応、寝た振りを続けておく。
 足音はまっすぐこちらにやってきた。

「やっぱりコーディネイターってスゴイのね。さすが遺伝子いじられて生まれてきただけあるわ」

 声から相手を悟る。

「とりあえず、無事に生きて返ってきておめでとうって言っておくわ。
 だって、あんなことで死なれては、何の意味もなくなっちゃうじゃない。
 あんたたちにはこれから、いっぱい殺してもらうの。
 誰も愛さず愛してもらえず、憎まれながら同族殺しの名を背負って。
 それで最後にはキラとあんたが殺しあうの。
 ウフフ、とってもとぉっても素敵でしょ?
 そのために船に残したんだから。
 仕方ないとはいえ化け物とキスしなきゃならなかったって、あたしって可哀相」

 フレイは私が起きていることに気がついていない。
 自分のしゃべりたいことだけをしゃべって、そして部屋から出ていった。
 その間中、必死で寝た振りを続けていた。
 でも、シーツで隠れた拳がきつく握りしめられる。

「やっぱり騙されたのか……」

 起き上がった俺の手の平は汗で濡れ、爪の擦過傷が残っていた。
 ぺろり舐めると、鉄と塩の味が口の中で混ざった。



  黒マント製作機から
   少しだけヒロインの心境に変化。それを見抜いたのは、やっぱりミリアリアでした。
   あとはヒロインが認めて行けるかどうかです。
   そして、悪魔女フレイ。
   男子生徒にたくらみばれてるっていうのに諦めてません←今はばれてるとは知らない訳だし。
   最後はどうやら、キラがフレイとキスしたと知って、ショックで俺モードチェンジしちゃったようです。
   その理由が何故か、当分は気付かないヒロインでしょうけどね。

To NEXT