サイドメッシュの女の人に導かれて、私たちは部屋を後にした。
 目的地にたどり着くまで何度かすれ違った人たち、皆私のほうを見つめている。
 私は恥ずかしくて恥ずかしくて、逃げかえってしまいたくてたまらなかった。
 でも、見覚えのある制服。……もしかしてここって……。

「ほぉ、これはまた……」

 部屋に入ると、さっきの男の人が感心したように声を上げた。
 隣のキラ先輩と目が合うと、私は思わず視線をそらした。
 ……よくわからないけれど、何となく恥ずかしくて。

「それじゃアイシャ。僕はこの子たちをAAまで送ってくるよ」

「「「ええっ!!」」」

 一斉に上がった声に、男の人は苦笑する。

「わかったわ。でも、すぐに帰ってくるのよ。
 でないと、ダコスタくんがバグゥでおしかけるかもしれなくてよ?」

「うーん、それは困るな。君の言う通りに、送り届けたらすぐに戻るよ」

 彼女の投げたキーを片手で受け取って、彼はまだ茫然としている私たちを車庫へと促した。




「あの、私たち、送ってもらわなくっても……」

 さっきすれ違った人たちが着ていたのは、前に何度か見たザフトの制服。
 それにさっきの会話で出ていた『バグゥ』という単語。
 そして、パナディーヤで狙われたわけ。
 それらの共通点が示すものは1つしかない。
 それでも、その事実から目を逸らしたい。……それが今、私にできるならば。
 しかし、目の前を行く人は更なる爆弾を落としてくれた。

「本当ならジープじゃなくて、僕のラゴゥで送ってあげたいんだけどねぇ」

「「「ジープで十分です!!」」」

 ラゴゥというのが何かわからないけれど、MSもしくはMAであることは想像できた。
 そんなもので近付いたら、帰艦する前に撃破される恐れがあるってことに気が付いてください。



「みんな、きっと心配してるぞ」

「そうだろうね、やっぱり」

「合流予定時間、とっくに過ぎてるし」

 私たち3人は、後部シートに3人並んでいた。
 奇しくもAAからパナディーヤに向かったときと同じく、私とカガリの間にキラ先輩を挟む格好になってしまったけど。

「おまけに、虎に送られて帰るなんてさ」

「えっ、やっぱりそうなのっ?」

「そうなのって、今までのを見てたらわかるだろ……?」

「カガリもキラ先輩も、私に状況説明してくれませんでした」

「そうだっけ……ゴメン……」

「ああそうか、ちゃんと自己紹介していなかったねぇ。
 僕はザフト軍地上部隊北アフリカ方面指揮官のアンドリュー=バルトフェルド。
 そして僕のそばにいたのがパートナーのアイシャ。
 おそらく、この後の戦闘では僕の部隊が君たちの相手をすることになるだろうね」

 片手でハンドルを器用に操りながら、アロハシャツにサングラスの人は言った。





 その頃のAA。

「……艦長。白旗上げたジープが1台、パナディーヤ方面から走ってきます」

 戸惑いがちに上がったカズイの言葉。

「え?」

「モニター、切り替えて」

 外部カメラからの映像が、メインモニターに映し出される。

「確かに、白旗を上げたジープ……だな。運転しているのは誰だあ?」

「あ、後ろのシートにいるの、キラたちですよ!」

 トールの叫びに一斉に見た一同。

「よかった、3人が無事で」

 ミリアリアは友人達の無事に安堵し、大きく息を吐いた。





 やがて、ジープがたどり着いたときには、マリューをはじめとするAA士官組と暁の砂漠の面々が外に出ていた。
 その誰しもが、出かけたときとは違う3人の格好、特に女性2人の変貌に驚く。
 バルトフェルドがカガリを、キラがを、それぞれ車から降ろす。

「送ってくれてありがとうございました」

 は軽く頭を下げた。

「なんのなんの。コッチが巻き込んだことに端を発したんだからね。
 今回は話せて楽しかったよ。……じゃ、また戦場で」

 苦しそうな表情で頷いたキラたちを見たあと、飛び乗ったバルトフェルドの操るジープはあっという間に走り去って行った。
 その様を、他の皆はしばし眺めているしかできなかった。が。

「お前ら、さっきのもしかして……」

 一番最初に我に帰ったレガールが走りより、の腕を掴む。
 それがちょうど撃たれた左腕。痛みで顔をしかめた彼女を、キラが間に入ってかばった。

「……すみません。怪我をしているので、触らないでいてあげてください」

「怪我? まさか、何かされたのか?」

「いえ、そういうわけではないんです」

 声を上げたナタルに、キラはそちらを向いて否定した。

「詳しいことは上で話す。それでいいか?」

 カガリの発した言葉に、はやる気持ちを抑えながらも、その場にいた一同は了承した。



黒マント製作機から
  ドレス姿のヒロイン達をパナディーヤで降ろすのもなぁと思い、ジープをAAまで走らせました。
  あんな街の中できれいな身なりをしてたら、また襲われるかもしれないと心配したためです。
  それにしても、ヒロインが車から降りるのを手伝ったり背中にかばったりと、最後はちょっと王子様なキラ。
  役得キラはもう少し続きます。


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