ブリッジに落ちた沈黙。それを打破したのはトールの一言だった。




「そういえばさ、もカガリも、虎んトコで着替えさせられたんだろ?」

「ん、ああ、そうだが?」

「2人とも、しばらくその格好でいたらいいじゃん。すっげー似合ってんだし」

「「なっ!!」」

「私はすぐ着替えるぞ! こんな格好で戦えないからな!」

「私だって着替えたいです。この服、動きにくいんですから」

「キラだって、しばらく見ていたいんだろ」

「だから、何でそこで僕に振るの!?」

「そりゃ、さっきから、ちらちらと少尉の方を見てるわけだし。
 ケーニヒ二等兵の言葉もあながちはずれてるとは思えないぞ」

 にやにやと笑うチャンドラの言葉が、キラの反論を封じる。

「カガリさんは着替えても差し支えないと思いますけれど、少尉は今日一日その格好でいなさいね」

「どうしてですか!」

「今は手を机の上に挙げることすらできないのでしょう?
 だったらストライクの操縦はおろか、ブリッジに入ってもらうこともできないわ。
 明日になれば少しは痛みも和らいで、キーを叩くこともできるようになるでしょうから。
 今日のところは、怪我人はおとなしく休みなさい」

「でもっ……」

「クルーゼ隊の面々と知り合いだったなんて、大切なことを黙っていた罰も兼ねているの。
 少尉は動きにくい服装のまま、自室で謹慎を命じます」

「……はい」

「ヤマト少尉は少尉を部屋まで護送してくること。その後着替えて、ブリッジに戻ってこい」

「護送……ですか?」

 レガールの指示に、思わず間抜けな声で聞き返すキラ。

「そーそー。逃げられないように、ちゃんと部屋まで送っていけよ。階級も一緒なんだし、お前が適任だろ。
 でも、ちゃんとわかってるな?」

「何をです?」

「一応、艦内の送り狼は禁止だぞ」

「フラガ少佐!!」

 真っ赤になって叫んだキラに、その場にいた皆が一斉に笑った。
 但し、当のだけは言葉の意味が分からずにきょとんとしていたが。





「さて、説明も終わったことだし、我々もあちらに戻る」

 立ち上がったキサカは、ひょいとカガリを小脇に抱え込んだ。いきなりのことに一瞬反応が遅れた彼女だったが、やがて真っ赤になってジタバタと暴れ出す。

「バカやろう、離せ、降ろせっ!」

「お前もあっちに戻ったらみっちりと説教だ。いらん心配ばかりかけさせるな」

「1人で歩けるから降ろせっ!」

「そう言って逃げる気なのはわかっている。今まで何度もやられたが、今回は逃がさんぞ」

、助けてくれぇ〜〜」

「……ごめん、私もキサカさんを敵に回してカガリを守る気力はないから。諦めて怒られて」

「薄情者ぉぉぉぉぉぉ……」

 閉じたドア越しに叫び声が聞こえたが、はあえて聞かない振りをした。





「相変わらず騒がしい奴だなぁ……」

 軽く肩をすくめたレガールに、は苦笑しながら頷いた。

「では少尉、AA艦長として、あなたに今日一日の自室謹慎を申し渡します。
 キラ=ヤマト少尉。彼女を部屋まで護送してきてちょうだい」

「用事が済んだらさっさと帰ってくるんだぞ」

 の手を取って歩き出したキラの背中に、ナタルの言葉が投げられた。



黒マント製作機から
   また分けた……。
   小脇に抱えられたカガリが書きたかったんです。あの体格差ではありえそうでしたし。
   実際はしないかも知れませんけどね、まだ身分隠している状態だから構わないだろうと。


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