「よかったな、坊主」

 ミリアリアに連れられていく彼女を見ていた僕は、後ろに人が来たことに気が付かなかった。
 話しかけられて、初めてその存在に気が付く。

「……なにがです?」

 頭の上に乗せられた手を振り払って、僕は振り返った。

「コーディネイターがお前だけじゃなくなったってことがさ。
 一目ボレなんだろ?」

「い、い、い、いいいいいいいきなり何をっ!」

「おやまぁ。
 当てずっぽうだったんだが、はずれてはないのか」

 フラガ大尉を、僕は真っ赤な顔で睨つけた。
 くっくっと楽しそうに笑う彼。

「確かに、僕一人だけじゃなくなったのはうれしいことです。
 けど、それがどうして一目ボレという話に飛躍……」

 半分しどろもどろになりながら、僕は必死に反論する。
 が、その台詞も最後までは言わせてもらえない。

「お前の視線は、あの子ばかり追いかけていたじゃないか。
 うーん、戦火の中で咲く恋心。青春だねぇ」

「フラガ大尉」

「なんだ?」

「台詞がオジサンです」

 僕の微笑みは、フラガ大尉を凍りつかせたらしかった。
 が、そんなことには構っていられるはずもなく。
 少し離れたところにいたトールと一緒に、彼女たちを追いかけた。
 ……本当はサイたちにも声を掛けようとしたのだけれど。
 彼の隣にいた少女が、彼女に向けていた視線が気になって、やめた。
 サイが動くと、フレイも付いてくるだろうから。







「トールは知ってた?」

「何のこと?」

「ミリアリアと一緒にいた女の子のこと」

 僕がそう言うと、トールはニヤニヤ笑い始めた。
 そして、首に腕を回してくる。

「キーラーくん。俺をダシにして近付こうってのは無理」

「なっ、べ、別にそんなわけじゃっ! その発想、フラガ大尉と同じだよっ!」

「そう?」

 僕が頷くと、トールはケタケタ笑い出した。
 ひとしきり笑った後。

「ご期待に添えなくて悪いんだけど、俺も初めて知ったの。
 けどさ、みんなに紹介したいから来てほしいって言ってたな」

 トールに引きずられたまま歩み、僕たちはミリアリアのあてがわれている部屋をノックした。






「いいわよ、入ってきても」

 開いたドアからは、ベッドに腰かけているミリアリアと彼女の膝枕で寝ている少女の姿が見えた。

「あれ、他のみんなは?」

「サイもカズイも話し中で声を掛けづらくてさ、俺たちだけ」

 トールの笑顔に、ミリアリアも笑顔を返す。

「ねぇミリィ、彼女のことを知ってるの?」

 僕が一番聞きたかった問題。
 それに対して、ミリアリアはしっかりと頷いた。

「この子はね、私の家の隣に住んでる子なの。
 っていう名前よ、かわいいでしょ?」

 その問いかけに、僕は頷いていた。が。
 ハッと気が付くと、再びニヤつくトールの顔が見えた。

「キラ、俺は応援しているからな」

「な、何を?」

「隠しても無駄。お前、この子のことが気になってるんだろ?」

 う"、やっぱり鋭い。

「私もトールと同じ気持ちよ。だから、頑張ってね」




黒マント製作機から
 また絡みなし……。ごめんなさい。
 この話ではキラを書く!という目標は達成したのですが。
 次こそは、キラとヒロインの絡みを書けたらなぁと思います。

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