南の島で一夜を過ごして救助された私は、帰艦後、マードック曹長やキサカにむちゃくちゃ怒られた。無理やりに発進して墜落したのだから、叱られても仕方ない。みんなに心配かけたと思うし、迷惑もかけた。
 そして夜、私は言いたいことがあっての部屋を訪れた。





「カガリが無事でよかった」

 椅子を勧めてくれた彼女は、自分もベッドに腰を下ろして、開口一番にそう言ってくれた。

「お前にも心配かけたよな、悪かった」

「そりゃ心配したけどね。
 スカイグラスパーにも非常用パックがあるんだし、私はカガリなら一晩ぐらいは平気だって信じてたよ?」

「……そのことなんだが……なかったんだ」

「へ?」

「だから非常用の固形食料とか入ったパック、島についてすぐ、波に攫われてなくしたんだ」

「それじゃあ、昨日の夜はどうやって過ごしたわけ?」

 の驚きは当然で。私はとつとつと、島で出会ったザフト兵、イージスに乗った藍色の髪の少年のことを話した。

「……なるほど、アスランさんに会ったんだ……」

「ナビゲーションモジュールをやられたせいで、ザフトの船に気がつくのが遅れてな。
 あいつの機体はちょうど運ばれていた最中だったらしい。
 それで出会い頭に胸を押えつけられてな、叫ばなかったらナイフで刺されてたぞ」

「よかったね、刺されなくて」

 安堵のため息を漏らして笑ったに、私は軽く眉をしかめた。

「アスランさんは、アカデミーでナイフ戦1位の実力だったんだよ」

「んげっ!」

「彼が本気を出してたら、今頃カガリはお空のお星様」

「よかったー、あのときあいつが手を止めてくれて……」

 あのときは怖かったけど、本当に危なかったんだなー。私は胸をなで下ろした。

「それで、アスランさんは元気そうだった?」

「まーな。捕虜の前で無防備に寝られるぐらいに」

 それを聞いて、は吹き出した。思わず私もつられて笑い出して、少しの間、2人で笑った。

「島で彼に会ったことは……」

「誰にも言ってない。救助にきたストライクにも見つからなかったしな。
 でもな、私がAAに乗ってるって言ったらあいつ、の事を心配してたぞ。知り合い……なんだろ?」

「そうだけど……、カガリやレガール兄たちを残して、今更あっちに行けるわけないじゃない。
 あの人たちが教えてくれた技術を使って、今、私が守りたいものを守るの。
 ザフトにいったら、たぶん守られるだけになっちゃって、何もできないと思うから。
 見てるだけで守れないことを悔やむよりも、自分のできることをやって、それから悔やみたいしね」

 そう言って、彼女は微笑む。

「お前、ちょっと変わったんじゃないか?」

「何が?」

「以前のは極力、人と関わるのを避けてた。必要がなかったら人前に出ることすらしなかったしな。
 ましてや、誰かのために戦うなんてことはしなかっただろ」

「……そうだね……でも、守られてるだけじゃだめだって気がついたから、かな?」

「以前の知り合いに銃を向ける覚悟ができたんだな」

 私の言葉に声の答えは返ってこず、は小さく頷いただけだった。

「わかった、それなら私もお前に協力してやるよ」





 次の日、午前中は平和だった。
 あのフレイ嬢が船酔いでひっくり返って、サイ先輩を頼ってしまったために、ブリッジに1つ空席ができたこと。その穴を埋めるべく、レガール兄がそこに座ったこと。
 それぐらいで済むと思っていた。


「接近する熱源を確認! イージス、デュエル、バスター、ブリッツの4機!」

「こんなところまでっ……」

「ったく、あんまりしつこいと嫌われんぞー」

「各パイロットは搭乗機へ! 準備ができ次第発進せよ!」

 慌ただしく着替えた私は、のコックピットに飛び込む。そして素早く各部を立ち上げていく間に思い出すのは、昨夜のカガリとの会話。
 偉そうなことを言ったけれど、覚悟なんて、本当は何1つできていない。こうやって敵味方に別れて打ち合っていたって、あの人たちを殺すことは絶対にしない。私も絶対に殺されない。そして無事、アラスカにまで皆を連れていく。そうすれば、戦わなくて済む。

、発進どうぞ!」

、出ます!」



黒マント製作機から
 かっけあし、かっけあし。で、短い。


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