『キラ=ヤマト、はいるか?』

 キラとに流れる気まずい空気。
 それを打ち消すように、ドア越しに届いた声。

「あ、はい。います」

 ドアに一番近かったトールが開閉ボタンを操作すると、フラガを先頭にして、マリューとナタルが入ってきた。
 その後ろには、サイ、彼の腕を放さないフレイ、そして覗き込んでいるカズイの姿があった。

「何か用ですか?」

「単刀直入に言うわ。キラくん、ストライクに乗ってほしいの」

「いやです!」

 キラの大声に、マリューは気押されたのか、半歩後ろに下がる。

「さっきは戦いじゃないという約束だったから、引き受けました。
 でも、僕は、これ以上乗りたくありません!」





「ねぇ、何であの子が乗るの? そもそも、ストライクってなに?」

 甘えた声で、フレイはサイに擦り寄った。
 しかし、その問いに答えたのはカズイの方である。

「ストライクっていうのは、地球軍の最新MS。
 それに、キラはああ見えてもコーディネイターだし。
 ほら、救命ポッドをここに持ってきてくれた時、動かしていたのがキラだから」

「カズイ!」

「本当のことなんだから、隠しても仕方ないだろ?」

「2回もコーディネイターに助けられたってわけ? やだ、気持ち悪い」

 ……彼女がコーディネイターを嫌っていることは知っていた。
 でも、ここまであからさまに口にされてはと思う。
 なにせ、キラは自分と同じゼミの仲間で、大事な友達でもあり。
 そして、あの少女はフレイのクラスメイトと言うではないか。
 今まで中立コロニーに暮らしていたのだから、身近に違う存在がいるのは当たり前のことなのだ。
 『気分が悪いのはこっちだ』
 サイは出掛かったその言葉をなんとか飲み込んで、フレイの腕を振りほどくだけに留めた。






「さて、困ったねぇ」

 フラガは後ろ頭を掻きつつ嘆息した。

「ですから、さっき提案したようにストライクにはフラガ大尉が……」

「あのね、こっちもさっきと同じ答えなの。
 坊やが目一杯能力をあげた機体は、俺には動かせないぜ。
 それとも、バジルール少尉自らが乗るか?
 MSの操縦技術だって、ちゃんと頭に入ってるんだろ?」

 その言葉に対して、返答に詰まるナタル。

「今度はお嬢ちゃんに聞こう」

 皆の視線が自分に向いたことを悟って、は震える。

「露骨に脅えた目をされると、やりにくいんだけどなぁ……」

「無理もないわ。ここは地球軍の艦なんですもの」

 苦笑しながら、マリューは彼の体を押し退けた。

さん……でよかったわね?
 あなたは私たちがお願いすれば、MSに乗ってもらえる?」

「え……?」

「本当なら民間人を戦わせたくないのだけれど……。
 誰かがストライクを動かさなければ、この艦は落ちるわ。
 私たち軍に士官するものができればいいのだけど、今は無理。
 正直ね、人手が足りないのよ。だから……」

 本当に申し訳なさそうな表情のままで言葉を絞り出し、そして深々と頭を下げるマリュー。
 は少し思巡したあと、決断したように顔を上げた。

「わかりました。私でよければ……」

?」

 彼女の言葉に驚いて声を上げるミリアリア。
 はミリアリアの拳を、両手できつく握る。

「私、みんなを死なせたくないの。
 今、コーディネイターだからできることがあって、コーディネイターじゃなきゃできないことがあって。
 それでみんなの命を失わせなくて済むのなら、私は喜んで、そのための礎になる」

「でも!」

 なおも留まらせようとする彼女の体を、はそっと押しやって、トールに預け。
 マリュー達に促されて、部屋から出ていった。

ァァァァ!!」

 ミリアリアの悲鳴が、閉じられたドアにぶつかって響いた。




黒マント製作機から
 キラが拒否してしまったせいで、ヒロインがストライクに搭乗?
 どこでくいちがったんだか……。

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