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「……ちょっと離してくださいよ」 「戦闘前に約束したでしょ。モルゲンレーテでのことを話してもらうって」 「だからって、何で私の部屋に先輩と2人っきりにならなきゃいけないんです? 部屋のロックだって、かけなくてもいいじゃないですか」 「後部デッキで話すには、あまり誰かに聞かれたくない話だと思ったんだ。 2人で話せるって言ったらそれぞれのMSの中かなって思ったんだけどね。 今はストライクの修理を夜通しやってるから、人が一杯いるし。 後はどちらかの部屋がいいなって思ったら、ちょうどが部屋に入りかけたとこだったから」 「……だから一緒に入ってきたと?」 「うん、そゆこと」 「理屈はわかるんですが、ロックをかけた意味は? これ以上私に付きまとうとどうなるか、さっき十分見たはずですけど」 「見たけど、僕はのことを諦める気なんてさらさらないから。 そりゃちょっとは『押し倒すのが骨かなー』なんて思ったりもしたけどね」 ニッと笑った先輩に、私は頭が痛み出したのを覚えた。 「で、聞きたいこと。あのフェンス越しのジープにいたのは、クルーゼ隊の皆さん?」 引っ張られたと思ったら、ベッドに並んで座らされた。 右側に座ったキラ先輩の手の平が、私の手をぎゅっと握っていて。手首を固められているときよりもドキドキして。 「そうです。アスランさんがいたんだからわかるでしょう? 別に確認される事柄じゃないと思うんですが」 「でも、一応確認しておかないとね」 「確認できたんならもういいですよね。私の手を放して、さっさと自室に戻ってください」 「いーやーだー」 「子供みたいに頬膨らませてないで、さっさと帰ってくださいってば!」 「まだ、本題が終わってないのに帰れないよ。だからちゃんと座って」 手を捕まれたままで立ち上がっていた私は、再びキラ先輩に引っ張られ。 「ちょ……やだ、離してくださいよっ!」 「バランス崩したのせいでこういう体勢になったんでしょ? 僕にとっては思ってもみなかった嬉しいハプニングだから、離してあげない」 手を引かれてよろめいた私はベッドではなく、キラ先輩の膝の上に座ってしまった。立ちあがろうにも、腰に両手を回されていて動けない。 「離してくれないと無理やりにでもはずひゃあっ!」 「だめだよ、話の途中で逃げちゃ」 「何てことするんですかっ! そういうことをする相手は私じゃないでしょう!」 「も弱いところあったんだ。もう1回しちゃおっと」 「やぁん!!」 「うわ、可愛すぎてゾクゾクしちゃうんだけど……」 「だったら……やめてくださいっ……」 振り向いて僕をにらみつけてきたは、耳まで赤くして目を潤ませて。 それを見て理性が保てるほど、僕は人間ができていない。 「きゃっ!」 僕は彼女の体をベッドに押し倒して、その唇を奪った。 最初は重ねていただけのキスから、角度を変えて何度も、滑りこませた舌を使ってその吐息を奪うように深く口付ける。 同時に、軍服のファスナーを探り当てて下ろしていく。 「……ぃ……やっ……やめっ……」 切れ切れに聞こえる声。僕の胸を押し上げてくる拳。それでも僕は止められない。止めようとは思わない。 こういった行為をするのは初めてのはずなのに、体は昔からそれを知っていたかのように自然に動く。最初は布の上からだった行為。それが、シャツの裾からもぐり込ませた手がの胸の膨らみを弄び。腰まで下ろした手が彼女のズボンのボタンを外してしまう。 「……やめて……助けてっ……いやぁ……おとぉ……さん……おかあさ……助け……」 ふと気がつくと、僕の下にいた少女は虚ろな瞳で、上着をはだけさせたアンダー姿のまま、泣きながら小さく助けを呼び続けていた。その時になってようやく、僕は勢いに任せて自分がしようとしていたことの重大さに気がついた。 「……ごめん……僕が悪かったよ。だから泣かないで? 本当におびえさせてごめんね、今日はこれで帰るから泣きやんで、ね?」 起き上がった僕は締めつけるような罪悪感に襲われながら、助け起こした彼女の軍服のファスナーを閉めてやる。しゃくり上げているはいつもからは考えられないほどに隙だらけで、幼い子供のように泣きながらも声は殺していて。 「本当にごめん……。君に怖い思いをさせるだけの僕なんかいてほしくないよね。 もうには近付かないようにするから……」 これ以上とどまってはだめだ。 泣き続けている彼女を置いて去るのはためらわれたけれど、僕がここにいる間中おそらく、は泣き続ける。だったら、早くこの部屋から出ていくことが、彼女を泣き止ませることになると思う。 「ごめんね……それしか言えない僕を許してとは言わないけど、早く泣き止んで。 もう1人にして上げるから……」 中腰になっていた僕の首筋に、突然ふわりとしたものが巻きついてきた。 「……いか……ないでっ……」 「え?」 「行かないで、1人にしないでッ……」 ぎゅうっとしがみついてきた彼女に押され、今度は僕が床に押し倒されてしまった。 「……いやぁ……ほんとは1人は嫌なのっ……皆と一緒にいたいの……行かないでっ……」 「……?」 「離れないで……離れていかないでっ……私のこと、怖がらないでっ……」 「……大丈夫、僕はのことは怖くないよ?」 「……本当……?」 顔を上げてそう聞き返してきた彼女。 「むしろ、僕の方がに怖がられたと思うんだけど……。 勢いに任せるようにあんなことしちゃったから、は泣き出しちゃったし……。 それよりも、起き上がってくれないかな? そうしないと、君を怖がらせた僕はこの場から離れていけないから」 「いやっ! このままでいるっ!」 「……このままでって……。床の上でずっとこうしているつもり?」 床の上という単語が聞いたのか、少しためらった後、彼女は起き上がってくれた。僕も起き上がると、そのまま立ち上がってドアに向かう。 「なんで、私のことが怖くないのなら、ここから行かないでよっ」 僕とドアの前に滑りこんできた彼女が言う。 「確かに僕はが怖くない。でも、君は僕のことを怖がってるでしょう?」 「怖がってなんかない、だって私はキラ先輩が好きっ……」 『しまった』といった感じで両手で口を押さえた。でも、今の声はしっかり耳に届いた。 「嘘じゃないんだね?」 「……勢いまかせですから信じないほうが無難です」 「勢いで言ったことのほうが真実のときもあるんだけどね」 「信じないでくださいってば!」 「うん、都合のいいように信じない」 「つ、都合のいいように……?」 「が僕を嫌ってるっていうことは信じない」 「そ、それは信じていいんですっ!」 僕は細い腰に左腕を回して抱き寄せ、彼女の下顎に手を掛けた。 「僕はが好きだよ」 そっと口付けると、僕の袖にかかっていた手が握りしめられたことに気がついた。 「は?」 「……初めての気持ちだからよくわからないんですけど……多分、私もキラ先輩が……」 「キ・ラ」 「え……?」 「2人きりのときだけでもいいから、先輩付けナシにしよ? で、僕が何?」 「私も……私もキラが好きですっ……」 「……ありがとうっ……」 それ以上言葉にできなかった。 言葉の代わりに、僕とは抱き合って、何度も何度も唇を重ねてた。 ![]() 黒マント製作機から ようやくキラとヒロインが両思いまでこぎ着けました。 って、この後はまた辛いシーンなんですけど……。 ヒロインちゃんが背後からキラに受けた攻撃は何だったのか、個人個人で設定してください。 耳の後ろから息を吹きかけられたとか、耳たぶをかじられたとか。うなじにキスされたとか。 はたまた脇腹をつつかれたとか、ね? To NEXT |