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戻った僕を待っていたのは、何故か、自室前でぼんやりと立っているフレイで。 「……なに……してるの……?」 「あら、キラお帰りなさい。昨日はどうしたの? 私寝ないでずっと待ってたのに」 「僕がどこで何してようと、フレイには関係ないじゃない。それよりも、何でこんなところにいるの」 「……前に言ったでしょう? 私はキラのことが好きだって。好きだから一緒にいたい、ただそれだけよ」 艶やかに笑う顔は、僕のものじゃない。僕が求めているものじゃない。 「アラスカに着いたら、バラバラにされるかも知れないわ。だから残された時間を一緒に過ごしたかったの」 「よく言うよ、君は僕のことなんか好きじゃないくせに。 あのとき僕は突き放した、フレイも恨みの言葉をぶつけて去っていったよね。 それなのに、何を今さら僕にすがってくるの? 甘えたいならサイに言ってよね」 僕は彼女を押し退けてキーを解除する。 「仕方ないじゃない、あのとき拒否されたからって、いくら嫌いになろうと思ったって。 ひどい言葉をぶつけてみたって、後に残るのは後悔ばかり。本当に嫌いになんてなれないんだもの! キラだってこの気持ちはわかるでしょう? あなただって、あれだけに嫌われていながらも追いかけていたんだから!」 その言葉は本当で、思わずドキリとしてしまった。どんなに拒否する言葉を聞かされても、僕は諦めて他に目を向けることはできなかった。 ……もしかして、その気持ちを目の前の泣いている少女も抱えているというの? 「私はキラが好きなのっ……。 でもあなたには他に想い人がいて、決して報われることのない気持ちだけどっ……。 それでも構わない。抱いてほしかったのっ……。 ……お願いキラ……1回だけでいいからっ……そしたら忘れられるからっ………抱いてっ……」 「そんな……無理だよ……。第一、フレイにはサイがいてっ……」 「サイには言ってあるわ。彼も、他の男を思ってる私なんか欲しくないってっ……。 私がキラへの気持ちにけじめをつけるまで待ってるって……。 お願い、残された時間はもうないの。1度だけでいいから……」 ぎゅっと自分の服の裾を握りしめてうつむき、そして肩を震わせているフレイは。いつも見ていた強気で勝ち気な彼女とは正反対だった。 「……本当に……これで諦めて……サイのもとへ行ってくれるんだね……?」 「……キラっ!」 こんなことしちゃいけない。 同情で抱くなんて、こんなことはしちゃいけない。 頭ではわかってるのに。うるさいほどに警鐘が鳴ってるのに。 嫌われても諦めきれない、そう言ったフレイと自分が重なって。 「もうすぐ起床時間だから、忙しないけどそれは我慢してね……」 「……うん」 キラ先輩の忘れ物に気がついて届けにきたら、彼の部屋の前でフレイ嬢と先輩が抱き合ってて。 会話は聞こえなかったけれど、キラ先輩が彼女の肩に手を掛けて部屋の中へと消えて、電子ロックが掛かった音が聞こえた。 その様子を見ながら、私はこれでいいんだと思う。 アラスカで別れることが決まっている私を求めるのは間違ってる。 私のことが好きだっていったのは、自分の回りにいなかった人間、すなわち自分と同じコーディネイターだということで興味を持っただけ。それが好意という感情だと錯覚してただけ。 「ま、ね、今は忘れたことに気がついてないみたいだし。出撃前にロッカールームで返せばいいか」 部屋の中で何が行われてるのか大方の予想が着いた。でも、だからといって別に邪魔したくもないし、する義務も権利もない。私はその場を去った。 これでいいのよ……これで……。 私は心の中で笑いを堪えていた。だってここまで、私の書いたシナリオ通りに行くとは思わなかったもの。 「アラスカで別れ別れになるかもしれない、そのことだけは本当だけど……」 「……何か言った?」 「ううん、なんでもないの」 いつもの笑顔を向けると、彼は頬を赤く染めて。 キラのことが好きで諦めきれないと言ったのも、サイに許しを得たなんていうのもまったくの嘘、でたらめをならべたのに。 彼のことだから私が自分と同じ感情を抱いていたと知ったら、必ず同情してくれる。そしてやっぱり、望んだ通りになった。それに気がつかないなんて、本当にお人好しなキラ。 本当にアラスカで別れてしまっても、結果がどうなるか分からなくても、これでいいのよ。 狙い通り、キラとの間に決定的な壁を作ることができた。あのシスコン気味な中佐がこのことを知ったら、キラは二度とあの子に近付けさせてもらえない。 キラが昨晩行ってたのはの部屋。ようやく両思いになれたんでしょうけど、こんなに早く帰ってきたのは何もなかったせいよね。キラは、これからあの子以外を抱いてしまったことを悔やんで悩めばいいのよ。あの子だって苦しめばいいのよ、ようやくできた彼が、自分より先に他の女の子に手を出したって事実にね。 おまけにサイとキラの間にも争いの元を作ることができた。自分の彼女が寝取られたと知ったとき、サイも同じことするでしょうね。 ふふ、これからどうなるのかが、とても楽しみよ。 巻き込んでしまったサイには少し気の毒だけれど、パパを殺したコーディネイターなんかに、幸せになる権利なんてないわ……。 ![]() 黒マント製作機から 「諦めてなかったんかい、こいつは!」ってなわけで、結局キラとフレイは肉体関係を持ってしまいました。 せっかく砂漠で回避したのに……。書きたくないっていってたのに、進行上カットできなくなりました。 浮気現場を目撃してしまったヒロインは、『これでいい』とまったくもって無関心です。 キラはやっと求めていたものを手に入れたのに、余計な同情心を起こしてしまいました。 で、相変わらずフレイは復讐心のみで動いてますねぇ。 この関係のまま、アラスカに持っていきます。 To NEXT |