冷たい密室と博士たち
DOCTORS IN ISOLATED ROOM

  問題を解くことがその人間の能力ではない。   その通りだと思いますね。このあと、「人間の本当の能力とは、〜何が問題かを発見することだ」と続いているのですが、    まったくもって、その通りだと(笑)森先生は大学の試験で、「問題を作りなさい」という問題を出されたことがあるそうです。   いやはや・・・・・・   萌絵ちゃんに、「死語だから使わないように!」といつも言われている言葉その1。でも、私もチャットとかで、よく使う(笑)    犀川先生と一緒に、傷ついた・・・・。しかし、萌絵ちゃんは死語にやたら敏感だ。 「お前なら入れてやってもいいけどな・・・・。」   なんだか、ちょっとだけいやらしい(おい)、喜多先生のセリフ。微妙に素敵。 「犀川先生はマイナ?」    実は、がー!!萌絵には勝てない!と思ったシーンがここ。私なら「犀川先生は短調?」という切り返しくらいしかできないでしょう。    瞬時にマイナまでは行けない。(その前の全ての段階で負けてるだろ、私・・・・) 「別に私、何も失礼なんて受けておりません」   猛烈に上品な萌絵ちゃんのセリフ。一度言ってみたいものだ。   何か猛烈な哲学を感じさせる散らかり方である。   私の部屋も哲学を感じさせるような散らかり方だけれど、喜多先生と違うのは、頭の中も整理されていないこと・・・・・・。 「がいの街ですね。ちょうの町と、どう違うんですか?」   私は、規模が違うのかと思っていたけど、違うのかしら。 「街子と名づけるつもりだよ」   そ、それはちょっと、嫌だなぁ・・・・・・。 「俺よりも、もっと独身」   なんとなく、言いたいことがわかります、はい。 「ねぇ、どうしたの?」   状況を把握している人が聞く、状況を把握していない人のセリフは、気が抜けて聞こえる。   二人の躰がちょっとぶつかる   おいおい、これを選ぶなよって言われそうな感じなんだけれど(笑)気に入ったシーンだから、仕方ない。 「よくも、よくも、今まで黙っていられたな」    喜多先生は、今までも何回かこういうことがあったのだろう。そして、これから何回もこういう目に会うのだろう。 「カルピスとコーラって、どこが違うのか知ってるか?」   あなたなら、なんて答えますか? どちらかが飛行機に乗るときには、必ずもう一人が、車で空港まで送ることになっている。    だから、これを選ぶなって?(笑)いやー、いいじゃないですかねぇ、こういう関係。かなり親密で長い付き合いってのが、    これだけで分かりますね。 人間だけが、生命に直接関係のない行為に価値を見出すからだ   役に立たない、意味のないものにこそ、意味があるってのいうのは、森先生がいつもおっしゃることですね。 「そんな人間になってほしくない、なんて言い方は、私の人格の独立に対して失礼です」    こんな切り返し、私にはできません・・・・。萌絵ちゃん、立派。 「責任と責任感の違いがわかるかい?」   ちょっと怒りの犀川というやつでした。   はやくきて おねがい 「わかりません。萌絵、いえ、西之園君にずっとついていましたから」   犀川先生の動揺が表れまくっているセリフです。昔は、「萌絵ちゃん」って呼んでたんだものね。 「裏の裏は表だからね」 「カルピスをコーラで割ったんだ」   実は、この飲み物に近いのが、私は大好き(笑)ヤクルトとコーラを割ったやつ。萌絵ちゃんが「きもちわるい」って言っていて、    またまた傷付いた・・・・・。 「ぬり絵でもしたいの?」   意味なしジョーク炸裂。 「学問なんて虚しい」   「一生のお願いなんだけど・・・・」    萌絵ちゃんは、一生のお願いが得意です。ちなみに、私も得意(笑) 「最後は失敗だった」
「死にたかったろうに・・・・・・」  
 この作品の中で一番好きなセリフ。犀川先生の優しさがにじみ出ています。 「何故、役に立たなくちゃあいけないのかって、きき返す」   こういってくれる先生がいれば、私は数学を頑張ったかもしれない(笑)でも、高校の先生も良かったです。    興味がないなら、しなくてもいいものだよ。とあっさり言ってくれましたからね。 「僕が持っていったら、喜多は絶対イエスって言わない。決まってる」
「何故?」
「いや、何故だろう・・・・。理由はない」
「論理的じゃないわ」
   本当に、理論的じゃない・・・。ねぇ、どうして?犀川先生。独身を張り合っているのだろうか(笑)あ、それちょっとおもしろい。 「けしからん」    これはさすがに、死語ですね(笑)おじいちゃんが言うような言葉、使わないでって言いますね、私なら。 「内緒と沈黙は、どこが違う?」   犀川先生は、なにを内緒にしてるの??え??まさか・・・・(笑)    って、そんな誤解を受けるような発言をしちゃいけないっすよ・・・・。誤解してるのは、私だけ?

「冷たい密室と博士たち」は、森先生が最初に書かれた小説ということで、定石に倣った新本格という感じがします。 かなりロジック重視の作りになってると思ったのですが、どうでしょう。 犀川先生の男子高時代からの親友、喜多北斗(名前がすごい)先生も登場です。 この1冊で、かなりの絆が感じられますね。10年以上も密接なつきあいをしていると、みんなこれくらい仲良く なるのでしょうか。私にはそこまで密接に長い間つきあった友人がいないので、わかりませんが。 今回はセリフや名文句にコメントをつけてみました。作品によって、変わります。 「冷たい」は、森先生の「遊び」の部分がちょっと他よりも多いんじゃないかなって思ったので。 「○○と○○の違いは」というのが、何回か出てきますが、私はこれの中で、カルピスとコーラの違いは?ってのが 一番好きです。その後で、それを割って飲んでる犀川先生が出てきますが、そういうのも好き(笑) 森作品には、「定義する」ことがとてもよく出てきます。この「違い」についてもそうですね。 「F」でも、いくつも出てきます。ちなみに、次作の「笑わない数学者」では、ストレートに「定義」についてが 語られていますね。それはまた次のところで。 「定義する」ことは、とっても難しいです。でも、人はそれを毎日しながら生きてるんですね。 それぞれの定義があっていいと思います、おもしろいし。森先生もそういう気持ちで書いてると思います。 私的には、派手な服装の萌絵ちゃんを連れて、むきになっている犀川先生のシーンが好き。
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