幻惑の死と使途
ILLUSION ACTS LIKE MAGIC
「ものには、すべて名前がある」
「ねぇ、カマトトってどんな動物?」
図鑑には、学名、西之園萌絵と書いてあることでしょう。
「何しているかなあ・・・・。おしゃべりして、お食事して・・・・・」
羨ましい限りでございます。
「厳しいなぁ。コンパイラのエラーチェックみたい」
私もたまに、これ並のチェックをしてしまうことが、ある。
「まだ怒っていません。これからです」
「まだでしたか・・・・・」
この犀川先生が、微妙にオヤジ入っていて、とっても好きだったりする。
「道具に凝るやつだからね」
道具に凝るというか、道具のある場所に凝るっていうことかな?お風呂場の小物を考えると。
萌絵が親しくしている刑事が大勢いるが、そのグループのリーダーが三浦だった。
とっても笑ってしまった一文。グループのリーダーって!!!
「ジャイアント・ロボみたい」
パーマン知らないのに、ジャイアント・ロボかいな。
「本当に倒れるまで、微笑んでいなさい。まったく、子供なんだから、貴方は」
そんな無茶なー。でも、このおばさまに言われると、はい、ごめんなさいって謝りたくなりますね。
「この椅子には私一人だけだわ」
勘違い男には、こう言ってやりましょう。
「そもそも携帯電話って、使われる側の人間が持つものじゃありませんか?」
そうかにゃー?私なんて、「迎えにきてー」とか、「今どこどこにいるしー」とか、基本的に人を使う携帯電話
なんだけどねぇ。普段は、音消してたりして、取らないし(笑)ようは、使う人間の使い方です。
「西之園くん。さっきの車は、何ていう名前?」
まぁ、興味のない人には些末なことかもしれないですねぇ。
「妄想と幻想の違いは何ですか?」
前者は、わたしたち(あえて複数形)がよく行う空想。
「うん、僕は開けないね」
私は開ける方かもしれない・・・・・。でも、いろいろ考えると、開ける人の方が得するかもしれないなぁ。
「私・・・恋の病かなって思いましたけど」
「違う」
この断定は、ちょっと悲しい(笑)
「君、小さい時に、何か呪文をかけられたんじゃないの?」
このセリフで、犀川先生がいつも萌絵ちゃんをどういう風に見ているかがなんとなく分かります。
「もう嬉しくて胸が張り裂けそうです」
やっぱり、国語もうちょっとやったほうがいいと思うよ・・・・・・。
「ええ、キテレツ大百科みたいなものですか」
これ、読者全員ちゃんと分かったのかしら(笑)分からない人意外に多いのでは?(笑)
ラムネのビー玉みたいに、それはいつだって、言い出せない。
こういうことありますよね。言いたいことは、頭の中をグルグルグル。
「貴方の名前のためです」
自分の名前に対するこういう思いは、もしかしたらとても大切なのかもしれない。
「あんな、ちんびくさい車、似合いませんよ」
ちんびくさいって!!(笑)
「嬉しい・・・。やっと、私の番になった」
不謹慎な喜びですが、萌絵ちゃんには許されるような気が。
「最高に綺麗なスイッチだね」
ジタバタしてしまったセリフ。たまらん。
「そんな生き方も綺麗だと思う」
生き方が綺麗だって、誰かに言われたら、なんか思い残すこともないなぁ。
「先生が女だったら、私だってドレスを着ません」
萌絵ちゃん、犀川先生のためなら、えんやこら、ですな。
名詞には、それに対応する物がありますけど、「人の名前」には対応する人物とその人物に対する印象が含まれます。
その印象っていうのが、人によっては命よりも重いことがあるのかもしれません。
萌絵ちゃんが考えついた、個人の思考が他人に伝達することが『奇蹟の脱出』なのではないか、というのは、とても
面白いなと思いました。
「物には全て名前がある」けれども、その名前を示すものの正確な定義が全ての人で一致しているというわけでは
ないのでしょうからね。
だからこそ、意思の疎通はとても大変だし、語りかけた言葉の全てが通じているとは思わない方がいいのでしょう。
んでもって、その意思の疎通がとても簡単な人は、物に対する価値観や定義が似ている人なので、気が合うという
ことになるんですね。
それを考えると、常に「奇蹟」が通じる相手はとっても貴重なのかもしれない。
この本は、「奇数章」のみで構成されています。「偶数章」は、この話と同時進行する次の本「夏のレプリカ」
になります。どうせなら、2冊を一緒に買って、章の順番通りに読むのもいいかも。
ただ、ごちゃごちゃになって、わけがわからなくなるかもしれません(笑)
お話の中で、今現在、不思議だと思われることが少なくなってきたので、マジックはやりにくい、という話しが
ありました。
確かにそうかもしれない。人ってのは、何か不思議なことに遭遇すると、絶対に「どうなってるんだろう」ってまず
思いますからね。んでもって、その不思議を排除しようとするので。
私は、「不思議だなぁ」なんて言いながら、いつまでもその不思議がなくならない方がいいです。
そして、自分の回りにいくつもの不思議がふわふわしてたらいいな。
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