夏のレプリカ
REPLACEBLE SUMMER
「いいのよ、殺しても」
もしかしたら、こんなに過剰反応したのは、私だけかもしれませんね。
他のお話と同じように、名言集を作ろうと思ったのですが、どうしてもできませんでした。
その理由は、はっきりと全部自分でも認識していないのですが、短い感想と共に、書こうかと思います。
この作品は、構成上、感想をかくと、ネタばれします。気になる方は、絶対に読まないでください。
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この「夏のレプリカ」は前作の「幻惑の死と使途」と対になっています。事件が同時進行であったということですね。
こちらは、偶数章になっています。
そして、孤独な数字の「7」作目ということで、他と違う、誘拐事件を扱っている異色の作品です。
一応の主人公は、萌絵の友人、杜萌です。
高校時代のエピソードや、萌絵がどう変わったのかなども、たくさん出てきます。
喫茶店でチェスをするシーンも、とても印象的。
途中で何度も出てくる、「透明」という言葉が、私の心に痛みを与えました。
「もう戻れない」そう思うことが、私にもきっとあったからでしょう。「透明」になりたいとも、
無意識に、でも強く思っていたからだと思います。
そう思った時には、もう戻れないところにいることが多いですね。透明で純粋なものは、自分がそうであることに
気付きません。濁ってしまってから初めて、「あぁ、透明だったんだ」と気付くのです。
杜萌のお兄さんは、「透明」でした。純粋で真っ白で、それを憧れて、愛して、憎んで。
その思いが、全ての元になったのかもしれません。
普通の人は、今回の動機は「そんなことで?」って思うかもしれないですね。
私は、納得できました。
そういう女なんでしょう。
そんなこともあって、ラスト、15ページは、涙なしでは読めませんでした。
「死んだりしない!?」
と叫ぶ萌絵が可哀想でした。
もし私なら、友達にこんな言葉をかけることなんて、絶対にあってほしくない。
できれば、気付きたくなかったかもしれないですね。でも、彼女を助けるためには、萌絵が気付く
べきだったのでしょう。
犀川先生が時間をズラしたのも、そういうのを思ってのことだったと思います。
私がこの作品をいつまでたっても冷静に読めないのは、いろんなところで共感しすぎるからかもしれない。
お兄さんとの、駒ヶ根でのエピソードも、痛くて、綺麗で、悲しくて。
感想なんて、書けないです。
実は、森作品で泣いたのは、この「夏のレプリカ」だけです。
大人になりかけの、子供でない人には、この作品は「痛い」ものになるかもしれないですね。
簡単すぎる感想でごめんなさい(^_^;)
これが、今の精一杯です。
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