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 モノレールとは

 

一般の鉄道においては、2本のレールが必要不可欠です。しかし、そのレールを維持するのはかなりの技術が要求されます。そこで、この厄介なレールを1本ですますことはできないか、ということで考えられ たのがモノレールです。貨物用のものはかなり昔からあったのですが、旅客を運ぶモノレールとして世界最古のもの はドイツ、ブッパタール市のもので、1901年に開業しています。これは、市内を流れる川の上につくられたもので、 鉄のレールにぶら下がって鉄の車輪で走行する懸垂式の一種(ランゲン式)でした。車両はちょうど市電を逆さにしたような形で、 東京上野動物園のモノレールのように片持ち式のアームによってぶら下がる方式でした。

サフェージュ式モノレールこのような鉄レール、鉄車輪だと騒音が大きいためフランスでゴムタイヤ方式のものが開発され 、開発した会社の頭文字をとってサフェージュ式と名付けられました。これは鉄でできた箱型断面のレールの中をゴムタイヤの車輪で走行するもので神奈川県の湘南モノレールと千葉県の千葉都市モノレール(タウンライナー)がこの方式です。従って天気に関係なく安定した走行ができる、騒音が少ないという所が長所です。またこの方式は支点が屋根の上にあるため、カーブでは遠心力で自然に車体が傾きます。そのため車体は下の方が幅の狭い形の裾絞り型 となっています。電力は上に+の架線が、横に−の架線が取り付けられていて、そこから集電しています。−の架線 はポイントで電流がきれないように両側についています。ポイントの構造も次に紹介する跨座式より簡単なものとなります。日本初の懸垂式モノレールは1957(昭和32)年、東京都交通局が上野動物園に将来の交通機関を開発するための実験として建設したもので片持ち式アームでぶら下がるタイプのものです。サフェージュ式のものとしては1964(昭和39)年、名古屋市が東山動物園に建設したものが最初で、三菱グループが設立した会社がサフェージュトランスポール社と技術提携して建設したもので す。建設の主旨は東京都と同じようなものでした。こちらは1974(昭和49)年に営業休止、そのまま廃止されました。 車両は現在も残っています。

跨座式モノレール一方跨座式は1952年、スウェーデンで考案され、こちらは考案者の頭文字をとってアルウェーグ 式と名付けられました。この方式で建設された日本初のモノレールは名鉄モンキーパーク線モノレールで、日立製作所がアルウェーグ社と技術提携して建設したものです。このアルウェーグ式をベースに東芝は台車を連接構造(車体の連結部分に台車を取り付けた構造)にしてタイヤの磨耗を軽減させたタイプのモノレール(通称東芝式)を開発。このタイプのモ ノレールとして横浜ドリームランドモノレールが1966(昭和41)年開業しています(地方鉄道として認可されていないものも含めると奈良ドリームランド内のモノレールが最初。奈良ドリームランドのものは東芝が実験線としての意味もあってかなり本格的な設備でした)。しかしこのモノレールは重さが 31tとなるように設計された車両が実際には45tあったという設計ミスがあって、レールに亀裂が入り危険ということからわずか1年ほどで営業が休止され、そのままになっています。

一方、アメリカの航空機メーカー、ロッキード社では同じ跨座式ながら鉄レールの上を鉄車輪で走行する方式を開発、ロッキード式と呼ばれます。これは小田急向ヶ丘遊園のものが最初で、1966(昭和41)年開業しています。このモノレールは世界でもここと姫路市営モノレールでしか見られなかった方式で大変珍しいものです。

このように日本には全部で5タイプのモノレールがありましたが、各社がシェアを競い合うのは好ましくな いという理由から、都市モノレールの規格が提言され、現在、跨座式はアルウェーグ式をベースに、懸垂式はサフェ ージュ式をベースにしたものに規格が統一されています。

首都圏では現在すべてのタイプ(東芝方式とロッキード式はすでに現存していませんが、廃線跡が残っています)のモノレールが見られます。そのすべてを写真でちょっと御紹介しましょう。

それでは次のページへどぞっ!

  

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