1/4

 水郡線乗車記

 

また1日旅に出たくなった。
首都圏から割と近い所で未だ乗ったことがない線に乗ってみようと考えると、一番近いのが水郡線だった。
沿線には日本三名瀑の一つとして有名な「袋田の滝」もあり、ここにも一度行っておきたい。
上野〜水戸間では「フレッシュひたち」にも一度乗ってみたい(といってもクリソツのE751系には乗ったことがあるのだけど)。
ということで今回は水郡線に乗ってくることに決定した。
前日、浜松町の「みどりの窓口」で切符を買う。買ったのは「東京都区内〜東京都区内 経由常磐、水郡、東北線」という1周する片道乗車券。毎度のことながら「みどりの窓口」にはご迷惑かけます(ややこしい乗車券で…)。


さて、「ひたち」は日中30分間隔で走っているので8時半、9時半、10時半…と「フレッシュひたち」が出ている…と思いきや、9時半だけなぜか「スーパーひたち13号」勝田行き、となっているのだ。10時半の「フレッシュひたち17号」だと郡山につく頃には日の長い今の時期でも暗くなってしまっている可能性が高い。できれば明るいうちに郡山まで乗っておきたい。というわけでちょっと時間が早いが「フレッシュひたち9号」に乗ることにするが、水戸で接続する水郡線が常陸大宮止まり。水戸か常陸大宮で待つことになるが、まぁいいだろう。

上野駅到着8時ちょっと過ぎ、1本前の「スーパーひたち7号」が出たばかりの頃だった。しかし既に次の「フレッシュひたち9号」は入線していた。自由席特急券を自動券売機で買ってホームに入ると、それほど待つこともなくドアが開き席につく。発車までかなり余裕がある。最近こんなに余裕を持って席についたことがないなぁと思う。発車10分前位に入線してきて、慌ただしく発車していく特急が増えた気がする。上野駅の場合、この地上ホームから発車する日中の特急が少なくなって余裕があるからできることなのだろうけど。

改めて車内を眺めるとやはりE751によく似ている。シートのまくらカバーの黄色がいいアクセントになっている。デッキへの扉はガラスの自動ドア。この自動ドアはE751とは違っていて、ガラスでできていてデッキと客室との一体感が感じられる作りだ。最近のJR東日本の特急は豪華さよりカジュアルさを追求しているように思うのだが、この車両は特にその傾向が強いようだ。別にJR東日本に限らないのだが、最近は車内の内装部品にFRPが多用されている。側窓周りなんかはほとんどの車両がFRPになっている。JR東日本の場合は巻き取り式のカーテンだし、なんだか飛行機を連想する(飛行機と違って窓は大きいのだが)。FRPを多用するならばいっそのこと下手に豪華さを求めないでこのようにカジュアルなイメージでまとめるのもいいなと思った。
座席は、利用率が高いことからシートピッチがそれほど広げられない代わりに座席の背ずりの厚さを抑えるなどして視覚的に広く感じられるように作られた、というもので、背もたれの他に座面も前に動かして調整できるという、やはりこれも最近のJR東日本特急車の標準的な座席。背ずりの厚さを削ったということなので座り心地をちょっと懸念したのであるが、個人的な感想をいうと、この座席「かなりの優れもの」。
私は本格的にではないもののたまに腰痛になる。出来の悪い椅子に座ると時間が経つにつれて腰痛がひどくなる。困ったことに日本という国はもともと椅子に腰掛けるという文化ではなく、お座敷のように床に座るというライフスタイルだったため、椅子の設計があまりにも下手、なのである。優れた椅子というものは単に柔らかければいいというものではなく、体重を支えるべき所は支えるための適度な固さが要求される、はずなのだが、どうも日本人の椅子の設計者は柔らかい椅子=快適な椅子、と勘違いしているようなのである。あまりに柔らかすぎると逆に体に負担になって腰痛の原因になったりするのだ。事務用の腰かけで高くて優れた製品が皆外国製なのはやはり座敷文化の国の製品は椅子文化の国の製品には勝てないからだと思っている。そういえば京急の2100形の椅子はノルウェーから輸入したものなのだが、クッションは案外固めだ。あの座席に座ってさすがは椅子文化の国の製品だ、と思ったものである。
で、このE653の座席、個人的にはかなりいいのである。びっくりした。座ると姿勢をしっかり椅子が体を「面」で支えてくれるのだ。なるほど視覚的にも狭さは全く感じない。間隔としてはスポーツカーの体を支えるのに特化したシート(レカロシートとか)の固さを柔らかくした感じだろうか(スポーツカーのシートは固すぎるのだが)。このシート設計したのは日本人だろうか。だとしたらよく作ったと感心する。それくらいの出来。
デッキに出る。壁面に木目の化粧シートが張られた空間になっている。壁面は大きなRがついていて軽快な感じ。トイレも同様、要所に木目模様。落ち着いたイメージで居心地がいい。デッキの造作は私的には今まで乗った車両の中でもこのE653とE751が一番好みかも。

「フレッシュひたち9号」は定刻に発車、ゆらゆらとポイントを渡ってゆく。そういえば常磐線を特急に乗って明るい時間に走るのは初めてだ。以前「スーパーひたち」に乗って上野に帰って来たときはもう夜だったし。常磐線は高校時代毎日利用していた線なので車窓風景は途中まで見なれたものなのだが、特急車内から見ると新鮮な気がする。
さぁ、特急らしく胸のすくような走りを…と思ったのだが、なかなか速度が上がらない。早くも先行列車に詰まっているのか。40〜60キロ位の速度のまま東京都を出てしまった。進行方向右側に座ったので太陽はこちら側にある。前方の席ではカーテンを完全に閉めている。早い時間なのだが、太陽は見上げないと見えないくらい高い位置にあったのでカーテンの上半分だけを閉めた。これでまぶしい思いをせずにこれで外を眺められる。最近のJR東日本特急標準装備の巻き上げ式ゆえに使える芸当である。実はこれを狙っていたのでわざわざ「フレッシュひたち」を選んだという面もあった。
が、それにしても暑い。冷房がいまいち効きが悪いのだ。乗車率が低いせいか右側の窓のカーテン、しまっていない所が多い、それに私も半分しか閉めてないし…。

千葉県に入って緩行線をくぐるあたりでやっと速度を上げる、松戸で追い抜きか、と思ったらまた速度が落ちて松戸は平凡な速度で通過。ここでも追い抜きはない…。この手前で初めて常磐線の新車E231とすれ違った。結局南柏、我孫子の手前とを合わせて合計3回E231とすれ違った。

我孫子で先行の普通をやっと追い抜く。やっと速度が上がりだした。取手で折り返しの103系快速をみていよいよ交直切り替え区間にはいってゆく。空調の音が止まったので切り替え区間に入ったのは解ったのだが、結局車内照明は消えないまま切り替えは終わって藤代を通過した。この切り替え区間では車内の自動販売機は使えないらしい。自販機にその旨表示があるのだが、はたして利用客に今どこを走っているか解るものだろうか…。といっても他に上手い説明文が思い浮かばないけど…。
交流区間に入ってやっと特急らしい走りを取り戻して土浦に到着。時計を見たらやはり5分ほど遅延している。

私の2列前には4人組が座っていた。この4人のマナーがイマイチ悪い。4人で席を3〜4列使っている。同じ席に座っているのならいいがローテーションでも組んでいるかのように入れ替わり立ち替わり違うやつが座る。それもしょっちゅう席を立っては私の横を通って後ろのデッキに行ったかと思うと戻ってくる。わずか1時間の間に何回席を立ったかわからないほどである。そういえば発車前もどうどうと携帯で電話してたし…。この4人は土浦の次の石岡で降りていった。

あとは水戸線の分岐する友部に止まればおりる水戸につく。朝上野で弁当を買わなかったので兵糧攻めになりかかっている。でもせっかくだからいつでも買える上野の弁当を買う気にならなかったのだ。友部につく直前、左手に小山へ向かう水戸線の電車が見えた。接続案内では約1時間待ちだ。さっきの電車が接続を取ってくれればいいのに…。この友部到着時点では列車の遅れは1分程度だったからもともと接続をとっていないらしい。水戸線のこちら寄りはそれほど大きな街はないから利用は少ないのかもしれないけど接続とってほしかった…。

 

Index

Next