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 水郡線乗車記

 

さて水戸に到着、早速駅弁を求めて構内を歩く。今回は「印籠弁当」を買う。3段の箱に入っていて器全体が水戸黄門の印籠の形になっているというもの。この器は再利用が出来そうだ。この弁当を片手に水郡線の2番ホームに向かう。日中の水郡線は2番線からの発車で1番線からの発車はない。ホームの1番線の発車案内にはなんと8時間後に出る18時21分発の列車の案内がすでに表示されている。これ消すことはできないのだろうか…。

水郡線の列車に対面するのは今回が3回目、過去2回は見ただけで乗車していない。最初に見たときはキハ40形が活躍していた。今はJR東日本の新世代気動車キハ110系列が走っている。目の前にいる常陸大宮行き823Dはキハ111形とキハ112形の2両連結。発車まで少し時間があるせいか車内に他の乗客はほとんどいない。
キハ110系列は1+2のセミクロスシート仕様でワンマン運転時の車内の移動が容易なつくりになっている。実はこの構造だとオールロングシートにするのと比べて座席数がやや少なくなってしまうのだが、投入線区が支線区ということでこのようにしたのだろう。座席に座って弁当を広げようとして気が付いたのだが、キハ110系の座席には、113系電車のようにささやかなテーブルすらないので窓際に3段の重を並べて一つづつ手にしてかき込むという食べ方になってしまった。特急ならテーブルの上に弁当の重を並べて食べられるのだが…。この弁当、普通列車向きの弁当じゃないようだ…。

10時20分発車。いよいよ未乗区間に足を踏み入れる。水戸を出てすぐに常磐線の線路と別れる。しばらく本線と平行してから分岐という例が多い中、ちょっと珍しい形だと思う。ほどなく次の常陸青柳に到着。いきなり無人駅である。この先も意外と短い間隔で駅が現れる、いずれも無人駅だがホームには簡易タイプの切符の自動販売機が設置されている。水戸の近郊区間ということで利用客が多いらしい。気が付くと常陸太田へ向かう支線が分岐する上菅谷に到着。向こうから列車がやって来て行き違い、かと思ったらこの列車は常陸太田発上菅谷止まりの528D、行き違う上り列車はこれから入ってくるらしい。ホームは常陸太田からの乗客でかなり混雑している。やはり水戸側は利用客が多いらしい。やって来た上りの832Dは1両多い3両編成。しかし立ち客が大勢出る盛況。水戸の、県都としての求心力はやはり大きいようだ。

上菅谷から先、常陸鴻巣、瓜連、静、と無人駅が続く。静のホームでは犬が1匹ひなたぼっこをしていた。それとも主人の帰りをまっているのか?
そしてこの列車の終点、常陸大宮に到着。

常陸大宮では次の常陸大子ゆき825Dが来るまでの50分の間に、実はやっておかねばならないことがあった。
それは何かというと、最初に上野駅で特急券を買ったときと、水戸駅で弁当を買ったときに、ちょっと失敗をしていたのだ。それは何かというと「1万円札をくずしていなかった」のだ。次の825Dで袋田で降りて、列車に接続する袋田の滝行きバスに乗り継ぐ、という予定だったのだが、財布には既にバスに乗るための小銭がなく、1万円札しかない。袋田の駅前で両替するのは難しそうだ。ならばこの常陸大宮にいる間に両替しておきたい。
駅前にコンビニが見つかればいいのだが、そう簡単に見つけられそうにない。が、すぐ駅の真ん前にプレハブで営業している店を見つけた。ここで菓子と飲み物を調達しておこう。
で、店に入っていってちょっと困った。店番をしているのがお手伝いをしている子供。子供のお手伝いに1万円札で支払いをするのはためらわれる。品定めをしながら狭い店内をうろうろする。おばあちゃんがすぐに帰って来て買い物を終えられる。お手伝いの子供(というか孫かな)がレジから千円札を1枚ずつ数えながら出す。
「がんばってね」と思わず声をかけた。

駅に戻ると、サラリーマンと思われる人がなにか駅員に訊いていた。
どうもこの人、常陸大子より先、まで行きたいらしい。で、この常陸大宮まで来てはじめて今「えらい状況」に陥ったことに気が付いたらしい。
今度の825Dは常陸大子行きで、その次の827Dはこの常陸大宮から先には行かない。常陸大子から先に行くのは今から3時間以上あとの13時49発の333Dまでないのだ。学校のある土曜日なら次の825Dが学生帰宅用に設定されている8331D郡山行きになって郡山まで行けるのだが…。どうもこのサラリーマン、ロクに時刻表も見ずに乗って来たらしい。こちらは郡山行きが来るまでの時間を利用して袋田の滝を見に行く目論見である。
さて、この駅には「みどりの窓口」もしっかりある、はたしてこれから列車が来るまでの間に利用する人いるのかな、と思っていたのだが、一人やって来て乗車券と特急券を購入してゆき、それが終わって待つほどもなく盛岡までの乗車券と特急券を買いに来た人があらわれ、その間に定期券の購入をする人が現れ、と意外に忙しそう。加えて、その間に列車の時刻を訊ねる電話がかかって来ていた。

11時47分、常陸大子ゆき825Dが到着。先ほどの823Dとおなじ2両編成だが、ワンマンではなくて車掌が乗務していた(確か駅の時刻表ではワンマンとなっていたのだが)。運転席の後ろでは子供がおばあちゃんに付き添われて前を見ている。初老の運転士がその子供に話しかけている。途中でおばあちゃんは疲れたのかその子の母親に付き添いをバトンタッチ。しばらくして一行は運転席後ろのロングシートに座席を引っ越しして来た。

常陸大宮の次の玉川村は「関東の駅100選」に選ばれたコミュニティーセンター併設の駅舎。この先このような感じの駅舎が多くなる。水戸からは簡単な待ち合い室程度の屋根しかない駅が多かったのだが…。どうも常陸大宮を境に駅の性格が変わるようだ。下車する袋田駅はコミュニティーセンター併設ではないので規模は大きくないが山小屋風の駅舎が建っていて、やはり地元自治体の資本で建設されたような感じの建物。どうやら委託駅のようで女性の駅員が窓口で業務をとっていた。

 

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