3G LTE の概要 | ||||||||||||||||||
3G-LTE とは 3GPP Long Trem Evolution の略で、4G への長期的発展性も考慮されていることから、俗に 3.9G とも呼ばれています。基本的には 3G 他の周波数帯を利用し移動時の通信速度で概ね下り 100Mbps・上り 50Mbps 程度の実現を目指しており、海外のごく一部を皮切りにひっそり?スタートしました。 国内では若干遅れて'10 年末にドコモが「Xi」(クロッシィ)という名で東京都心などから(一部エリア)サービスを開始されました。 |
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主な仕様 以下に 3G LTE の主な仕様を示します。
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3G LTE の主なメリット・開発状況など ・多値変調 OFDM、MIMO などにより大幅な高速化が可能 ・ALL-IP 化と分散制御により上位網の大幅な簡素化が可能 ・周波数利用効率の大幅な向上(下りで 3.5G 比 3〜4 倍程度を想定) ※下り OFDM で隣接セル間のサブキャリア割当をユーザごとに工夫することで同一周波数でシステム構築が可能なことによる。周波数利用効率は FDM との単純比較でも 2 倍と言われている。 3G LTE は 3G の置き換えではなく HSDPA/HSUPA のような展開を想定しているので、端末機は 3G とのデュアルモードとなる模様です。ただし長期的可能性として ALL-IP 構成でも低遅延の VoIP が可能なことなどから、技術的には 3G との完全な置き換えも想定されています。 基地局設備の開発状況に関しては '08 年の「ワイヤレス・ジャパン@特攻レポート」に譲りますがいずれにしても、興味深く見守っていきたいものばかりです。予定では早ければ '10 年度中にサービスインとなっていますので、端末機に関しても目下開発が続けられているものと思います。 '09 年から伝送技術的には共通部分もある(OFDM/MIMO など)モバイル WiMAX や XGP と言われる次世代 PHS もサービスインしており、LTE の動向もますます目が離せなくなってきました。 |
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OFDM について OFDM については高速無線 LAN や地デジなどに利用され、方式そのものは既にお馴染みではないかと思います。一部変調方式と混同されている方がいるようですが(商用サイトでもあいかわらずライターの誤解もしくは誤記が散見される)、OFDM そのものは直交周波数分割多重(OrthogonalFrequencyDdivisonMultiplexing)といい多重方式の一種で、同方式を用いた多元接続方式を OFDMA(OrthogonalFrequencyDdivisonMultipleAccess)といい 3G LTE の下り信号に使われます。 OFDM は狭帯域のサブキャリアが互いに干渉しないよう密になったもので、一見下図(A)のような奇麗なスペクトラムです。しかし拡大していくと下図(B)のように多数の狭帯域サブキャリアが林立している様子がわかります。 |
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3G の DS-CDMA(下図C・まんじゅうの断面のようなスペクトラム)と比較するとスペクトラムが角張っているので、利用密度が高いことは一目でわかるのではないでしょうか。この場合の直交とはあるサブキャリアのスペクトラムピークに着目した場合、隣接するサブキャリアがゼロとなるような特殊な状態を指します。 |
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OFDM では各々のサブキャリアをオーバーラップさせることができますから、カードバンド(緩衝地帯)が必要だった従来の FDM と比較して倍の周波数利用効率となるのも頷けます。実際の多元接続はサブキャリア(周波数領域)やタイムスロット(時間領域)を用いた手法によります。 また個々のサブキャリアは低速のデータレートであることから、マルチパスには根本的に強い伝送方式といえるでしょう。やはり地デジ同様にガード期間を設け、マルチパスによる遅延波の影響を軽減することが可能となっています。 最後に参考として上りに用いられる SC-FDMA の概念図を下図 C-2 に示します。 |
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MIMO について MIMO(Multi In Multi Out)は送受信共に複数のアンテナ(空間的に離れた)と送受信機を用いて、それぞれ異なるデータを送受信させる多重伝送の手法です。 例えば 2×2(送信 2:受信 2 という意味)ならば 2 つのアンテナそれぞれに送信機を、受信側でもやはり 2 本のアンテナそれぞれに受信機を用いることを指します。このとき各々の組では図 D のように伝搬経路がわずかずつ異なることを利用しています。 |
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それぞれの受信機では受信される信号のうち、もう一方の別の組で送受信される信号を演算処理により分離、それを残りの組でも同様に行うことで”理論上“の伝送速度が倍増する、というからくりが MIMO のポイントです(OFDM はマルチキャリアのためとくにこれと相性がよい)。 MIMO はこれらを同じ無線チャンネルで行うことから、空間多重化の一種となっています。 ここで空間ダイバーシティの例を思い浮かべて頂きたいのですが、空間的に離れた 2 つのアンテナではある 1 つの送信波を観測した際、異なる電界変動(空間ダイバシティではほぼ交互にピークと谷間がくる感じ)が現れることは良く知られたところだと思います。 これらが伝搬経路の差異によるものだということが、何となくつかめるのではないでしょうか。 もちろんそれぞれ相互に干渉するので、既述のような分離処理が必須となりますしそれが実用になるのも、デジタル通信ならではと言えます。 MIMO は単一のチャンネル(帯域)を用いながらあかたも、複数チャンネルを用いたかのような多重化効果を得られるので、4×4 MIMO では実に4倍といった理論値がはじき出されるのです。 あくまでここでいう伝送速度が”理論値“である、というくだりが肝心で MIMO という技術も魔法ではありませんから、実際の伝送速度は単純に倍々とは行きません。 例えば、先のドコモによる 3G LTE 屋外伝送実験や気の早い方?が使われている、IEEE802.11n 無線 LAN のスループットを見れば明らかではないかと思います。 かの有名な聖徳太子は複数の人の話を同時に聞き取ったと言いますが、例えば 2 人から同時に異なる内容を話してもらいそれを 2 人一組で手分けして何とか聞き取る動作は、2×2 MIMO の原理に似ていると言えるかもしれません(図 E)。 なぜならば 2 人の話す内容が混じってしまっても(相互干渉)ある程度内容を聞き取ることができれば(分離処理)、1 フレーズ分の時間で 2 フレーズを同時に伝えることができた、といえるので結果的に”伝送速度“が倍増したことと等価だからです。 |
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※昔は東通工の悪いクセ、”たとえ話“をするための定義 ・同じ可聴音声帯域を共有≠単一無線チャンネルを利用すること ・2 人の話す内容が混じること≠相互干渉 ・担当話者に集中して聞き取ること≠分離処理 ・受信担当者側での聞こえ方の違い≠伝搬経路の違い 苦しい部分もありますが、「大体こんな風なのか」程度にでも感じとってくだされば幸いですm(_ _)m。 MIMO は '09 年にサービスインしたばかりの WiMAX や、AXGP(次世代 PHS)においても、OFDM と並んで共通のキーポイントとなっています。 |
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各事業者の商用サービス開始時期について '09 年 06 月に各事業者ごとの LTE サービスイン予定が発表されました。 ・ドコモ '10 年 12月から(1.5/2GHz 帯) ・au '12 年 12 月から(800MHz/1.5GHz帯) ・SBM '11 年 07 月から(1.5/2GHz 帯・DC-HSDPA と LTE 併用) ・旧イーモバイル '10 月 09 日から(1.7GHz 帯・DC-HSDPA と LTE 併用) 上記の通り、旧イーモバがサービスインでは先行する模様です。ドコモを除き 10MHz 幅ごとの割当となり、最大通信速度は理論値で半分以下程度となる模様です。 ドコモは一部使用制限帯域(東名阪デジタル MCA の使用期限の関係)のある 15MHz 幅なので、制限を考慮しない場合最大通信速度は理論値の 25% 引き程度となるものと予想されます。 当初より予定していた VoIP による通話サービス(VoLTE※サービス呼称)が下記の通り開始されました。 ・ドコモ '14 年 06 月 24 日から ・KDDI '14 年 12 月はじめから ・SBM '14 年 12 月中旬から |
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