Q:桑名は駅前のイメージがよくない。城下町の方でこんな取り組みがされているとは知らなかった。
A:駅前のゾーンは30年間建物更新されていない。特に、パルがつぶれたことが駅前の印象を悪くしているが、パルがつぶれたのは商業環境からではなく、管理会社が新規の不動産経営に失敗し、つぶれたためである。
Q:優良再開発による整備がすすめられているようであるが、どの程度進んでいるのか。
A:制度的には市内のどこでも実施できるが、今のところ駅前の地区更新エリア内に限っており、整備事例は1箇所だけである。
Q:諸戸家はどのようにして財を築いたのか。
A:明治時代にあるきっかけで中央政財界と縁ができ、米相場や山林への投資などで財を築いた。現在、西諸戸家は六華苑(旧東諸戸家)の南側にあるが、線路の西側の丘陵地の邸宅が諸戸水道貯水池遺構の近くにある。六華苑は二代目清六が西諸戸家の北隣の土地に建てた建物を市が譲り受け公開したもので、コンドル設計による洋館が残っている。
Q:中心部の人口が減少せずにきているのは何故か。
A:若者の定着率が高い。ある年代では中学校の同級生(男)の8割が市内に居住している。石取祭があることが大きい。自治のしくみ、役割分担が身にしみついている。一旦、外に出てもまちに戻ってくる傾向が高い。桑名は石取祭にはじまり、石取祭に終わるといわれるほどである。
寺町商店街は元気な商店街として有名であり、三八市は多いに賑わう。2代目、3代目の若者が家を継いでいる。
城下町の部分の人口構造は昔から大きく変わっていないのではないかと思う。
Q:桑名市のコミュニティは旧城下町、農村、ニュータウン、その他という4つぐらいのコミュニティにわけられるという印象をもったが、ニュータウンにはどんな人が住んでいるのか。特徴は?
A:ニュータウンの計画人口6万人に対し、現在2.5万人が居住している。名古屋からの住み替え及び2世の居住が多い。開発当初は木曽川を越えることに抵抗があり、市内からの住み替えがほとんどだったが、公団職員や銀行員などが居住し、大きくて安いことが口コミで伝わり、名古屋からの住み替えが増えた。公団開発を中心に民間開発も行われているが、住宅のレベルは高く見るに値する地区だ。様々なタイプの住宅があり、少し異様な印象も受ける。
Q:駅周辺でのマンションの供給状況はどうか。
A:好調である。駅から5分のところで80u強、2700万円程度。マンションに住む人は名古屋からの住み替えが多く、地元の住民は少ない。
Q:現在の駅西区画整理の計画をみるとありふれた計画である。地域固有のよさをつぶしてまでやる必要はあるのか。
A:現在のまちの状況は車が細街路に進入しており、足の悪いお年寄りが外にでられない。道路のヒエラルキーができていない。住宅地の中に自動車が入ってこないように骨格の道路をつくり、その中は現在の状況をベースに修復型で整備していく必要がある。都市計画決定の必要から現在の計画をとりまとめたが、住民の意向をとりいれながら計画を見直していきたい。手法としては、区画整理ではなく、街路事業+密集事業という選択肢もあったかもしれないが、密集事業については要件を満足しないのではないかと思う。